バットマンの誕生を描いた映画『バットマン ビギンズ』。
重さ・リアルさのあるストーリー性と、SFアクションらしいカッコ良い秘密道具&おじさんズが魅力的な映画で面白かったです!
どちらかといえばヒーロー映画に苦手意識を持っている方、ストーリー性もカッコよさもあるSF映画アクション映画がお好きな方におすすめ!
映画『バットマン ビギンズ』の作品情報
あらすじ
不況に苦しむゴッサムシティのために尽力する両親と、幼馴染の少女・レイチェルに囲まれて幸せな幼少期を過ごす少年、ブルース・ウェイン。
しかしオペラを観に行った日、自分の言葉がきっかけで両親は賊に命を奪われてしまいます。
そして14年後…悪人への強い復讐心と怒りを燃やし、悪人に恐怖を与える存在になろうと決意しゴッサムを飛び出すウェイン。
時が経ち…ウェインが異国の刑務所に収監されていると、正義のために悪と戦う組織『影の同盟』のヘンリー・デュカードと名乗る男がやってきます。
影の同盟のボス『ラーズ・アル・グール』の代理人だと名乗る彼はウェインを出所させ、悪と戦うために恐怖を克服しろと修行をつけ始めるのですが…。
動画リンク
映画『バットマン ビギンズ』の感想
【面白ポイント】
- リアルさのあるストーリー
- 車や秘密道具がカッコ良い
- おじさんズがカッコ良い
リアルさのあるストーリー
ヒーロー映画というと超能力を駆使し、弱きを助け強きを挫く現実離れしている正義感のイメージが強いのですが、今作は程よくリアルさがあるから共感しやすかったです。
人間が超能力を突然手に入れることなんてない、正義感だけで幸せになる世界ではないからこそ…努力する悲しいヒーローというのがリアルで良かったですね。
そもそもヒーローになろうと思ったきっかけが両親を犯罪者に奪われ、犯罪と悪人への怒りから復讐を決意したからですし…。
何というかヒーローになろうと思ったきっかけに共感できるヒーロー映画、正義感だけじゃなくて復讐心や怒りからというのが新鮮で、面白かったですね。
また超能力がないからこそ肉体を鍛えつつ科学の力を結集させた秘密道具を使って戦い、脅し・見せしめもしながら悪を裁く行動も新鮮でした。
何というかヒーロー映画らしい正しさとか超常的なカッコよさがなく、悲しみと闇に塗れているからこそリアルで共感しやすい映画になっていて面白かったです。
印象としては映画『ジョーカー』に似ていましたね。
ヒーローや悪者になる理由にちゃんと共感できるくらいリアルで悲しい過去や、自分の目的のために自ら闇に染まっていくというストーリーがよく似ていました。
なのでどちらかといえばリアルさや悲しみのあるヒーロー映画がお好きな方、逆にヒーロー映画に苦手意識を持っている方にもおすすめしたい映画です!
車や秘密道具がカッコ良い
SFアクション映画なので肉弾戦ももちろんあるのですが、バットマンはやはり多種多様な秘密兵器や車がカッコよかったですね。
様々な攻撃から身を守る防護服、上昇・下降も思いのまま移動手段としてだけでなく尋問までこなす特殊ケーブル…そして闇夜を舞う車・バットモービル。
個人的にはバットモービルが特に好きで、走行だけでなく攻撃・妨害・隠密までこなす多機能さがSFアクション映画らしくてカッコ良いですよね。
闇夜を駆ける漆黒のボディーも良いし、その巨体がジャンプするカーチェイスは迫力があるし見ごたえがあって…いやぁ、好きでした。
あとクレインが使っていた幻覚剤で人間の正気を失わせるという犯行も、個人的には効率的に敵の排除・金銭の回収を行える手段に感じて良かったですね。
人間1人を消そうと思うとどこかしらに痕跡が残るし、失踪させたしとしても必ず捜索されることになってしまう…。
それに対して正気を失わせて弁護士・精神科医という立場を利用すれば、邪魔者を病院に入院させて証拠・証言を全て握り潰し、誰にも関わらせずに管理できますからね。
病院に入院させれば患者の家族や国からお金を回収することもできるだろうし…一石二鳥!
金のために犯罪行為に協力するぐらい守銭奴なクレインらしい秘密道具に感じて、個人的には結構好きでした。
なのでどちらかといえばSFアクション映画に登場するカッコ良い秘密道具がお好きな方、効率の良い秘密道具がお好きな方におすすめな映画でしたね!
おじさんズがカッコ良い
今作は悲しみと闇に塗れながらヒーローになろうとしているウェインを支える、フォックスやアルフレッドといったおじさんズがカッコよかったですね。
優秀なのに組織の鼻つまみ者で、会社の奥底に追いやられながらも飄々としていて…いたずら坊主のような笑みで秘密道具をつくってバットマンを支援するフォックス。
幼い頃からウェインを見守り続けた保護者のような存在であり、バットマンとしての活動に協力しながらも時に諌める唯一無二の存在…アルフレッド。
何というかウェインの父親の代からの付き合いだからこその安心感というか、頼りがいがあるカッコよさのある面々で…実にカッコよかったです。
個人的には特にフォックスが好きでしたね。
優秀だけどどこかやんちゃ坊主っぽい感じがあるというか、ウェインと秘密道具の話をしている時が悪巧みしている少年のような微笑ましさがあってカッコ可愛かったです。
また飄々としているけど芯があって、優秀だけどいたずら坊主みたいな笑顔がモーガン・フリーマンともめちゃくちゃマッチしていたと思います。
印象としては映画『RED レッド』のジョー役のときに似ていましたね。
カッコ良いけどお茶目で、飄々としているけど自分の中に一本芯を通している男らしさがよく似ていて、モーガン・フリーマン好きにはぜひともおすすめしたいです。
なのでどちらかといえばREDのようにおじさんズがカッコ良い映画がお好きな方、カッコ良いけどお茶目なおじさんズがお好きな方におすすめしたい映画でした!
映画『バットマン ビギンズ』の考察
【考察ポイント】
- ラーズ・アル・グールの正体
- ラーズ・アル・グールの目的
- 謎の敵・スケアクロウの存在理由
ラーズ・アル・グールの正体
ラーズ・アル・グールとは影の同盟のボスの通称であり、前任者が命を落とそうとも後継者に引き継がれていくものだったのではないかなと思います。
つまりウェインが影の同盟を訪れた時は渡辺謙がラーズ・アル・グールで、彼が亡くなったことでデュカードが役職を引き継いでいたのでしょう。
デュカードは「ラーズ・アル・グールは不滅、超自然的な存在」と言っていたし、消しても自然と次なるラーズ・アル・グールが生まれるという意味だったのだと思います。
影の同盟が何世代にも渡って世直しを行っていたことを思うと、ボスが代替わりしていても何ら不思議ではないですしね。
デュカードは後継者
デュカードがラーズ・アル・グールの代弁・忍者の指揮などを行っていたことを思うと、元々ラーズ・アル・グールを引き継ぐ予定の後継者だったのだと思います。
もしかしたらウェインを影の同盟に引き入れることが、ラーズ・アル・グールとしての素質をチェックする最終テストだったのかもしれませんね。
ラーズ・アル・グールは同じ思想を持つ人間を心の闇から救い出し、影の同盟の仲間を増やしていく存在だったようですし…。
ウェインを仲間にできれば、ラーズ・アル・グールを引き継ぐ予定だったのではないかなと思います。
だからこそ英語を話せるはずのラーズ・アル・グールが話せないふりをしてデュカードが代弁し、勧誘から指導まで全て彼がつきっきりだったのではないかな。
そしてウェインが影の同盟への加入を拒否したことでテストは失敗したのですが…前任者が亡くなったことで自動的にラーズ・アル・グールになっていたのだと思います。
ちなみにゴッサムを襲う前にウェインのもとを訪れていたのも、バットマンという邪魔者を排除するだけでなく、もう1度自分の素質を確かめたかったからではないかな。
繰り上がりで後継者になったもののテストに失敗したことが心残りだったからこそ…もう1度勧誘できないか確かめるためにわざわざ訪れていたのではないかなと思います。
渡辺謙は偽物説
渡辺謙はデュカードが用意した偽物という説もあるようですか、個人的にはあくまでも前任のラーズ・アル・グールというだけで偽物ではないと思います。
渡辺謙が偽物だったのであれば英語がしゃべれないフリをしていたにも関わらず、ウェインを仲間に入れようという最終局面でだけ英語で普通に話す理由がありませんし…。
むしろウェインはゴッサム襲撃のキーマンだったはずですから、偽物だったのであれば大事な局面でだけ自分の言葉・声で話すのには違和感があります。
またラーズ・アル・グールの偽物を置く理由も特にないですしね。
どこから襲撃されるかわからないから影武者を置いていたという保身的理由であれば、デュカードが1人で刑務所までウェインを迎えに行くのは不用心過ぎますし…。
わざわざウェインを欺く理由も特にないので、個人的には渡辺謙はあくまでも前任のラーズ・アル・グールであって偽物ではなかったと思います。
ちなみにウェインの誕生日パーティーで偽物のラーズ・アル・グールを用意していたのは、後ろ姿が渡辺謙に似ていたから…ちょっとしたイタズラ心だったのではないかな。
もしくは前任は亡くなり自分がラーズ・アル・グールになったことを視覚的にウェインに分からせるために、偽物を用意したのではないかなと思います。
ラーズ・アル・グールの目的
ラーズ・アル・グールの目的はゴッサムシティを0の状態にすること、汚職・不況・犯罪に塗れた街を人間もろとも消し去ろうとしていたのではないかなと思います。
影の同盟は犯罪者を憎み悪と戦い、犯罪に塗れた街をキレイにする世直しのようなことを何世紀にも渡って繰り返してきた存在でした。
そんな影の同盟、ラーズ・アル・グールが次のターゲットに選んだのが不況と汚職に塗れた街・ゴッサムシティだったのでしょう。
ウェインはそんなゴッサムでは知らない人のいない有名人・大企業の坊ちゃま・犯罪を憎む悲劇の息子だからこそ、仲間に引き入れようとしていたのだと思います。
街の中心部にあるウェインタワーの関係者を仲間に引き入れれば、仲間の誘導・隠れ場所の提供・武器の調達までスムーズに行えるようになりますからね。
水道管破裂に利用したマイクロウェーブエミッターもウェイン社が運搬していましたし、ウェインを仲間にすれば無理に襲撃しなくても楽に手に入れられたことでしょう。
しかしウェインが影の同盟への加入を拒否したため、強硬手段に出ることにしたのだと思います。
幻覚剤を街中に散布して正気を失わせ、クレインを含む危険人物を街中に放つことで暴動を起こして街から強制的に人間を排除しようとしたのでしょう。
正気を失った人々はゴッサム以外の都市で入院させられたり警察に捕まったりして消え、危険地域となったゴッサムに近寄る人々はいなくなり…新たな街づくりが始まる。
つまり汚職・不況に塗れたゴッサムから人間を排除し、まっさらな状態から新たな街づくりを始めさせることこそラーズ・アル・グールの目的だったのだと思います。
謎の敵・スケアクロウの存在理由
幻覚剤で攻撃する謎の敵・スケアクロウは、ラーズ・アル・グールの目的を知るウェインの目を逸らすための囮として雇われていたのではないかなと思います。
幻覚剤の生産をさせるだけであればスケアクロウという悪役をつくらず、クレインという一般人のままでいさせて周囲を仲間に守らせればいいだけのはず。
なのにわざわざゴッサムシティという畑にスケアクロウというカカシを設置していたのは、ウェインという害獣の関心をそちらに向けさせるためだったのだと思います。
そしてその間にラーズ・アル・グール、影の同盟という別の害虫がゴッサムシティに攻め入る作戦だったのではないかな。
スケアクロウなしでウェインと衝突してしまうと作戦の妨害待ったなし、そもそも作戦実行すら難しくなる可能性がありますからね。
つまりスケアクロウはウェインの目を逸らす囮として必要だったからこそ金銭で雇い、幻覚剤を作らせ、いざとなれば捨て駒にしようとしていたのではないかなと思います。
映画『バットマン ビギンズ』の関連作品
みんな大好き『ジョーカー』が登場する名作です!
1を観た方にはぜひ3作目までチェックしてみていただきたいです!
今作のヒーローになった理由・過去・悲しみがお好きな方にイチオシです!
まとめ
普通のヒーロー映画とはひと味もふた味も違うダークヒーロー映画で、ヒーロー映画にあまり関心のない私でも純粋に楽しむことができました!
ラストのジョーカーを感じさせる終わりもテンション上がりますし…いやぁ、2作目の『ダークナイト』も観るのも楽しみです。
どちらかといえばヒーロー映画にあまり関心のない方から、ストーリー性もカッコよさもあるSFアクション映画がお好きな方にもおすすめしたい映画でした!