何百年と続く宗教戦争を描いたSF映画『アサシン クリード』。
原作ゲームを全く知らないので分からない部分もありましたが、よく分からない状態でもそこそこ楽しめるカッコいい映画でしたね。
なのでどちらかといえば雰囲気の良い映画がお好きな方、原作ゲームプレイ済みの方におすすめな映画でした!
映画『アサシン クリード』の作品情報
あらすじ
2016年、刑務所で処刑されたカラム・リンチ。
しかしカラムはなぜか見知らぬ施設で目覚め、暴力を無くしたいと言うソフィア・リッキン博士に協力を持ちかけられます。
事態を飲み込めずにいるカラムは、先祖の記憶を追体験させる機器・アニムスに強引に接続され、過去の出来事を追体験することになりました。
追体験の先は1492年、『果実』を守るアサシン教団に所属するアギラール。
彼は果実を狙うテンプル騎士団から果実という名の『自由意志』と『未来』を守るため、果実の交渉材料として騎士団に捕まった王子を奪還しようとしていました。
こうしてカラムにアギラールの記憶を追わせることで、ソフィアと父親・アランは果実の場所を特定しようとするのですが…。
予告動画
動画リンク
映画『アサシン クリード』の感想
【面白ポイント】
- よく分からないけどカッコいい
- ゲームに興味が湧く
よく分からないけどカッコいい
今作は宗教的な要素が多くて難しいし、様々なキャラクターの思惑が入り乱れているため分からないことが多いですが『何となくカッコいい』で楽しめる映画でしたね。
過去のシーンではスピード&スローの緩急があるアクションで勢いがありましたし、忍者っぽいアサシンの動きは個人的に刺さるものがありました。
そして現代ではアニムスとつながった状態で過去を追体験するカラムという、ややアナログさも感じるけど最低限のSF演出が良かったですね。
ただ現代と過去、カラムとアギラールと言う2つの時代・主人公が交差しながらストーリーが展開していくためか、ストーリーはかなり掴みにくいです。
さらにそこにアサシン教団とテンプル騎士団の宗教戦争、ソフィア親子の思惑といった要素も入るため、映画を観れば観るほど分からないことが多くなって…。
ストーリーは正直、最後までポカーンとする部分が多いです。
ただ…まぁそんな状態でも映像的な部分から『何となくカッコいい!』と楽しめる映画ではあったかなと思います。
なのでどちらかと言えば現在と過去が交差するSF映画がお好きな方、雰囲気だけでも何となく楽しめる映画が大丈夫な方に向いている映画でしたね。
ゲームに興味が湧く
今作はストーリーを理解しきれなかったけどカッコ良かったためか、原作ゲームに興味が湧く映画でした。
アクションも縦横無尽に飛び回る疾走感が映像映えしそうですし、ステルスしつつ敵を倒していく感じも最近のゲームっぽくて面白そうに感じましたね。
印象としてはゲーム『Ghost of Tsushima』に近かったかな。
ゴースト オブ ツシマはアクションの他に仲間との絆・深堀りされたストーリーも魅力的なので、ストーリーの良いアクションゲームがお好きな方にかなりおすすめです。
何というか今作の難解なストーリーも、ゲームならもう少し詳細に説明があるでしょうし、プレイしつつ少しずつ理解することでもっと楽しめそうな予感がありました。
なので今作はどちらかと言えばゲームの内容を知っている方、ゲームの購入を検討している方に向いている映画かもしれませんね。
反面、ゲームの内容を全く知らない方、スッキリとする映画・映画だけで全てを理解できるような分かりやすい映画をお求めの方には不向きな映画かと思います。
映画『アサシン クリード』の考察
【考察ポイント】
- エデンの果実の正体
- テンプル騎士団の行動理由
- アサシン教団の行動理由
- ラストの意味
エデンの果実の正体
自分で考えたり反抗したりする自由意志に干渉するDNA情報が詰まったカプセルのような物だったのだと思います。
モデルはおそらく旧約聖書の創世記に登場する『禁断の果実』。
今まで衣服を着ていなかったアダムとイヴが果実を口にしたことで、全てをさらけ出している姿が恥ずかしいと感じるようになった…という話でしょう。
つまり果実を手に入れたものは、他の人間のDNAをイジることで考え方を変えたり自由に操ったりできるようになるのだと思います。
なぜそんな情報が詰まった物が遥か昔に存在しているのかは不明ですが、ピラミッドの建築方法が現代でも謎めいているように…。
過去には今以上に発展・進歩している一面があったということなのかもしれませんね。
つまりそんな果実を手にした者は自由に人間の意思を操ることができるようになってしまうため、守る存在と手に入れようと躍起になる存在がいるのだと思います。
テンプル騎士団の行動理由
テンプル騎士団は果実を手に入れて、アサシン教団含め自分に従わない人間を従順にさせるため、DNAからつくり変えようとしていたのだと思います。
おそらく時代的に宗教に重きが置かれていて、王の側に騎士団の人間が座っていたことからも分かるように、騎士団は国政と同程度の権力を持っていたのでしょう。
だから民衆にとっては騎士団の教えは絶対!
変な格好をしろと言われても、厳しい徴収や戒律があっても従い、火炙りという恐ろしい処刑にも特に反対する者・目をそらす者がいなかったのだと思います。
だからこそ騎士団にとって、自分たちの掟に従わないアサシン教団は許せない存在だったので、何としても従わせたかったのではないかな。
そして話し合いや力で対抗できないアサシン教団を抑えつけるためには、果実を手に入れて人間性から変える必要性があったのでしょう。
こうして果実を手に入れてアサシン教団を従わせた後は、自分たちの教え・掟を国外まで広げ、最終的には世界の独裁者になろうとしていたのではないかなと思います。
アサシン教団の行動理由
人類の未来を壊す可能性を秘めた果実という宝を守るためには暗躍も厭わない、闇に生きる守護者たちの組織だと思います。
おそらく貴重な遺物を悪用せず未来まで受け継ぎつつ、害為す存在が果実を手にしないように守り続けているのでしょう。
全ては人間の自由意志を…そして明るい未来を守るために。
だからこそ人間の自由な思想・行動を弾圧する騎士団と対立し、果実を狙う騎士団の魔の手から人類の未来を守るために攻撃を仕掛けていたのだと思います。
ラストの意味
ソフィア博士が自分の意思で父親の跡を継いだように、暴力に走るか・何を信じるかは血ではなく、自分の意思で選択するものという意味が込められていたのではないかな。
カラムの記憶ではない映像の女性を見かけたとき、ソフィアが驚いている様子がありましたが、あれはおそらく自分とよく似た顔立ちを見かけたから驚いていたのでしょう。
つまりソフィアもカラムたちと同じように、教団の人間を先祖に持つ人間だったのだと思います。
おそらく父親は騎士団の血筋なのですが、母親が教団側の子孫だったのでしょう。
ソフィアは「母親はアサシンに消された」と言っていたけど、実は教団の血を嫌った騎士団の手によって、母親は命を落とすことになってしまったのではないかな。
そしてソフィアも同じように消される予定だったのですが、父親が必ず果実を手に入れるからとでも言って猶予してもらっていたのだと思います。
だからこそ父親は急いで果実を手に入れようと躍起になっていたのではないかな。
ただそんなことをソフィアに正直に伝えることはできないから母親はアサシンに消された、悪いのはアサシン、騎士団は正義だと思い込ませていたのでしょう。
しかしカラムの映像を見たことでソフィアは自分の血筋に気付いた…ただそれを分かった上で、教団側ではなく騎士団側に付くことを自分の意思で決めたのだと思います。
そしてカラムもアギラールの子孫だからではなく、過去の出来事を知った上で未来を守りたいと思ったからこそ、アサシンになる道を選んだのではないかな。
だから人生のきっかけに先祖や血族はいるけれども、あくまでも最終的にその道を選択したのは自分という意味がラストには込められていたのではないかなと思います。
映画『アサシン クリード』の関連作品
かっこよさの中に可愛さのある絵柄なので、男女問わずにおすすめな作品です!
少し難しいですが…映画の補足が多く描かれているので、興味のある方はぜひ!
まとめ
ゲームを知らなかったために理解しきれなかった部分もありますが、映像と雰囲気の良い映画で思ったよりかは楽しめました。
またよく分からなかったからこそ、マンガ・ゲームなどの他シリーズ作品にも興味が湧くような映画で、興味を持つ良いきっかけにはなったかなと思います。
どちらかといえば雰囲気の良い映画がお好きな方、アサシン クリードのマンガ・ゲームといった他シリーズ作品を知っている方におすすめの映画でした!