あの世に迷い込んだ少年の人生を描いた映画『リメンバー・ミー』。
幸せと悲しみが交互にやってくるストーリーに惹き込まれつつ、すごく考えさせられる映画でもあって…笑って泣いて楽しめる映画で、めちゃくちゃ面白かったです!
どちらかといえば幸せの裏に悲しみも感じるような映画がお好きな方、子供から大人まで楽しめるアニメ映画がお好きな方におすすめ!
映画『リメンバー・ミー』の作品情報
あらすじ
音楽が大好きな明るいギター少年・ミゲル。
曾々祖母・イメルダの代から家族みんなで靴をつくっている職人一家の生まれで、曾祖母・ココや、おばあちゃん・両親たちと仲良く暮らしていました。
しかしミゲルの家では、イメルダの夫が音楽家を夢見て家を飛び出した歴史があることから絶対に音楽禁止!
ミゲルは家族に隠れてこっそりギターを弾き、同じ村出身の偉大なるミュージシャン『エルネスト・デラクルス』に憧れながら音楽家を目指していました。
村は1年に1度だけ『祭壇に写真を飾ってある亡き人が、この世に帰ってくる』と言われる伝統的なお祭りの日で大騒ぎ。
ひょんなことから自分の曾々祖父がデラクルスだと知ったミゲルは、お祭りの日に開催されるコンテストへの出場を決意します。
しかし家族に反対され祖母にギターを壊されたミゲルは家を飛び出し、デラクルスの墓に飾られたギターを借りてコンテストに出場しようとするのですが…。
予告動画
動画リンク
映画『リメンバー・ミー』の感想
【面白ポイント】
- 幸せと悲しみのバランスが良い
- すごく考えさせられる
- 笑って泣けて…すごく面白かった!
幸せと悲しみのバランスが良い
冒頭から幸せと悲しみが交互にやってくるストーリー展開で、すごく惹き込まれるものがありました。
イメルダの話も幸せな家族→父親失踪→母親、一念発起→事業成功→家族で幸せに…と波乱万丈で、短い話なのに色々な感情がギュギュッと詰まっていて面白かったです。
ミゲルが音楽が大好きなのに家族が音楽禁止というもの悲しいことではあるけど、家族には家族なりの悲しみ・理由があったし…。
仲の良い家族からしっかり愛情・幸せも感じられて…笑顔になったりしょんぼりしたり、観ている側の表情もくるくる変わるような映画で面白かったです。
今作の中では悪役であるデラクルスも自分勝手なイヤなやつではあるけど、個人的にはどこか憎めない部分がありましたね。
才能があるけどあと1歩足りなくて、その足りない1歩は自分ひとりの力ではどうしても埋まらない…だから別の手段を取るほどの常軌を逸した努力と、夢への執着。
印象としては映画『モンスターズ・インク』のランドールに似ていましたね。
1番になりたいと一生懸命に頑張っていて、1番になるためにはどんな犠牲も厭わない狂気的なまでの執着心・執念がよく似ていました。
なのでどちらかといえば悲しみと幸せが交互にやってくるような映画がお好きな方、悪役にもどこか同情的になってしまうような映画がお好きな方におすすめ!
すごく考えさせられる
現世に忘れ去られてあの世からも消えてしまう人とか、大切なことのために人生の選択をしたエルネストやイメルダとか…すごく考えさせられるものがありました。
日本でもお盆・お彼岸などの風習があるからかもしれませんが、あの世のこと・あの世から帰ってこれない人とか…他人事ではないように感じましたね。
自分もあの世に行った時、覚えてくれる人はいるか・迎えてくれる人はいるのか…すごく身につまされる物がありました。
ミゲルのことも音楽のために何度も命を落としかけているし、大事な場面でもずっと音楽音楽って言っているのは端から見ると危機感がなくて危なっか過ぎるけど…。
でも人にはどうしても諦められないこととか手放せないことがあって…自分が自分であるために大切なものって誰にでもあるよなと思うと納得できる部分がありました。
イメルダにとってはココや家族、エルネストには有名になる夢、ミゲルには音楽家になる夢。
それぞれが大切なもののために選択して何がしかの犠牲を払った…褒められない選択も中にはあるけど、行動理由としては納得できましたね。
あれもほしい・これもほしいだと結局どれも中途半端になってしまうから、中途半端でもどっちも取るのか・なにかのためにどちらかを諦めるのか…。
そういう選択も、人生にはあるし大切なことだよな…と心にぐっとくるものがあったし、すごく考えさせられました。
なので子供から大人まで楽しめる映画でありつつも、ちゃんと考えさせられるような部分もある映画がお好きな方におすすめ!
笑って泣けて…すごく面白かった!
話題作ということで名前くらいは知っていたものの今まで観ずにいたのだけど…観なかったのを後悔するぐらい笑って泣ける映画で、めちゃくちゃ面白かったです!
現世とあの世という世界観に、家族愛・思い出・夢といった重さと悲しみがあるテーマが程よく絡み合っていて…すごく見応えがありました。
そしてただ悲しみや重さがあるだけでなく、笑えるギャグもあって歌もあってざまぁな展開もあって…そして最後に満点のハッピーエンド!
最初から最後まで、本当に面白かったですね!
子供が観てももちろん面白いだろうし、大人が観ても笑って泣けるアニメ映画でめちゃくちゃ良かったです!
世界観もお盆・お彼岸の文化がある日本だと親しみやすさを感じやすいだろうし、天下のディズニー映画ということで映像や歌もめちゃくちゃ良い!
なので観たことがない人にはぜひ観てほしいし、何度でも観たくなる名作をお探しの方にもおすすめの映画でした!
映画『リメンバー・ミー』の考察
【考察ポイント】
- デラクルスが曲を奪った理由
- ヘクターがミゲルを頼った理由
- あの世で存在するための条件
- デラクルスが存在し続けている理由
- 犬のダンテがあの世に行けた理由
デラクルスが曲を奪った理由
デラクルスがヘクターを亡き者にしてまでも曲を奪ったのは、自分の歌声とギター、ヘクターの詩と曲があれば人気者になれるという自信があったからだと思います。
デラクルスは歌手でありながら映画の主演もしていて、歌声に聞き惚れた人が操作を誤ったが故に命を落としたほどの人だから…歌とギターの才能はあったのでしょう。
そんな彼がわざわざ他人の曲を奪っていたことを思うと、作詞作曲の才能はなかったのだと思います。
だから作詞作曲の才能を持っているヘクターと組んで活動していたのに、もう少しで夢に手が届くというところで…ヘクターが家に帰りたいと言い出してしまいました。
もしヘクターが作詞作曲ができる程度の人であればそのまま見送り、新たなゴーストを用意したのでしょうが…ヘクターにもまた作詞作曲の才能があったのだと思います。
そしてヘクターの作詞作曲は、デラクルスの歌声とギターとも相性抜群。
2人の相性が抜群だったからこそ夢まであと1歩というところまで来れた…もしヘクターを失えば夢が遠のき、最悪の場合は夢を叶えることができなくなるかもしれません。
でもここでヘクターを亡き者にすれば音楽家になれる…もっといえば作詞作曲もできる音楽家と宣伝できるから、さらに名声が得られる可能性が出てくることでしょう。
どうしても有名人になりたかったデラクルスは、名声・地位・金の全てを自分だけのものにするためにヘクターを手にかけて曲を奪ったのだと思います。
ヘクターがミゲルを頼った理由
ヘクターがミゲルに写真を飾ってくれと頼んでいたのは消滅を回避しようとしていたのではなく、消える前にココをひと目見たかったからだと思います。
例えばミゲルがヘクターの写真を祭壇に飾ったとしても、彼を覚えているココが亡くなってしまえば消滅してしまう運命にありました。
まぁ最終的にはココがギリギリでヘクターのことを思い出せたし、写真も取っておいてくれたことで消滅を回避できましたが…。
もしミゲルがヘクターのことを知らずに写真だけ持ち帰っていたら、現世へ行くことができたとしてもココが亡くなった時点でヘクターは消滅していたはずでした。
それを全て分かった上で…それでもヘクターはココに会いたかったから、彼女が亡くなる前にひと目見たいと願い、ミゲルに写真を飾ってくれと頼んでいたのだと思います。
ココはもう長くない、来年の祭典の日には間に合わないから…だから今日中に写真を飾ってくれと焦っていたのでしょう。
ヘクターは妻子を置いて家を出た自分は消滅しても構わない…でもその前に娘の顔をどうしてもひと目見たい、家に帰りたいとずっと想っていたのではないかな。
だからヘクターがミゲルに写真を飾ってくれと頼んでいたのは消滅するのを回避しようとしていたのではなく、消滅する前にココに会いに行きたかったからだと思います。
あの世で存在するための条件
あの世にいる人間が存在し続けるためには、親族・交友関係を問わず生者に生前のことを覚えていてもらうことが必要だったのだと思います。
生前のことを覚えていてもらうというのは生きていた頃の姿形を知ってるとかではなく、あくまでも何をした人か・どんな人かという思い出が必要だったのでしょう。
重要なのは記憶ではなく思い出だったのだと思います。
ちなみにヘクターが消えかけていたのは家族みんなが知ってはいるものの、「妻子を捨てて出ていった人」という間違った記憶を持っていたからでしょう。
本人と解離した情報は覚えている判定に入らないから、本当のヘクターのことを知っているココが亡くなった時点で消えようとしていたのだと思います。
そしてヘクターが最終的に消えずに済んだのは、ギリギリで父親のことを思い出したココが家族に思い出を語ってくれたから…。
「妻子を捨てて出ていった人」という間違った記憶から、「帰ろうとしていた」「家族を愛していた」という正しい記憶に変えることができたからだと思います。
さらにミゲルがデラクルスの悪行を全て公表、ヘクターの手紙や写真が証拠となり世界中の人の記憶も変えることができたから…もう忘れられる心配はないでしょう。
つまりあの世で存在するためには生前にどんな人だったのか・何をした人なのかを、正しく生者に覚えていてもらうことが必要だったのだと思います。
ちなみに祭壇に写真を飾ってもらうのはあくまでも現世に行くために必要な条件で、存在し続けるために必要な条件とは別。
デラクルスが存在し続けている理由
偉大な功績を残した音楽家という間違った思い出が継承されているにも関わらずデラクルスが存在できていたのは、それ以外の想いを持っている人もいたからだと思います。
おそらく彼のファンの中には『偉大な彼』が好きなのではなく、『彼の声』『パフォーマンス』『演技』が好きな人もいたことでしょう。
「彼は偉大な音楽家」「作詞作曲もできる人」などだと間違った記憶ですが、「歌やギターが上手い人」「演技も歌もできる人」であれば間違いではありませんからね。
だからヘクターから奪い取って作り上げた功績とは別に、彼自信の実力を評価しているファンもいたからデラクルスは存在し続けられたのだと思います。
ちなみにデラクルスは写真を飾ってくれるファンもいるでしょうから、現世に行くこともできる可能性が高いです。
なのに現世に行かないのはデラクルスにとって重要なのは顔も知らない子孫よりも、自分をちやほやしてくれる歓声と名声だからだと思います。
孫の孫だというミゲルを最初は自慢していたのに、真実を知った途端現世に帰さずにいたことを思うと…デラクルスにとっては家族より名誉・名声の方が大事なのでしょう。
だからヘクターのように家族に会いたいから現世に行きたいという感情は、そもそもないと思います。
現世に行っても自分の姿が見えない生者にはちやほやされないですしね。
だからデラクルスは現世に帰らずあの世に残って、ちやほやしてくれる人を囲ってコンサートをしていたのだと思います。
犬のダンテがあの世に行けた理由
犬のダンテがあの世に行けたのは、ダンテがメキシカン・ヘアレス・ドッグ(ショロ犬)という『迷える魂を導く存在』と信じられてきた犬種だったからだと思います。
ダンテのモデルになった犬種はメキシカン・ヘアレス・ドッグ、ショロイツクインツレ(ショロ犬)とも呼ばれているわんちゃん。
メキシコ原産の3000年以上の歴史を持つ犬種で、古くから『神の使い』『魂の案内人』であると信じられています。
亡者と関わり深い犬種だからこそ、あの世にいたフリーダ・カーロも「シュロ犬じゃない」と好意的に受け取っていたのでしょう。
つまりダンテがあの世に行けたのは呪いを受けていたミゲルとは違って、元々亡者が見えるしあの世にも行くことができる犬種だったからだと思います。
アンブリヘになった理由
ダンテがあの世でアンブリヘと同じカラフルな姿に変わっていたのは、生者であるミゲルに「魂の案内人」と認められたからだと思います。
アンブリヘとは生者にとっては木彫りの人形、亡者にとっては姿かたちを変えるパワフルな存在であり、魂の案内役であり生きた精霊でした。
つまりアンブリヘという名称はあれども、どんな存在のことを指すのかは明確に定まっているものではないのだと思います。
すべては生者がどう思うかが重要で、生者の考え方によってあの世で姿形を変えていたのでしょう。
日本のきゅうり・ナス飾りがあの世で馬・牛扱いなのと一緒で、アンブリヘも現世ではただの木彫りの人形や生物でも、あの世では精霊として力を得ていたのではないかな。
つまり重要なのは生者が精霊として信じてくれるかどうかだからこそ、ダンテもミゲルに魂の案内人と認められてアンブリヘに姿を変えていたのだと思います。
映画『リメンバー・ミー』の関連作品
どこか憎めない一生懸命な悪役がお好きな方におすすめです。
大人から子供まで楽しみやすい文章なので、リメンバー・ミー好きにはぜひ。
全部ひらがなのふりがな付きなので、リメンバー・ミー好きなお子様にぜひ。
リメンバー・ミーは曲がめちゃくちゃ良いので、お気に入りです。
まとめ
名前は知っていたものの観たことがなく今回が初視聴だったのですが…想像以上に泣けて笑える映画でめちゃくちゃ面白かったです!
夢も叶って現世の家族もあの世の家族もみんな幸せ…ディズニー映画らしい子供から大人まで安心して楽しめるような、心がほっと温まる映画でしたね。
どちらかといえば幸せと悲しみを感じるストーリーがお好きな方、子供から大人まで楽しめるアニメ映画をお探しの方におすすめな映画です!