夢の世界での戦いを描いた映画『インセプション』。
夢というSFテーマを中心に、自由奔放な映像・アクションと共に迷路のようなストーリーを楽しめる映画で面白かったです!
どちらかといえばストーリーからアクションまで楽しめるSF映画がお好きな方、人によって印象が変わるような映画がお好きな方におすすめな映画でした!
映画『インセプション』の作品情報
あらすじ
夢の中に潜り込むスペシャリスト・コブ。
人が最も無防備になる潜在意識の奥底まで潜り込み、現実世界では出さないようなアイデアを秘密裏に盗み出す危険な犯罪行為を生業にしていました。
最愛の子供たちに会うことすらできず、悩みながら仕事を続けていたある日…コブに新しい仕事が舞い込みます。
かつてのターゲットが持ってきた仕事はインセプション。
夢の中のアイデアを盗み出すのではなく、ターゲットの夢の中に大企業1つを潰すアイデアを埋め込んでほしいという不可能に近い難しい仕事でした。
その仕事の報酬は、コブが最愛の子供たちのもとへ帰れるようにすること。
報酬に心惹かれたコブは仲間を集め、ターゲットへのインセプションに向けて準備をはじめるのですが…。
予告動画
動画リンク
映画『インセプション』の感想
【面白ポイント】
- 夢×SF×アクション!
- 迷路みたいなストーリー
- 人によって印象の変わるラスト
夢×SF×アクション!
夢というファンタジーな世界観を活かした、SFの映像美と肉体的なアクションがすごく良くて個人的ツボに刺さりました。
今いる場所が現実世界なのか夢の世界なのかすら分からなくするような、絶妙なリアルさとファンタジー感のある世界観を…。
崩壊していく世界・スローモーションなどの映像美で盛り上げつつ、ありえない動きを見せるSFアクションで見応えや迫力をプラスしていてすごく良かったです!
強いて言えば、もう少し夢の世界に入るための原理や装置についてSF的説明があると、さらにテンションが上がって盛り上がるところではありますが…。
説明がないことが逆に夢の世界に入れることが当たり前の世界という風に感じられて、良かったのかなとは思います。
何というか現実のようで現実じゃない、ありえそうでありえない…そんな夢ならではの世界観を活かしたSFアクションで面白かったですね。
なのでどちらかといえば夢をテーマにした映画がお好きな方、世界観を活かしながら映像美とアクションで魅せるSFアクション映画がお好きな方におすすめな映画でした!
迷路みたいなストーリー
夢と現実を行き来するストーリーを活かすためか、冒頭から迷路のようなストーリー展開になっていました。
何というか1つ1つはシンプルなんだけど、産業スパイの話の中にコブの過去・ロバ―トのストーリーが重なり合いつつ同時進行していて…。
話が少し先に進むと分かれ道にぶつかり、どちらかの道を進んでいくとまた分かれ道がある…まるで難解な迷路のようにストーリーが入り乱れていましたね。
なので映画を観続けることで少しずつストーリーを理解していけるような見応えがある反面、集中して観ていないと訳が分からなくなってしまう印象がありました。
ガッツリと集中して映画を観るか、ラストを知っていて観返す分には良いストーリーだと思うのですが、初めて観る方だと理解できない部分が出てしまうかもしれませんね。
なのでどちらかといえば映画をガッツリ集中して楽しみたい時、伏線を拾い集めながらラストまで楽しめるような映画がお好きな方におすすめな映画です。
人によって印象の変わるラスト
ラストは観る人によってハッピーエンドかバッドエンドか印象が正反対になるような終わり方をしていて、すごく面白かったですね。
幸せな雰囲気の中に回り続けるコマを映すことで、ラストでコブがいるのは現実世界なのか夢の世界なのか分からなくさせるような…。
迷路のゴールにふさわしい、すごく絶妙なラストだったと思います。
見た直後にバッドエンドか…と思った人でも、時間が経つと実はハッピーエンドだったのかもと考えが変わるような、そんな謎めいたラストでした。
印象としては映画『鑑定士と顔のない依頼人』に似ていましたね。
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、人によって受け取り方の変わるようなラストの締め方がよく似ていました。
なのでラストの印象が人によって変わるような映画がお好きな方、考察好きな方におすすめしたい映画になっています。
反面どちらが正解なのか分からないまま終わってしまっているので、映画内にキッチリとした答えをお求めの方には不向きかもしれませんね。
映画『インセプション』の考察
【考察ポイント】
- ラストのコマの意味&結末
- 虚無からサイトーを救った方法
- モルがトーテムを隠した理由
- アーサーとアリアドネのキス
ラストのコマの意味&結末
ラストでコマが回り続けていたのは、コマが回り続けていることが現実世界の証だから…つまりコブは現実世界に帰ってこれたのだと思います。
おそらくですが、あのコマは数分間回り続ける精密コマ。
なので実は回り続けているのが正しい姿なのですが、それを知らないコブは「コマが回り続けているのはおかしい」と思い込み、間違った認識をしていたのだと思います。
コマが回り続けている=夢の世界にいると…自分に自分でインセプションをしていたのでしょう。
そうして現実と夢の境界線が曖昧になっていき現実逃避するために夢に縋り、子供に会いたいと願いながら会いに行こうとしない状態になっていたのだと思います。
そんなコブを救うためにモルの父親である男性が投入したのが、アリアドネだったのではないでしょうか。
夢の世界に入り込んでアイデアを盗む人間がいるのであれば、夢の世界に入り込んで内面から精神ケアを行うような人間がいてもおかしくはないですし…。
アリアドネは設計士としてだけではなく精神ケア方面に関しても優秀な生徒で、だからこそコブのトラウマを克服させるために義父が推薦したのではないかなと思います。
せっかく得た家族に会えるチャンスを無駄にせずトラウマを克服させて、もう夢の世界に入り浸らなくて済むようにするために…。
そう考えるとアリアドネが異様にコブの夢について聞いていたり、過去についてズカズカと踏み込んでいたことにも納得ですしね。
そしてアリアドネの努力の甲斐あってトラウマと向き合うことができたコブは、コマが回り続ける現実世界にやっと帰ってくることができたのだと思います。
虚無からサイトーを救った方法
虚無から出るために必要な夢の世界にいるという自覚、現実世界に帰りたいという意思をサイト―に与えてから命を奪ったことで、救い出すことができたのだと思います。
コブがモルと虚無から脱出した時もコブは奥さんを手にかけず、わざわざインセプションをしてまでも、自分たちの意思で線路の上に頭をのせていたので…。
おそらくですが虚無の世界から出るためには夢の世界にいるという自覚と、現実世界に帰りたいという意思が必要なのでしょう。
だからコブは無自覚に虚無に落ちてしまったサイトーに夢の世界にいることを告げ、現実世界に帰ろうとする意志を起こさせることで救い出すことができたのだと思います。
ちなみにサイト―は年老いているのにコブは若々しいままなのは、コブは夢の世界を自覚して年老いるつもりがないからではないかな。
モルと一緒に虚無に来た時は一緒に歳を取りたいと思ったからこそ年老いていましたが、もう夢の世界で生きていくつもりがないから年老いていなかったのだと思います。
モルがトーテムを隠した理由
モルがトーテムであるコマを心の奥底に隠してしまったのは、コブにトーテムを触られてしまったためにトーテムとして機能しなくなったからではないかなと思います。
トーテムを発案したのはモルと言われていたので、おそらくトーテムの性質についてまだ分かっていないことが多く、コブにトーテムを触らせてしまっていたのでしょう。
だからトーテムがトーテムとして機能しなくなってしまい、モルは今いる世界が夢か現実か分からなくなってしまったのだと思います。
夢か現実か確認する術を失ったモルは自ら命を断って夢から覚めることを躊躇するようになってしまい、もう現実世界に帰ることを諦めてしまったのでしょう。
だからトーテムを隠したのだと思います。
でも何も知らず現実世界に帰りたいと思っているコブを、モルの隠したトーテムを探し出しインセプションを行ってしまいました。
しかもコマが回り続けている状態が現実世界の証にも関わらず、コマが回り続けている状態が現実じゃない世界と、間違った認識を植え付けてしまったのです。
だから現実世界に帰った後も、モルは現実を夢の世界だと思い込むようになってしまい…愛する人と夢から覚めるために強硬手段を取ったでしょう。
なのでモルがトーテムを隠して虚無から抜け出せなくなってしまったのも、現実世界に帰ってきてから自ら命を断ったのも…全てはコブに原因があったのだと思います。
アーサーとアリアドネのキス
夢の世界に入った後、アーサーがアリアドネにキスをさせていたのはちょっとしたイタズラ心と、緊張をほぐそうとする優しさからではないかなと思います。
アーサーは真面目そうですが意外と飄々としているというか、軽口を叩くような一面もあったので…。
潜在意識から注目されていると緊張するアリアドネをリラックスさせるために、無意味にキスさせることでアリアドネの気を逸らそうとしたのではないかなと思います。
「潜在意識から注目されているのは警戒されているからじゃなくて、君がキスしたからじゃない?」という、ちょっとした冗談って感じかな。
アーサーは度々アリアドネの設計について指導したり協力したりしていたので、夢の世界に慣れているアーサーなりの気遣いだったのでしょう。
アリアドネの緊張をほぐそうとした優しさ半分…役得というか、ちょっとしたイタズラ心半分という感じでキスさせたのではないかなと思います。
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人によってラストの印象が変わるような映画がお好きな方におすすめです。
まとめ