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映画『犬鳴村』のネタバレ感想・考察 犬と人間の子が生まれる理由&最後に犬化する意味

犬鳴村

 

実在の心霊スポットをモデルにした映画『犬鳴村』。

 

どちらかといえばキャラクターそれぞれに盛り込まれた豊富な設定・そこから広がるホラーストーリーがメインで、あまり怖さは感じない映画でした。

 

なのでゾワゾワするホラー演出よりもビックリ系のホラー演出がお好きな方、豊富な設定から始まるホラーストーリーがお好きな方におすすめ!

 

 

映画『犬鳴村』の作品情報

 

あらすじ

病院で働く臨床心理士/森田奏。

 

病院にやってくる不思議な少年/遼太郎のカウンセリングに悩んでいたある日、兄/悠真から「恋人/明菜の様子がおかしい」と連絡が来ました。

 

奏が様子を見に実家に帰ると…有名な心霊スポット/犬鳴トンネルに行って以来、おかしなわらべ歌を口ずさみ、黒い絵を一心不乱に描き続けているという明菜の姿が。

 

そして明菜の不可思議な言動や犬鳴トンネルについて悠真から話を聞いている間に、彼女は外にフラフラと出て行き、そのまま鉄塔から身を投げて命を落としてしまいます。

 

突然恋人を失った悲しみが怒りに変わり、友人を集めて再び犬鳴トンネルへ向かうことを決意する悠真。

 

しかし友人と訪れた犬鳴トンネルは、明菜と訪れた時とは様子が違っていて…。

 

予告動画


犬鳴村 予告 60秒

 

動画リンク

犬鳴村

犬鳴村

  • 三吉彩花
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映画『犬鳴村』の感想

 

【面白ポイント】

  • お化け屋敷っぽい恐怖演出
  • 設定多めなホラーストーリー

 

お化け屋敷っぽい恐怖演出

映画『呪怨』の監督による映画ということで、ゾワゾワする恐怖演出をイメージしていましたが…どちらかといえばお化け屋敷っぽい恐怖演出が多めな映画でしたね。

 

何というか…何かがゆっくりと迫ってきている・初めからそこにいた何かに恐怖するような、邦画ホラーらしい恐怖演出というよりかは…。

 

突然現れる幽霊に驚かされたり、それにキャラクターがパニックを起こしたりするような怖いというよりも、ビックリするお化け屋敷的なホラー演出が多かったです。

 

一応、邦画ホラーっぽい不気味なホラー演出もあるにはあるのですが、パンチが弱いというか視覚的な怖さがないというか…個人的に怖さはあまり感じませんでした。

 

全体的に邦画というよりかは洋画寄り、心霊映画というよりかはゾンビ映画に近い演出が多かったので、私がイメージしていた恐怖演出とは違いましたね。

 

なのでどちらかといえば邦画ホラーよりも洋画ホラーがお好きな方、お化け屋敷っぽい恐怖演出がお好きな方におすすめの映画でした!

 

 

設定多めなホラーストーリー

作はホラー演出よりも、キャラクターそれぞれに盛り込まれた設定から広がるホラーストーリーがメインの映画でしたね。

 

犬鳴トンネルに行って恋人を失った兄/悠真。

2人目の母親の存在を話す少年/遼太郎。

夫から「卑しい血筋」と言われている母親/綾乃。

犬鳴トンネルの呪いについて何か知っている様子の父親/晃。

 

主人公である奏だけではなく、その周りの人物にもかなり設定が盛り込まれているので、すごくボリュームのある映画になっていましたね。

 

主人公・幽霊・場所に設定が多く盛り込まれていることはあれども、ここまで1人1人に個性があるのは新鮮で印象的でした。

 

ただ設定を詰め込み過ぎた故に中途半端になってしまっているというか、設定だけがゴチャついて情報がとっちらかっているように感じる面もあります。

 

なのでどちらかといえばスッキリとしたシンプルな映画よりも、キャラクターの設定・要素多めな映画がお好きな方におすすめな映画ですね。

 

映画『犬鳴村』の考察

 

【考察ポイント】

  • 最後に2人が犬化する意味
  • 犬と人間の子が生まれる理由
  • 犬が白けりゃ尾も白いの意味
  • ラストはタイムトラベル?
  • 犬鳴村を訪れた人が呪われる理由

 

最後に2人が犬化する意味

奏の働く病院にカウンセリングに来る少年/遼太郎と奏に犬化の兆候が見られていたのは、遼太郎も犬鳴村の生き残りの子孫だったからだと思います。

 

奏の祖父が「犬鳴村を出た身寄りのない人たちがいた」と話していましたし、その中の1人が遼太郎の先祖というか、遼太郎の母親の親に当たるのではないかな。

 

つまり遼太郎の母親が言っていた「お友達によろしく」というのは、自分と同じ犬鳴村の血筋である奏に向けていた言葉だったのでしょう。

 

遼太郎に犬化の兆候が見られたことを思うと、もしかしたら彼らの祖先も奏の曽祖母のように犬との関係を強要されるような惨い仕打ちを受けていたのかもしれませんね。

 

そこから何とか逃げ出したのか、生まれたばかりの子供だけは逃がそうとしたのかは定かではありませんが…。

 

あのラストには犬鳴村は人も村も消えてしまったけど、その血脈だけはしっかりと村の外で生き続けている・受け継がれているという意味が込められていたのだと思います。

 

犬と人間の子が生まれる理由

犬化するのは犬鳴村の人間・生き残りだからではなく、犬と関係を強要された犬鳴村の女性の恨み・呪いを受け継いだ子孫だからだと思います。

 

もし犬鳴村の人間が全員犬化するのであれば、犬鳴村の村民と思われる亡霊たちも犬化していないとおかしいですから…。

 

人型で現れたことを思うと、犬化したことと犬鳴村の人間であることは関係しないと個人的には思います。

 

森田家と遼太郎にだけ犬化の兆候が見られたのは彼らの祖先が犬に関する恨みを抱きながら子を産み、その恨みが呪いとして血脈と共に受け継がれているからでしょう。

 

村が消される前のヒマつぶしのような感覚で人間としての尊厳を奪われ、犬のように扱われていたことを…彼らの祖先は恨んでいたのだと思います。

 

もしかしたら妊娠している女性と人間を交尾させて、子供が生まれると「犬と人間の子供だ」と笑っていたのではないかな。

 

奏には犬化の兆候が見られたのに悠真・康太たち兄弟にはその兆候が現れないのは、父親似か母親似かという違いによって現れ方が違うためでしょう。

 

ただ犬との関係を強要された犬鳴村の人間の子孫である血筋には、男女どちらかに必ず犬化の呪いを受け継いだ子供が生まれてしまうのではないかなと思います。

 

犬が白けりゃ尾も白いの意味

明菜の「犬が白けりゃ尾も白い」という言葉には、犬の尻尾とへその緒を掛けて呪いが引き継がれていっているという意味が込められていたのではないかなと思います。

 

尾という言葉はへその緒・赤ん坊と掛けられていて白毛の尾は白、白毛の子供は白毛…犬鳴村の子供は犬鳴村の子供と繋がるようなセリフになっていたのではないかな。

 

もっと言えば呪いはへその緒を通して子供へ引き継がれる…逆に犬鳴村の血縁者との子供を身籠った女にも、呪いが逆流するという意味が込められていたのだと思います。

 

犬が白けりゃ尾も白い…尾が白ければ、そりゃ犬も白いはずですからね。

 

つまりあのセリフには犬の尾とへその緒を掛けて、犬鳴村の呪いが子に引き継がれていること、犬鳴村の血筋以外が身籠ると呪われることを意味していたのだと思います。

 

ラストはタイムトラベル?

ラストで奏が未来の祖母(赤ん坊)を抱いて祖父宅まで来るシーンがありましたが、あれはあくまでも過去の出来事を追体験しただけで、タイムトラベルではないと思います。

 

というか「タイムトラベルしてました!」だと個人的に納得いかないので、タイムトラベルを否定する形で考察してみました。

 

赤ん坊の祖母が祖父宅の前に置き去りにされていたことが事実なのだとすると、あれはおそらく曾祖父にあたる男性/健司の過去を追体験していたのだと思います。

 

曽祖父は犬鳴村の人間が消され始めた時、閉じこめられていた恋人/摩耶が産んだ自分たちの子供を抱き上げ、村の外に逃がすために祖父宅まで連れて行ったのでしょう。

 

そして祖父宅の前に子供を置いた後、女性も助けようと村に戻ろうとしたところをダム計画を進めていた人物に襲われ、命を奪われたのではないかな。

 

そして遺体は他の村民と同じように、ダム予定地である犬鳴村に放り込まれたのだと思います。

 

曾祖父だけは命を落とした場所が違うからこそ、他の村民と違って魂が犬鳴村に縛られていないのでしょう。

 

そう考えると曾祖父が祖父宅や奏の実家に現れていたこと、犬鳴村に訪れた人間を呪うことなく、1人だけ正気を保って生者のような姿をしていたことにも納得がいきます。

 

なので個人的にはラストのあれはタイムトラベルではなく、曾祖父の過去を追体験していただけだと思いました。

 

犬鳴村を訪れた人が呪われる理由

悠真の友人や恋人など、直接的に犬鳴村と関係ない人物まで訪れただけで呪われていたのは、犬鳴村がダムになったことで恩恵を受けた人々だったからかなと思います。

 

犬鳴村のダム計画さえなければこんなことにはならなかったのに、犬鳴村の近くに住む人々が潤いのある豊かな生活を望んだからこうなったと思っているのではないかな。

 

だからダム計画に直接的に関係していなくても近隣の人々からその子孫まで全員、犬鳴村の亡霊にとっては呪う対象になるのではないかなと思います。

 

もしくはダム計画が進められたのは自分たちが外部の人間を受け入れたからだと亡霊は考えていて、外部の人間は敵と認識して全て排除しようとしているのかもしれません。

 

ただ犬鳴村の亡霊たちはダムの底に魂が縛られているので、犬鳴村にさえ近付かなければ誰も呪われることはなく安全だったのだと思います。

 

特例の悠真・康太・明菜

犬鳴村の呪いの対象外になるのは、犬鳴村の血縁者のみ。

 

森田家の悠真・康太は、犬鳴村に囚われてはいたものの命は奪われていませんでしたから…村の血縁者には一定以上の恩赦・配慮があったのだと思います。

 

悠真の恋人/明菜が対象外になっているのは、村の血縁者である悠真の子供を身籠っていたためでしょう。

 

外部の人間とは言え、身籠っていることを考えれば嫁に当たる人物なわけですから…悠真の友人たちのように、すぐ命を奪われることはなかったのだと思います。

 

ただ犬鳴村の悲劇に見舞われた子孫以外の人物が、犬鳴村の血脈を身籠るのは難しかったのかでしょう。

 

森田家は犬鳴村の血縁者である女性が身籠っていたから問題なかったけど、外部の人間が犬鳴村の血縁者を身籠ると…呪いをモロに受けてしまって持たないのかも。

 

もしくは妊娠した状態で犬鳴村を訪れたことで、お腹の中の赤ちゃんの犬鳴村の呪いが覚醒して…その影響で気が触れてしまったのかもしれませんね。

 

つまり犬鳴村の関係者は基本命は奪われないから、嫁に近い存在の明菜も無事だったのですが、赤子から逆流する犬鳴村の呪いで病んでしまったのではないかなと思います。

 

映画『犬鳴村』の関連作品

 

 

 
今作の小説版。

映画への理解度をもっと高めたいという方におすすめです。

 

 

 
犬鳴村の怪談を集めた1冊。

映画を見てモデルとなった舞台に興味が湧いたという方におすすめです。

 

樹海村

樹海村

  • 山田杏奈
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恐怖の村シリーズの2作目。

個人的には犬鳴村よりも好きな映画でした。ただかなり考察次第な映画です。

 

牛首村

 

 
恐怖の村シリーズの3作目。

今シリーズの中で1番怖い&面白いと感じた映画でした。

 

まとめ

 

視聴後の考察は楽しかったのですが、個人的にはあまり好みではない映画でしたかね…。

 

ホラー演出はお化け屋敷系で怖くはないし、設定とキャラが多くてストーリーはゴチャつくしで…私好みのホラー映画ではなかったかなと思います。

 

なのでどちらかといえばお化け屋敷のようなビックリ演出がお好きな方、複数要素・設定が盛り込まれている、考察が面白い映画がお好きな方におすすめな映画でした!