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映画『万引き家族』のネタバレ感想・考察 亜紀とおばあちゃんの関係&家族構成と出会い

万引き家族

 

とある家族をテーマにした映画『万引き家族』。

 

話題作というだけあって話が良くできていて、冒頭から張り巡らされている伏線がラストに集約されていく感じが個人的には好きでしたね。

 

今作はどちらかといえばバラバラに歪んでいる家族を描いた映画がお好きな方、考えさせられるような映画がお好きな方におすすめ!

 

 

映画『万引き家族』の作品情報

 

あらすじ

高層マンションの合間にポツンっと取り残された平屋に住む5人家族。

 

祖母/初枝の年金を頼りにした生活で、お世辞にも良い暮らしをしているとは言えない日々でしたが、口は悪いものの仲の良い家族が仲良く暮らしていました。

 

そんな寒い冬のある日、父/治と息子/祥太は団地の廊下で震えている幼い少女と出会います。

 

見かねて家に連れ帰ると少女の体はアザだらけ…家まで訪れてみると、中からは両親が争い合っているような音が響き渡っていました。

 

そんな少女を心配した母/信代は彼女を家には帰さず、自分の娘として育てようと言い出します。

 

こうして家族に1人の少女が加わり、6人で仲睦まじく暮らしていくことになるのですが…。

 

予告動画


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万引き家族

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映画『万引き家族』の感想

 

【面白ポイント】

  • 血縁関係のない家族
  • じゅりちゃんにとっての幸せ

 

報われない歪んだ家族関係

最初は仲の良い家族に少女が仲間入りするだけのストーリーだと思ったのですが、実は家族に血縁関係がなかったという驚きの真実で面白かったですね。

 

家族縁の薄い子供たちを家族として迎えること自体は良いことなのですが、迎えた後の環境は決して良いものとは言えず…。

 

幸せなように見えて不幸が続くというのが、世の中の歪みを表現しているように感じられて良かったなと思います。

 

何というか実の家族の元にいても不幸で、この一家の元にいても不幸と言うのが皮肉で…何とも報われない家族映画でしたね。

 

なので今作は普通に幸せな家庭映画、温かな家族映画をお求めの方には向いていないのかもしれません。

 

どちらかと言えば仲の良さそうな家族の裏を描いた映画とか、それぞれの違った愛情の形を描いた映画、歪んだ家族映画がお好きな方におすすめな映画でしたね。

 

じゅりちゃんにとっての幸せ

今作の中で個人的に一番気になったのは、じゅりちゃんにとっての幸せは何なのだろうというところですね

 

愛情のない両親のもとにいるのが幸せだとは絶対に思えませんが、かと言ってこの家族の元にいるのが幸せだとも思えません

 

この家族の元にいれば世間的には永遠に行方不明扱いで学校にも行けませんし、隠され続けていることで就職も難しく、恋や結婚も難しいでしょう…。

 

愛情は注いでくれるということで一時的な幸せはあるかもしれませんが、将来的なことを考えればじゅりちゃんにとっては損しかありません。

 

でも実の親とは言え、あそこまで裏表の激しい親のもとにいるのも幸せとは思えませんし…。

 

果たしてじゅりちゃんにとってはどの道が一番幸せな選択肢なのか…最後まで私には分かりませんでした。

 

今作はそんな答えのない疑問、子供の幸せについて考えさせられるような映画がお好きな方にぜひともチェックしてみていただきたいですね。

 

映画『万引き家族』の考察

 

【考察ポイント】

  • 亜紀とおばあちゃんの関係
  • 家族構成と出会い
  • ラストで祥太がわざと捕まった理由

 

亜紀とおばあちゃんの関係

亜紀とおばあちゃんの関係はお互いが同じ状況を経験した理解者であり、亜紀にとっては自分を唯一理解してくれる母親のような存在だったのではないかなと思います。

 

真面目そうな両親、明るく元気な妹がいる亜紀ですが…家族仲があまり良くないように感じました。

 

亜紀がオーストラリアにいると話している時に、母親が「父親は寂しがっている」と言っていたので、父親はということは母親は娘がいなくても寂しくないということ。

 

つまり母親と亜紀はあまり仲が良くないのだと思います。

 

そして初枝が元夫の話をしている時。

 

「血は争えない」と亜紀の父に言っていましたが、あれには顔が似ているということだけでなく浮気性なところも似ているという意味も込めていたのではないでしょうか。

 

つまり亜紀の父親は初枝の元夫と同じように浮気をしていて、亜紀は前妻との子供

 

現在の母親は浮気の末に本妻に格上げされた後妻、妹のさやかは後妻との子供で姉妹には血縁関係がないと考えられます。

 

そして亜紀の妹・さやか。

 

「ソースは〇〇じゃなくて△△ね!」「ケーキ、私の分も取っといてよ!」とわざわざ母親に言ってから出かけていました。

 

ここはほぼ妄想ですが、母親は前妻の子供である亜紀と仲良くしようと亜紀好みの味付けで料理したり、さやかよりも亜紀を優先するようなことをしていたのではないかな。

 

そのせいでフラストレーションの溜まった妹は不満をぶちまけて、家族内でケンカが起きたか母親とぶつかったか、浮気した実の父親へ怒りの矛先が向いたのか…。

 

何が起きたかは定かではありませんが、ちょっとしたきっかけから元々良くはなかった家族仲が崩れ去ったのではないかな。

 

そんな家族仲に嫌気がさした亜紀は家を飛び出し、初枝と出会ったのだと思います。

 

血のつながりこそないものの同じように男の浮気に悩んだ経験があり、自分の実の母親と同じ前妻というポジションにいる初枝。

 

そんな共通点から亜紀は初枝を実の母親のように大切な人・1番身近な人と思うようになり、あの家で一緒に住むことを決めたのではないかなと思います。

 

家族構成と出会い

家族は誰1人血がつながっておらず、法的に家族であると認められている人は存在しません。

 

治・信代は結婚しておらず、元々は治が信代の働いていた店の常連という関係だったようですが、治が信代の元夫の命を奪ったことから一緒にいるようになります。

 

子供たちはこの2人の実の子供ではなく、家族縁の薄い子供たちを家に連れ帰っては自分の子供として育てていました。

 

家の主である初枝は元々この家に1人で住んでいて、実の息子は博多に住んでいます。

 

そんな初枝と治・信代夫婦との出会いはおそらくですが、信代たちが廃屋だと勘違いしたこの家に元夫を埋めるために侵入してきたことがきっかけでしょう。

 

その現場を見た初枝は、家の下に埋めるのを許可する代わりに一緒に住むようにと条件を出したのではないかなと思います。

 

そんな条件を出したのはお金のためなのかもしれませんが、初枝はもしかしたら1人でこの世を去るかもしれない恐怖に怯えていたのではないでしょうか。

 

息子と暮らしたくても元夫との思い出の詰まったこの家には住んでくれない、かと言って家を捨てることもできない。

 

初枝は思い出の詰まったこの家で、ニセモノでも良いから家族に看取ってほしいと思っていたのかもしれませんね。

 

だからこそ、血のつながっていない治たちを家族として受け入れたのではないかなと思います。

 

ラストで祥太がわざと捕まった理由

妹・じゅりのためだったと思います。

 

自分はもう悪事に手を染めていて手遅れだけど、じゅりだけはなんとかキレイなままでいてほしい、悪事に手を染めないでほしいと思っていたのではないでしょうか。

 

警察官に事情聴取をされているときにも真っ先にじゅりのことを聞いていましたから、祥太にとってじゅりという存在はとても大切だったのだと思います。

 

だからこそ、そんなじゅりが悪事に手を染めそうになった時に、祥太はわざと自分の方に店員を誘導し、じゅりの手を止めようとしていたのではないかな。

 

そして今回だけではなく、じゅりがこれから先も悪事に手を染めなくても済むように、家族からじゅりを引きはがすためあえて捕まったのではないかなと思います。

 

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まとめ

 

仲良し家族の闇や背景を知ることで、だんだん家族がバラバラになっていくような展開が魅力的な映画になっていました。

 

ただテーマ・ストーリー共に大人向きの映画で、白黒はっきりしていない部分も多いので好みは別れるかもしれませんね。

 

今作はどちらかと言えばあれこれ考えながら映画を楽しみたい方、グレーゾーンにある家族映画がお好きな方におすすめな映画でした。