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映画『来る』のネタバレ感想・考察 琴子の最後とその後&ぼぎわんの正体

来る

 

姿なき謎の存在が迫りくる映画来る』。

 

謎の存在に恐怖するホラー映画かと思いきや、闇を持つ主人公たちを中心に描かれた、人間が怖い系のイヤミス系映画で思っていたのとは違ったけど面白かったです。

 

どちらかといえば面白いパニックホラー系のB級映画がお好きな方、人間の闇が詰まったイヤミス系映画がお好きな方におすすめ!

 

 

映画『来る』の作品情報

 

あらすじ

祖父の法事のため、田舎に恋人を連れて帰省した田原秀樹。

 

その際、この地方に伝わる悪い子供を山へと攫うお化け/ぼぎわんの話が出るのですが、秀樹は興味がないフリをしてその話に入ろうとはせず…。

 

恋人/香奈に母親の手伝いをするよう伝えたり、姿の見えない祖母の様子を1人で見に行ったりと忙しく動き回っていました。

 

帰省時には不安も多かった2人ですが、その後、無事結婚。

 

親しい友人にヤイヤイ言われながら結婚式を行って、新婚生活を経て妊娠&新居購入…秀樹はイクメンぶりを綴った子育てブログまで始めて、幸せの絶頂にいました。

 

しかしそんな秀樹と周りの人間に、不可解な闇は迫ってきていて…。

 

動画リンク

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  • 岡田准一
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映画『来る』の感想

 

【面白ポイント】

  • 闇を持つ主人公たち
  • 人間が怖いホラー映画
  • 面白いB級映画

 

闇を持つ主人公たち

今作の主人公たちは外面重視のイヤな夫、いい母でいなければと思いながらヒステリックになってしまう母親など…なかなかに闇深いキャラクターばかりになっています。

 

しかも内面的なものを隠すために表面上は良い人でいたいという想いが強い、何とも日本人らしいイヤな奴感が漂うキャラクターばかりで良かったですね。

 

自分の周りにはいてほしくないけど映画のキャラクターとしては際立っていたし、実際にいそうなリアルさがある人物像で、親しみたくない親しみやすさがありました。

 

個人的には特に秀樹が好きでしたね。

 

彼女と子供を愛しているイクメンな俺!を演じながら、実際はそんな妻子を愛している自分に酔っているだけ…行動は伴ってないし、相手の気持ちはおかまいなし

 

悪い人ではないんだけど内弁慶で、格上と思った人間にはすり寄るけど身内や自分より格下と思った相手への当たりが強い感じが、なかなかにゲスくて良かったです。

 

また妻夫木聡さんの演技が良くて…人当たりの良さそうな顔立ちからは想像つかないほどの豹変ぶりがすごくリアルで、秀樹のキャラクターにピッタリでしたね。

 

なのでどちらかといえば闇深いキャラクターがお好きな方、リアルなゲスさがある主人公がお好きな方におすすめな映画です。

 

人間が怖いホラー映画

今作は幽霊やお化けの怖さはほとんどなく、結局怖いのは人間というタイプのホラー映画だったかなと思います。

 

怖いシーンがないわけではないのですが、直接おばけを映さないような画角が多いので映像的にはそんなに怖くはなかったですね。

 

どちらかといえば血糊の方がすごくて、怖さよりもグロさの方が強かったように思います。

 

なのでどちらかといえば心霊系ホラー映画をお探しの方よりも、人間の闇を描いたイヤミス映画がお好きな方、モンスターパニック系がお好きな方におすすめな映画でした!

 

ただテンポは良いし、映像もCGで結構凝っていたりと魅力的な部分も多かったので、想像していたジャンルとは違っても、何だかんだ楽しめる映画ではありましたね。

 

印象としては、映画『ミスト』と似ていたかもしれません。

 

なのでミストがお好きだった方だと今作も気に入り、今作がお好きだった方だとミストも気に入るのではないかなと思います。

 

◆あわせて読みたい◆

 

面白いB級映画

局ぼぎわんって何だったのだろう?決着はついたの?など謎のまま終わっている部分は多いのですが、終わってみると謎の満足感がある面白い映画でした。

 

映像は全体的に凝っていて見応えはあったし、お化けより闇の深い人間模様は面白くて…バトルをラストに入れつつ結末は視聴者に委ねる。

 

何というか、面白いB級映画って感じでしたね。

 

個人的には特にラストのばぎわんとのバトルが好きで、様々な霊媒師が集まっているのは異種格闘技みたいで斬新だったし、柴田理恵さんがとにかくカッコよかったです!

 

登場した時はインチキ臭くて「当て馬役なのかな~」と思っていましたが、意外にも最後まで戦い続けるめちゃくちゃカッコイイキャラで好きでしたね。

 

柴田理恵さんの演技も自然でしたし、キャラクターともマッチしていたのですごく良かったです!

 

ただあくまでもB級映画として面白かったという感じなので、純粋に怖いホラー映画をお求めの方、万人受けする映画をお求めの方には不向きかもしれません。

 

どちらかといえば面白いB級映画がお好きな方、イヤミス系・お化けバトル・モンスターパニック系を全部組み合わせたような映画がお好きな方におすすめな映画です。

 

映画『来る』の考察

 

【考察ポイント】

  • 琴子の最後&その後
  • 知紗の名前が同じ意味
  • ラストで霊媒師を集めた理由
  • 知紗と祖母が連れ去られた理由
  • ぼぎわんの正体

 

琴子の最後&その後

ラストで真琴の姉/琴子はたった1人で部屋に残り、自分の命と引き換えにぼぎわんを除霊するというか消滅させることに成功したのだと思います。

 

ぼぎわんの体液と思われるドロドロとした血のようなものが大量に部屋から噴き出していましたし、ぼぎわんにかなりのダメージを与えたのでしょう。

 

ただ除霊道具を壊され、仲間全滅と追い込まれた状況だったことを思うと…ぼぎわんを払うことはできたものの、代償として琴子は亡くなってしまっていたと思います。

 

しかし何とかぼぎわんを祓えたとしても、ぼぎわんの正体が仲間を求める霊の集合体なのだとすると、時間が経てばまた新たなぼぎわんは生まれてしまうのではないかな。

 

なので今回の除霊に関しては琴子が自らを犠牲にすることで何とか祓えましたが、2度とぼぎわんが現れないようにするのは不可能なのではないかなと思います。

 

知紗の名前が同じ意味

秀樹の幼馴染と娘が同じ名前なのは、秀樹の体内に残されているぼぎわんの一部・虫が影響して、同じ名前を無意識に付けさせられたからではないかなと思います。

 

秀樹は知紗の名前を憶えていないと言っていたけど、おそらく記憶の奥底にはこびり付いていて、それをぼぎわんに引き出されて娘に同じ名前を付けてしまったのでしょう。

 

そしてそんな秀樹の娘である知紗は生まれた時から体内に虫を宿していて、ぼぎわんを遊び相手にしながら育ったのだと思います。

 

ぼぎわんはたくさんの子供の姿で現れたり幼馴染の知紗の姿で現れたり、取り込んだ人間の声を真似たりしていたので…知紗の前には幼馴染の姿で現れていたのでしょう。

 

だから知紗は赤い靴を買ってもらう時に「お姉ちゃんと一緒」と喜んでいたのだと思います。

 

そして知紗が幼稚園で突然お友達に靴を投げたり熱をよく出していたりしたのも、全ては生まれた時から虫を宿していた影響なのではないかな。

 

つまり知恵が秀樹の幼馴染と同じ名前なのは肉体に宿るぼぎわんの一部・虫の影響を受けていたため、さらにその虫が娘にも引き継がれていたためではないかなと思います。

 

ラストで霊媒師を集めた理由

琴子がラストで坊主・神主・ユタと様々な業種の霊媒師を集めたのは、霊の集合体であるぼぎわんを確実に・一気に祓うためだったのではないかなと思います。

 

霊の集合体ということは、霊1人1人に対応した宗教・祓い方が違うということです。

 

例えば生粋の仏教の人にキリスト教の教えを説いても急には理解できないだろうし、同じ仏教でも宗派によって細かい作法や教えが変わってきますから…。

 

ぼぎわんの中にいる1人1人の霊全ての宗派に対応しながら一気に祓うためには、多種多様な霊媒師を集める必要性があったのだと思います。

 

もしくはぼぎわんという神がどの宗派に属するものか・どの呼び出しに対応するか分からなかったため、多種多様な霊媒師を集めた可能性もあるかもしれませんね。

 

知紗と祖母が連れ去られた理由

秀樹の幼馴染/知紗と秀樹の祖母がぼぎわんに連れ去られたのは、秀樹の祖父経由でぼぎわんに取り憑かれていたからだと思います。

 

秀樹の幼少期の回想中、寝たきり状態の祖父の周りをぼぎわんと思われる謎の人物が徘徊していたことを思うと…祖父はぼぎわんに取り憑かれていたのでしょう。

 

そしてそんな祖父から祖母・秀樹・知紗と呪いが連鎖していったのではないかなと思います。

 

そんな幼い頃からぼぎわんに取り憑かれながらも秀樹が無事だったのは、秀樹は疎ましく思われることはあれども、人を疎ましく思うことがなかったからかな。

 

簡単に言ってしまうとメンタルが強靭だったのでしょう。

 

逆に知紗ちゃんは家庭内に少し問題があったという話があったので、そのことで幼くしてメンタル的に弱っていたために、ぼぎわんに連れ去られたのだと思います。

 

祖母は痴呆状態にあったので…おそらくその影響でメンタル的に不安定だったところを、ぼぎわんに連れ去られてしまったのではないかな。

 

どちらも連れ去られた時期には大きな開きがありますが、憑りつかれた時期・連れ去られた理由に関してはどちらも祖父経由で同じだったと思います。

 

ぼぎわんの正体

ぼぎわんの正体は「生者が羨ましい」「なんで自分ばかり」「仲間が欲しい」という想いを持った霊が数珠つなぎに集まってできた、霊の集合体のようなものだと思います。

 

連鎖する呪い

おそら生前親しかった人間に取り憑き、精神的スキマに入り込んで弱らせて命を奪い、そして自分の仲間に引きいれるということを繰り返す存在だったのではないかな。

 

だから知紗→秀樹→香奈→知紗→真琴と、連れ去られていく人間が家族・知人に限定されていたのだと思います。

 

そしてぼぎわんはターゲットを1人には定めず、同時進行しながら複数人に取り憑くことができるのでしょう。

 

だから秀樹に取り憑きながら秀樹の後輩、香奈に取り憑きながら関西弁の男性/津田という風に、同時進行させながら連れ去ることができたのではないかな。

 

そして知人経由でどんどん取り憑く人間を増やしていき、精神的スキマに入り込んで弱らせて、どんどん自分たちの仲間を増やしていたのではないかなと思います。

 

ぼぎわんと虫

ぼぎわんに取り憑かれた人が虫の幻覚を見たり虫を吐いたりしていたのは、虫がぼぎわんの触手や手下のようなものだったからだと思います。

 

おそらくぼぎわんはターゲットの体内に虫の卵を埋め込み、ターゲットのメンタルが不安定になった時に孵った虫が体内で暴れるようにしていたのではないかな。

 

虫が暴れるタイミングはおそらくは他人を羨んだり疎ましく思ったり、憎んだり恨んだり…ネガティブな感情になった時

 

ぼぎわんは生者を羨ましがって人に取り憑く霊だったので、ぼぎわんに取り憑かれた人もぼぎわんと同じような感情になった時、呪いが発動するのでしょう。

 

そしてぼぎわんの手下である虫はどんどん人づてに感染していき、ぼぎわんが直接手を下さなくても憑りつく人間を増やしていくことができたのではないかなと思います。

 

ぼぎわんと山

ぼぎわんが人を山に連れ去ること、ぼぎわんに取り憑かれた知紗が山に行きたがっていたことを思うと、ぼぎわんの本体は山にいるのだと思います。

 

琴子がぼぎわんを神のようにうやうやしく呼び出していたのは、一応ぼぎわんが神のような存在だから。

 

おそらく秀樹の地元にある山に神として祀られているか、もしくは山に封印されていた霊の集団が人々から恐れ敬われ、神という存在になったのではないかなと思います。

 

だから山から動けないし、動けない。

 

つまり本体が山に縛られているぼぎわんが山から出られるのは、虫を介してターゲットに近付く時だけなのではないかなと思います。

 

映画『来る』の関連作品

 

 

 
映画のもとになった原作小説。

ゆっくりじっくりと状況を整理しながら理解したい方におすすめです。

 

 

 
今作のマンガ版。

男女問わずに読みやすいシンプルな絵柄なので、興味のある方はぜひ!

 

まとめ

 

お化けよりも怖いのは人間というタイプのホラー映画で面白かったです!

 

ただ面白いB級映画として楽しめるような映画だったので、好みは別れやすそうだったかなと思います。

 

なのでどちらかと言えば面白いB級映画がお好きな方、人間の闇が詰まったイヤミス系の映画がお好きな方におすすめな映画でした!