俳優×スタントマンの、真面目に不真面目な生き様や事件を描いた映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
映画の4分の3くらいが主人公2人の日常、最後10分くらいで本編が始まるような印象の映画で、テーマは面白いものの好みは別れやすそうに感じました。
どちらかといえばコメディよりなヒューマンドラマがお好きな方、コンビ・相棒ものの映画がお好きな方におすすめ!
- 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品情報
- 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の感想
- 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の考察
- 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の関連作品
- まとめ
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品情報
あらすじ
大人気の西部劇『賞金稼ぎの掟』の主役を演じていた俳優/リック・ダルトン。
相棒のスタントマン/クリフ・ブースと共に一時代を駆け抜けてきましたが、数年後…彼は酔いどれの落ち目俳優で悪役ばかりに、相棒は専属運転手に変わっていました。
そんなある日、リックのもとに「ローマで西部劇を撮らないか」という話が舞い込んできますが…イタリア映画を毛嫌いするリックは不機嫌になるばかり。
世間では自由なヒッピーがいて、隣家にはロマン・ポランスキー監督とシャロン・テート夫妻が越してきているのに…リックにあるのは大きな家・不自由さ・夢だけでした。
クリフはそんなリックに文句を言うこともなく、変わらず相棒として彼を支え続けながら、しっかり躾けた犬と気ままなトレイラー暮らし。
一方、シャロン・テート夫妻は着飾って友人とパーティー三昧…パーティーには彼女の元婚約者や想いを寄せる人もいて、楽しげな喧騒の裏に色々な思惑がありました。
そんなこととは無関係にいつものように気の乗らない収録に臨むリックと、彼を送迎した後に家の雑事を頼まれるクリフ。
クリフは本業であるスタントの仕事をもらえず、このまま変わらない日常が続くかと思われましたが…。
予告動画
動画リンク
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の感想
最後まで映画を観て、考察まで終わってみれば面白い映画だったかなと思えますが、観ている最中は「何を観ているんだろう」と思わずにはいられない映画でした。
映画の4分の3は本編に繋げるための序章・日常シーンが続き、最終10分くらいでやっと事件が起きる映画なので、正直に言ってしまうとかなり飽きます。
ただアクションシーンは結構迫力があるし、キャラクター性は良いし、ブラックジョークもあるし…悪い点ばかりでもありません。
個人的にはラスト10分のアクションシーンは度肝を抜かれたし、そんな最中にリックの奥さんとワンちゃんがこっそり避難してるシーンとか微笑ましくて好きでした。
序盤に関しても飽きはしましたが、観終わってみればリックとクリフの表裏一体な相棒感・もう一人の自分みたいなやり取りや立場は嫌いではなかったなと思います。
結局何が言いたかったのかとか、ラストの意味とかも分からないままなので最初はうーん…となりますが、考察すればそれなりに楽しめたかな。
結果論から言えば面白かったけれど、視聴中は「途中で観るのをやめようかな…」と考えるくらいには、好みではなくて飽きてしまう映画でしたね。
印象としては映画『シン・ゴジラ』に似ていたかもしれません。
これに関しては最後まで視聴していないのでアレですが「思っていたのと違う」「こういうのが観たいわけじゃない」感が、よく似ていたかなと個人的には思います。
ただ今作に関しては最後まで視聴して考察までしっかりとすれば「面白い映画だった」と思えたので、苦手な作品とまではならなかったですね。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の考察
クリフの解雇理由
ハリウッドで落ち目&毛嫌いしていたイタリア映画出演もあって、ハリウッドに戻ったところで仕事がもらえるか分からなかったから解雇話になったのだと思います。
リックも昔は個人インタビューを受けるくらい有名人で、今でも映画&ドラマ好きには名前を知られているほどには知名度のある俳優でした。
けれど昔に比べれば悪役ばかりで落ち目だし、相棒であるスタントマンのクリフにも満足に仕事をあげられない状態。
そんなとき、イタリア映画に出演→成功して結婚して、もう一花咲かせることができましたが…稼いだ金はローマの住居費で消えるし、守る家族もできました。
その状態で家を買うこともできず、映画出演だって確約されたものではないし、イタリアに居続けることは難しく、持ち家のあるハリウッドに戻ることにしたのでしょう。
けれどハリウッドの人間はリックのようにイタリア映画に偏見を持っている可能性、それに出演していたリックも偏見の目にさらされる可能性が高かったのではないかな。
そうなると今まで以上に仕事が来なくなる可能性があるし、妻も自分も路頭に迷うことだってありえるかもしれません。
そのために資金繰りが必要で…だからまずは人件費を削減という意味も込めて、クリフの解雇話に繋がったのではないかなと思います。
さらに必要であれば自宅売却・田舎へ戻ることも考えた上での解雇話だったようですし。
クリフが悪いわけでも、リックが悪いわけでもない…ただギャラの安さ・地価の高さ・偏見など、色々なものが重なった結果だったのではないかなと思います。
実話と違うラストの意味
ヒッピーがハリウッドへ→酔ったリックがターゲットに→家にいたクリフが返り討ち→結果、シャロンは無事という…あり得た可能性を描いたのではないかなと思います。
今作はシャロン・テート事件をもとにしているらしく、史実に沿うのであれば、リックのお隣さんであるシャロンがカルト集団の襲撃にあって亡くなるらしいです。
ただ映画内ではシャロン・テート夫妻のことを描きつつも彼らが事件の被害者になることはなく、メインはあくまでリックとクリフでした。
なんというかこういう可能性もありえたかもと、隣人にこんな人がいたら、コントのような人物入れ替わりが起きたらという夢物語だったのではないかなと思います。
運命の歯車が少しだけズレたら、なにかの巡り合わせがあれば…そんな風に思わせるラストでした。
例えばクリフが気に入っていたヒッピーの女性が逃げ出さずに襲撃に参加していたら、ヒッピー全滅というのは免れたかもしれませんしね。
ヒッピーにはヒッピーなりの思想・主張があって、まだ若い命だったことを思うとハッピーエンドとは言い難いけれど、可能性という名の夢はあったと思います。
リックはこの事件をきっかけに隣人さんと仲良くなって、そのご縁で映画出演に繋がって、クリフも再雇用というとこまで夢が膨らむラストでした。
クリフの妻殺し疑惑
クリフに付きまとっていた妻殺しの噂は、あくまでも噂であって事実ではなかったと個人的には思います。
どうやらクリフには昔、気の強い妻がいて、ヨットに乗っているときに口論になって…という過去があったらしいですが、クリフが手にかけるシーンはありませんでした。
確かにクリフは暴力的な人間です。
撮影現場で喧嘩をおっ始めるし、タイヤに穴を開けたヒッピーをボコ殴りにしたし、リック家を襲撃したヒッピーも命を奪うまで返り討ちにしました。
でもどれもこれも、クリフから仕掛けたことはありませんでした。
どれもこれも相手がやってきたからやり返しただけで、カッとなって暴力に走る印象もなかったですし…あくまでも害なす者に制裁をというスタンスだったように思います。
だからクリフの妻がどんなに悪口を言おうとも、自分の手元に武器があろうと、喧嘩しようぜと言っても本気度のない人間相手にプッツン来るとは考えにくいです。
クリフの奥さんは酔っ払っているようだったし、クリフは海に潜る準備をしているようだったので…。
クリフが海に潜っている間に酔っ払った奥さんが海に落ちた・勝手にヨットを操縦してなにかに激突した・急性アルコール中毒になった…というところではないかな。
なのでクリフの性格的にも、ヨットでの奥さんとのやり取りを見る限りでも、クリフが奥さんを手に掛けたとは考えにくいように感じました。
ヒッピーがジョージを隠してた理由
赤毛のヒッピー/スクィーキーが盲目の老人/ジョージを隠したがっていたのは、映画牧場をヒッピーの根城にしているのをバラされたくなかったからだと思います。
ヒッピーたちにしてみれば雨風しのげて、誰にも文句の言われない根城をそう簡単に手放したくないという思惑があっての抵抗だったのでしょう。
ただ当の本人であるジョージは認知症気味だし、スクィーキーと両思いだと信じて幸せそうだし…根城にしている件は、どうでも良さそうでしたけどね。
しかしヒッピーたちにはそんなこと分からないから、根城の安寧を脅かそうとするクリフがジョージと会うのをあんなにも警戒していたのではないかなと思います。
そしてそんなクリフを連れてきたヒッピーの女性は、根城の平和を乱す人間を連れてきたということで仲間内から責められて恥をかかされたと怒っていたと。
まぁ簡単に言ってしまうとヒッピーたちの取り越し苦労の上に、クリフにとってもおせっかいで余計な波風を立ててしまったという…それだけの話だったと思います。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の関連作品
ゴジラは好きですが、私はシン・ゴジラは苦手で好きじゃないです。
まとめ
最初観たときは「うーん…」って感じでしたが、考察まですると面白い映画だったなと感想が変わるような映画でした。
無意味に感じる前半部分もコンビ・相棒もののヒューマンドラマだと思えば面白さがあるし、考察する余地もそれなりにあって楽しかったです。
どちらかといえばコメディよりなヒューマンドラマがお好きな方、コンビ・相棒ものの映画がお好きな方におすすめな映画でした。