飛行機内に潜む姿なき犯人との戦いを描いた映画『フライト・ゲーム』。
ミステリー要素のあるアクション映画かと思いきやミステリー部分はかなり軽めで、あくまでも飛行機という密室でのバトルがカッコいいアクション映画でした!
なのでミステリー要素をお求めの方よりもカッコいいアクション映画がお好きな方、人間らしさのある主人公に共感しやすいアクション映画をお求めの方におすすめの映画!
映画『フライト・ゲーム』の作品情報
あらすじ
NY発ロンドン行の旅客機に警備のために乗り込んだ航空保安官・ビル。
平和な空の旅を見守るビルでしたが…真夜中、そんな彼の携帯に「金を指定口座に送金しろ」「さもなくば20分毎に機内の誰かの命を奪う」という脅迫メールが届きます。
こちらの行動を監視しているようなメッセージも届いたため機内の乗客が怪しいと、ビルは犯人を探し出すために乗客の調査・監視を始めることにしたのですが…。
その結果、容疑者として浮かび上がったのは同僚の航空保安官・ジャック。
怪しい行動の目立つ彼から話を聞き出すためにジャックを追うビルでしたが、彼の願いも空しく最初の被害者が出てしまいます…。
予告動画
動画リンク
映画『フライト・ゲーム』の感想
【面白ポイント】
- 人間らしさのある主人公
- アクションがカッコ良かった!
- ミステリー映画ではない
人間らしさのある主人公
今作の主人公は優しさ・悲しい過去・葛藤といった人間らしさのある主人公で、個人的には共感しやすくて好きでしたね。
そもそも女性・子供に優しいという時点で、個人的には好ポイントですが。
正義感ゆえの横暴さや即行動という感じも、アクション映画のキャラクターとしては勢いがあって良かったですし、ストーリーを盛り上げる良きピエロ役だったと思います。
それでいてラストは皆から支持されるカッコいいヒーロー!
ご都合主義と言われてしまえばそれまでですが、アクション映画の主人公としてはカッコ良いキャラクターとしてハッピーエンドを迎えていて良かったと思います。
なので犯人 vs 正義の頭脳戦・心理戦を求めている方には物足りないとは思いますが…。
ガンガン行こうぜタイプの主人公が活躍するアクション映画がお好きな方、共感しやすい主人公がお好きな方におすすめの映画ですね。
アクションがカッコ良かった!
今作は飛行機という密室・性質を上手く利用した、緊迫感のあるリアルさと派手さを両立させたアクションがめちゃくちゃカッコ良かったです!
ジャックとビルが狭いトイレ内で戦っている時には密着した状態での関節技や、相手を抑え込むような静かだけど緊迫感のあるリアルなアクション。
ラストでは墜落する飛行機内で浮かび上がるように敵を仕留めて、かと思いきや女の子を助けるために命がけで行動したりする派手さとカッコ良さのあるアクション。
前半は静かなアクション、後半はド派手なアクションと違いはあるものの、どちらも飛行機という場所を活かしたアクションでめちゃくちゃ良かったですね!
アクション映画好きな方には、ぜひともチェックしてみていただきたいアクションシーンです!
アクション映画としては面白い
主人公もアクションも魅力的な映画で面白いのですが、正直ミステリー要素の面白さを求めている方にはあまりおすすめしない映画です。
ミステリー要素はあるにはあるのですが謎解きはほぼないですし、謎を放置しっぱなしの部分が多いので、ミステリー映画を求めている方には正直物足りないと思います。
一応、情報をまとめてゴリ押しに近い形で考察をしていけば自力で謎を解くこともできなくはないのですが…。
アクション映画の爽快感とは不釣り合いな面倒臭さ・消化不良な感じがあるので、あまりおすすめしません。
私は考察をしていてこんなにも疲れた映画は初めてでしたよ…。
なので今作はあくまでも姿なきハイジャック犯が迫ってくる恐怖・焦り・戦いを楽しみたい方、アクション映画として楽しみたい方におすすめな映画です。
映画『フライト・ゲーム』の考察
【考察ポイント】
- 機長に吹き矢を打ち込んだ犯人
- スーツを着た男の命を奪った犯人
- ザックがビルに協力した理由
- ビルと連絡をとっていた犯人
- 犯人の犯行動機
- ビルを狙った理由
- 急降下前のボタンシーンの意味
- トムが拘束されたビルを助けた理由
- 爆弾を飛行機内に持ち込んだ方法
機長に吹き矢を打ち込んだ犯人
おそらくジャックとビルが後方トイレで争っている間に、メガネの犯人・トムが前方トイレから機長に吹き矢を打ち込んだのだと思います。
そしてそのためにジャックに疑いの目が向かうように、ジャックとビルが飛行機後方へ向かうように仕向けて、後方トイレを使用不可にしたのでしょう。
こうすれば後方の席の人間が前方トイレの方へ行っても不自然ではないですし、ジャックは後方トイレにこもるので前方通路を歩いていても見つかることはありません。
あとはビルが戦っている間に吹き矢をセット、事前に調べておいた穴の位置から遅効性の毒を塗り込んだ毒針で機長の命を奪い、吹き矢を捨てて座席に戻るだけで完了!
犯人があえて「20分毎に人の命を奪う」とタイムリミットを設けていたのは、遅効性の毒が効き始めるまでの時間を考慮してのことだったのでしょう。
毒の調査ができない飛行機内では毒が遅効性か即効性かなんてわからないから、普通は即効性の毒だと思い込むでしょうからね。
被害者が亡くなる直前のアリバイさえ作っておけば、もう疑われることはないという計画だったのだと思います。
もう1人の犯人・ザックが機長の命を奪った可能性もなくはないですが、ザックはあくまでも金目当てで無意味に人の命を奪うことを嫌っているような印象があったので…。
おそらくザックは人の命を奪うようなことはしていないと思います。
警察の男も肩を撃たれただけで、命に係わるケガは負わされていませんでしたしね。
なので機長に吹き矢を打ち込んで命を奪った犯人はトムで、ザックは人の命を奪うような行動はしていないと思います。
スーツを着た男の命を奪った犯人
3人目の被害者・スーツを着た男の命を奪った犯人も、おそらくトムだと思います。
乗客が撮っていた動画から、トムがスーツの男のポケットに自分の携帯を入れていたことが判明しましたが…。
その時に2回ぶつかっている印象があったので、1回目のタックルで携帯をポケットに、2回目のタックルで胸元に毒針を刺したのではないかなと思います。
20分の遅効性の毒であれば、時間的にもこのあたりが犯行時刻のはずですしね。
おそらくトムの計画では自身が容疑者としてビルに捕まることも、その際に誰かに携帯を押し付けることも、毒針を指すことも全ては計算の上だったのだと思います。
ザックがビルに協力した理由
ザックがビルに協力してトムの携帯の位置を特定させたのは、ビルの上司に金を送金させるため、計画を早く完了させるためだったと思います。
ビルが携帯位置を特定する時、トムが「あいつ今度は何をする気だ?」とザックに聞いたのに無視されて驚いていたので、おそらこれはザックの独断行動だったのでしょう。
ザックとしてはさっさと金を振り込ませて大ごとになる前に脱出したいのに、トムは容疑者として捕まっていて全然逃げる気もなく、金が送金される気配もない…。
そんな状況にイラついたザックがビルに協力して、トムの携帯に仕込んでおいたウイルスでビルが犯人のような内容のメッセージが送られるようにしていたのでしょう。
こうすれば焦ったビルの上司が金を送金してくると考えて、トムに相談もなく独断でビルに協力したのだと思います。
ビルと連絡をとっていた犯人
ザックとトムがアカウントを共有して、その時々で返信できる方がしていたのではないかなと思います。
最初に送っていたのはザック。
ビルはメールの送り主を探すときに隣の席・後方の席はチェックしていたけど、自分より前の席はチェックしていなかったので、前方にいたザックが送っていたのでしょう。
そしてザックがメールの送り主だったとすれば、ビルがトイレから戻ってきた時に横を通るから煙臭いことにも気付くこともできたはずです。
なのでメッセージ内容的にも、ザックが送り主だったと思います。
ビルが監視カメラをチェックしている時に送っていたのはトム。
監視カメラをビルがチェックしている時、前方の席に座っているザックは顔から身体までバッチリ映り込んでしまっているので、ザックがメールを送るのは難しいです。
なのでこのときには、人の密集している後方の席で動きを確認されにくいトムが返信していたのだと思います。
こんな感じでその時のビルの挙動・位置に合わせて、どちらか対応できる方が対応していたのだと思います。
犯人の犯行動機
ハイジャック犯によって父を奪われたトムが、航空会社・航空保安官・国に復讐するため、そしてハイジャックの危険性を知らしめるために犯行に及んだのだと思います。
おそらく自分と同じような人が再び出てこないように、2度と似たような事件を起こさないでくれという想いから犯行に及んだのでしょう。
航空保安官によるハイジャック事件が起きれば世間の注目も集めますし、国も航空会社もさらなる安全対策のために動き出すしかなくなりますから。
そのために自分と自分の乗っている飛行機の乗客を犠牲にするという矛盾のある計画ではあるのですが…そうさせるほどに甘すぎる安全対策に怒りを覚えていたのでしょう。
だから自分の犯行を最後に2度とハイジャック事件が起きないように、安全対策をしてくれ・変わってくれという願いを込めて犯行に及んでいたのではないかなと思います。
ちなみにザックの犯行動機は完全に金目的です!
ザックの計画では、さっさと金を送金させて脱出というはずだったのに…。
乗客は動画を撮ってマスコミに売っているし…軍の戦闘機が飛んでくる、脱出できないなんて寝耳に水の話でしたでしょうね。
なので共犯ではあるものの、2人の間で犯行動機・犯行にかける想いにはかなりの差があったと思います。
ビルを狙った理由
ビルが乗り込んでいる飛行機を狙ったのは、航空保安官の中でも1番ドラマ性のある人生を送っていたから、メディアに注目されそうな人物だったからだと思います。
ビルの娘や妻との離婚を知っていたことを考えると、おそらくトムとザックは何人かの航空保安官について調査していたのでしょう。
そんな数多くいる航空保安官の中から、あえてビルをピックアップしたのだと思います。
おそらくは素行の悪さというよりも娘を幼くして失い、妻を失い、仕事も失いという波乱万丈な人生がメディア映えする、犯人として注目されやすいと思ったのでしょう。
だって素行の悪さで言えば、薬の密輸をしているジャックの方がヤバいですもん。
それなのにあえてビルを選んだのは、ドラマ性のある犯人の方がメディアや世間が興味を持つから、より事件を目立たせるためだったのではないかなと思います。
急降下前のボタンシーンの意味
機長が亡くなる直前に乗客がボタンを押したシーンでは、犯人がビルの行動を予測した上で計画を練っているという計画性と狡猾さを表現していたのかなと思います。
乗客がボタンを押したこと自体はおそらく偶然ですが…。
ビルは「乗客とは限らない」という犯人からのメールを受け取った時に、機長が危ないとは微塵も思わずにナンシーの身を案じていました。
密室にいる機長は安全、乗客以外で危険に晒されている人物はナンシーというビルの思い込みを嘲笑うように、犯人はメールを送っていたのではないかなと思います。
そんな犯人の狡猾さと計画性を感じさせる犯行を、映画を観ている人がビルと一緒に感じられるように、あのボタンシーンを入れていたのではないでしょうか。
つまり…ただの映画を盛り上げるための演出シーンであって、ストーリーに関わるような重要なシーン・伏線とかではなかったと個人的には思います。
トムが拘束されたビルを助けた理由
犯人だと疑われたビルが乗客に拘束されている時、トムがビルを助けたのは自分の計画を守るため、筋書きを守るためだったのではないかなと思います。
おそらくトムの計画・筋書きは、航空保安官によってハイジャックされた飛行機が国に見捨てられて乗客と共に墜落というもの。
そのために乗客が動画を撮っているのも見過ごしたし、ドラマ性のある犯人役も用意したのに、犯人役のビルが捕まってしまっては全員助かる可能性が出てしまいます。
ビルが捕まった状態で爆弾のことを乗客や上司に話せば、通常の爆弾対策を行われてしまいますから。
何としても国に乗客を見捨てさせるためには、ハイジャック犯の可能性のある男が飛行機内を自由に動いているという状況が必要だったのでしょう。
そんな状況を守るため、そして自分の筋書きを守るために、トムはビルが乗客に拘束されそうになっているのを助けたのではないかなと思います。
爆弾を飛行機内に持ち込んだ方法
おそらくジャックの取引相手がトムで、「この薬を密輸してくれ」と依頼したときにあの爆弾入りの薬袋を「そのまま運んでくれ」と渡していたのだと思います。
つまりジャックは薬の中に爆弾が入っていること、あのままだったら自分の命も危なかったなんてことは知らなかったのでしょう。
まぁ…結局は最初の被害者として命を奪われてしまうわけですけれども…。
ジャックは薬の売人ではなく、あくまでも航空保安官という立場を利用して密輸を請け負っていただけだで、トムの計画も知らないし共犯でもなかったのでしょう。
なのであくまでもジャックが密輸を行っていることを知ったトムが、爆弾を運ばせるために取引相手になりすまして、ジャックのことを利用していたのだと思います。
映画『フライト・ゲーム』の関連作品
どちらかといえばもっとミステリー感強めな作品がお好きな方におすすめです。
まとめ
アクション映画としてはめちゃくちゃ面白かったです!
飛行機という場所を活かしたアクションがカッコいいしテンション上がるし、主人公のキャラクターも個人的にはかなり好みでした。
ただミステリー要素は弱めというか、考察をしても疲れるばかりで不完全燃焼な感じが強いので、ミステリー要素を求めている方には不向きな映画だと思います。
どちらかと言えば人間らしさのある主人公がカッコいいアクション映画をお求めの方、飛行機を舞台にしたアクション映画をお求めの方におすすめな映画ですね!