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映画『この子は邪悪』の感想・考察 ラストの意味&タイトルの『この子』とは

この子は邪悪

 

少しずつ幸せに向かっていた家族の、真実と裏を描いた映画『この子は邪悪』。

 

どんどん不穏になっていくストーリーと、結局怖いのは人間だったと感じる映画で…考察次第でオカルトにもサイコホラーにもなる映画で面白かったです。

 

どちらかと言えば人間の闇を感じるサイコホラー系の映画がお好きな方、考察次第でラストやキャラの印象が変わる映画がお好きな方におすすめ!

 

 

映画『この子は邪悪』の作品情報

 

あらすじ

精神病で意思疎通ができない母親とよく似た精神病患者の調査をしてはファイリングしている、母・祖母の3人暮らしをしている男子高校生/四井純。

 

純は古めかしく少し不気味な『くぼ心理療法室』という病院を見つけ、その家の娘と遊んだ記憶を思い出しますが…ちょうど患者が来たため、訪問はできませんでした。

 

退行療法を行う心理療法士でもある男性/窪司朗はやってきた患者に、5年前、家族で遊園地に行った帰りに居眠り運転のトラックに衝突されたことを語ります。

 

妻/繭子は意識不明のまま今も眠り続けていること、次女/月は顔に負った火傷を仮面で隠して外出できるにいること、自身は足に後遺症が残っていることを。

 

唯一無傷だった長女/花は、負い目を感じて心に深い傷を負いましたが…病院で飼っているうさぎの世話・家事・妹の勉強を見て、少しずつ穏やかな日常を取り戻します。

 

そんなある日、窪家に母親/繭子が帰ってきて、家族は感動の再会を果たしますが…花には繭子がどうしても母に見えず、家族の輪の中に入りきれなくて戸惑っていました。

 

けれど繭子が母しか知らない、父親の誕生日プレゼント用に縫っていた刺繍の話をしてきて、今までごめんと言われて…やっと母親を受け入れ、家族が戻ったのを感じます。

 

一方、純は窪司朗に関心を持ち、彼が『子供の幸せを守る会』という慈善団体の会長であることを知りますが…。

 

予告動画


www.youtube.com

 

動画リンク

 

映画『この子は邪悪』の感想

 

【面白ポイント】

  • だんだん不穏になるストーリー
  • 結局怖いのは人間という結末
  • オカルトホラーかサイコホラーか

 

だんだん不穏になるストーリー

不幸な過去を持つ家族が少しずつ幸せになってきたと思ったのに、少しずつ不穏なストーリーにすり替わっていくストーリー展開のギャップが良かったですね。

 

母親が帰ってきて家族が元通りになったはずが、友達になった純が妹の月はすでに亡くなっている・母親が誰かのなりすましではないかと言ってきて…。

 

父親としても医者としても人間としても聖人君子のようだった司朗が、言葉巧みに他人を洗脳して思い通りにしようとする悪人に印象が変わっていく。

 

全てが良い方向に向かっていたはずなのに、相手は変わっていないけど自分の中で相手の印象が悪い方向に変化していく…そんなストーリー展開がすごく良かったです。

 

幸せが不穏な気配に飲み込まれて、穏やかだった日常が偽物だと気付いていく…そんなゾワゾワする何かがどんどん出てくる感じが個人的には好みでした。

 

父親がやべーのか、主人公がやべーのか、それとも皆やべーのか…何もかもが疑わしくて、日常に潜む隠された恐怖みたいな謎めき加減も良かったです。

 

印象としては映画『ビューティフル・マインド』とか『トゥルーマン・ショー』に似ていたかな。

 

自分の身近にいる人・日常の全てが満ち足りていたはずなのに、その全てが偽物だったという恐怖…周りがどんどん不穏に変化していく感じがよく似ていたかなと思います。

 

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結局怖いのは人間という結末

正義のために悪の道に進み、家族・自分のために他人を犠牲にする司朗には、人間の闇とか怖さみたいなのが詰まっていて良かったですね。

 

子供のための慈善活動をして、心理療法士として心を病んだ人に魂の救済をなんて言っていたのに…司朗のやることは『罪人』には無慈悲でした。

 

そしてそんな司朗を花は拒絶して、月は彼を刺して、繭子は彼を肯定して最期まで寄り添い続ける。

 

それぞれの思惑や闇が入り乱れ、オカルトよりも怖い人間の闇が詰まっている感じが個人的に大好きですごく良かったです。

 

印象としては映画『ゲット・アウト』に似ていたかな。

 

まさかの方向性に向かう結末のインパクト、自分のために他人を犠牲にすることを厭わない人間の闇が詰まっている感じがよく似ていました。

 

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オカルトホラーかサイコホラーか

一応、映画内でオカルト系ホラーというネタバラシがされていましたが、ここは考察次第でサイコホラーにも感じるような…人によって捉え方が変わる映画でしたね。

 

父親は本当に魂の交換ができたのか、月と繭子は魂を交換されているのか…ネタバラシはされているものの、考察次第で受け取り方は変わってきます。

 

個人的にはサイコホラー系の方が好みだし、しっくり来たので…サイコホラー系の捉え方をしました。

 

ただどっちで捉えても面白いと思うし、人よって解釈が変わるのもそれはそれで楽しいと思えるようなエンディングだったかなと思います。

 

どっちが正解とかではなく、自分の好きなように楽しめば良いというか…楽しめる余地が残されていることに魅力を感じる映画でした。

 

印象としては映画『シャイニング』に似ていたかな。

 

人によってはキャラ1人だけが狂っていたサイコホラーにも感じるし、幽霊や超能力にも感じる…考察や人によって捉え方や受け取り方が変わる感じがよく似ていました。

 

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映画『この子は邪悪』の考察

 

【考察ポイント】

  • 司朗は魂交換ができたのか
  • うさぎの行動の意味
  • 妹/月と母親/繭子の正体
  • 純はどうなったのか
  • 花の真意
  • タイトルの『この子』の意味
  • ラストの意味

 

司朗は魂交換ができたのか

個人的には司朗には退行療法で魂の取り出し・交換ができるような力はなく、自身に暗示を掛けていて思い込んでいただけ、全ては妄想だったのではないかなと思います。

 

司朗は妻・次女が昏睡状態、長女が責任を感じているのを見て「自分が何とかしなければ」と、自分自身に強い自己暗示のようなものを掛けてしまったのでしょう。

 

家族を守る・家族を幸せにする・誰も失わないと思い込んだ結果、実際にはできるはずのない魂の交換ができると思いこんでしまっていたのだと思います。

 

実際は退行療法・催眠療法によって相手の人格を壊し、あなたはうさぎ・月・繭子とそれぞれに洗脳を施して、そう思い込ませていただけでしょう。

 

司朗には心理療法士として、人間の精神に干渉して人格の破壊・記憶の蓋の開け閉め・刷り込み・洗脳などを行う技術は持っていたと思います。

 

ただそれも洗脳にかかりやすい状態の人…悪事に罪悪感を感じていた人・精神的に不安定な人・影響を受けやすい子供などだけでしょう。

 

つまり司朗は心理療法士として人間の精神に干渉して人格の破壊・洗脳を行っていただけで、魂の取り出し・交換する力などはなかったと思います。

 

うさぎの行動の意味

純うさが花の足元に来たり、母うさが純に懐いていたのは、彼らの魂が入っているからではなく懐っこいうさぎだったから、うさぎ好きに懐いていただけだと思います。

 

何というか動物って「あ、さてはこの人間、私のことが好きだな」というのを敏感に読み取って見抜くので…。

 

うさぎが好きな花や純に、人懐っこいうさぎがたまたま寄っていっていただけではないかなと思います。

 

あとはたくさんの人がくる診療所で飼われていたために、人馴れしていたからというのもあるかもしれませんね。

 

最後に放たれた純うさ・母うさが純の家に行っていたのも、別に魂が入っているからではなく、人の気配がない家には入りやすかったというだけでしょう。

 

祖母が司朗の手にかかっていなくなって、純・母親だけで生活ができるとは思えないので…あの家は無人で、野に放たれたうさぎには入りやすかったのではないかな。

 

つまりうさぎと人間の魂が交換されているということはなく、たまたまうさぎ好きに近づく懐っこいうさぎだったから、入りやすい家があったからというだけだと思います。

 

妹/月と母親/繭子の正体

妹の月と母親の繭子も本人の魂が入っているということはなく、司朗の洗脳・催眠によって魂を交換されて自分が本人だと思いこんでいるだけだと思います。

 

おそらく本人たちの残した日記を呼んだり、司朗から話を聞いたことによって、彼女たちの情報を刷り込まれて本人だと思い込まされているのでしょう。

 

繭子が母親しか知らないはずの昔、花が密かに作っていた誕生日プレゼントの刺繍のことを知っていたのは、司朗がそのことを知っていたからではないかな。

 

10歳前後の子供の隠し事なんて、隠しているつもりでも全く隠せていないものですから、普通に自分のために刺繍をつくっていたと知っていたのでしょう。

 

そして花が繭子のことを疑っていると知った司朗は、そのことを思い出して繭子にその話をするように指示を出していたのだと思います。

 

指示といっても繭子も本人だと思いこんでいるので「あの誕生日プレゼントの刺繍どうなったのかな」とか、自然な流れで花に話すように誘導していたのでしょう。

 

なので月・繭子本人たちは亡くなっていて、彼女たちは司朗の催眠によって魂を交換されて本人になっていると思いこんでいるだけだと思います。

 

そして司朗が亡くなった後は、誰か技術のある人に催眠を解かれるまで月・繭子は魂を交換された人間として、本人として生きていくしかないのではないかな。

 

純はどうなったのか

純は司朗に記憶の蓋を開けられて精神的に不安定になった隙きを突かれて、催眠によって人格を壊された上で、君はうさぎという洗脳を刷り込まれたのだと思います。

 

そして母親と同じ状態になってしまいました。

 

その結果、窪家と関わったことで孫と娘が壊れたと思った祖母も、精神的に壊れ始めていて司朗を襲撃したのだと思います。

 

しかし反撃にあって命を落とし…司朗の遺言の通り、繭子たちは「司朗が祖母を手に掛けた」ということにして警察に通報したのでしょう。

 

そして警察は事情聴取のため、純の家を訪問したのですが…そこにいたのは意思疎通ができない純と母親だけ。

 

事情聴取はおろか2人だけで生活するのは難しいと判断した警察は、彼女たちを精神病院や療養施設に入院させたのだと思います。

 

催眠療法が行える医師がいれば、洗脳が解かれて元に戻ることもできるかもしれませんが、他の患者たちが放置されていることを思うと望みは薄いでしょう。

 

花が申告してくれる可能性もなさそうですしね。

 

司朗に人格を破壊されうさぎだと洗脳された純と母親は、祖母を失って精神病院や療養施設に入院させられ、そこで一生を終えるのではないかなと思います。

 

花の真意

5年ぶりに帰ってきた繭子が母親ではないとすぐに気付いていた花であれば、月・繭子が魂の交換など行われていない、全ては司朗の洗脳だと気付いていると思います。

 

ただその上で彼女たちは月・繭子だと、家族だと受け入れているのではないかな。

 

父親を失ったばかり、本当の家族は全員亡くなっている…一人ぼっちに耐えられなくて、父の残した嘘と洗脳を飲み込んだのでしょう。

 

彼女たちが本物ではないと分かっているけど、彼女たちは自分のことを家族だと呼んでくれる。

 

だからそのままでいようと…花も司朗と同じように自分自身のために、彼女たちのことを家族だと洗脳されたままにするのだと思います。

 

タイトルの『この子』の意味

タイトルのこの子は邪悪の『この子』というのは、ラストで登場した赤ん坊のことではなく、全ての嘘と洗脳を自分のために受け入れた花のことではないかなと思います。

 

自分のために、『家族』を守るために純・他の患者・月と繭子にされた人も全てを犠牲にして、司朗の洗脳を良しとして受け入れた花。

 

司朗の心や意思・洗脳を引き継いで同じ道を歩む花は、司朗を拒絶していたにも関わらず同じように邪悪な存在になっていたのではないかなと思います。

 

ラストの意味

ラストで意識を失いかける司朗が呟いていたのは催眠療法の言葉で、自分と繭子のお腹の中にいる赤ん坊の魂を入れ替えようとしていたのだと思います。

 

子供が第一、家族が一番大事と言っていたのに、お腹にいる子供のことはまだ生まれていなからって蔑ろにするんだな…と個人的には思いましたが。

 

ただあくまでも魂の交換ができるというのは司朗の妄想だと思うので、実際に赤ん坊の中に司朗の魂が入っているということはないと思います。

 

ラストで赤ん坊が司朗がやっていた手を八の字に動かすモーションをしていたのは、お腹の中から見ていたから…胎内記憶があったからでしょう。

 

赤ちゃんはお腹の中から繭子に催眠を掛ける司朗を見ていて、そのことを覚えていたから真似して同じ動きをしていたのではないかな。

 

つまり司朗と赤ん坊の魂が交換されているなんてことはないし、赤ちゃんが司朗の動きを真似していたのは胎内記憶があったからというだけだと思います。

 

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シャイニング (字幕版)

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今作がお好きな方におすすめ。
サイコホラーかオカルトホラーか、人によって印象が変わるのがお好きな方に。

 

 

 
今作のノベライズ版。
もっとキャラの心情や過去を深堀りしたい方におすすめです。

 

まとめ

 

不幸なスタートから幸せになって、そこから不穏になっていくストーリー展開も良かったし、人間の闇を感じるラストも個人的には好きでした。

 

サイコホラーだったのか・オカルトホラーだったのか考察する余地が残されていたのも、視聴後の楽しみもあって良かったです。

 

なのでどちらかと言えば人間の闇を感じるサイコホラー系の映画がお好きな方、考察次第でラストやキャラの印象が変わる映画がお好きな方におすすめでした。

 

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