貞子でおなじみの映画『リング』。
何だかんだで観た事なくて今回が初視聴になります。
個人的には幽霊が怖いホラー映画というよりも、呪いのビデオの意味や内容についての考察が楽しめる様なホラー要素のあるミステリー映画として楽しむことが出来ました!
ホラー要素のあるミステリー映画がお好きな方、考察好きにはぜひともチェックしてみていただきたい映画です!
映画『リング』の作品情報
あらすじ
呪いのビデオについて取材していたシングルマザーのリポーター・浅川玲子。
呪いのビデオを観たために命を落としたという親戚の女子高生の情報をもとに、玲子は親戚の女子高生の動向を追いながら呪いのビデオを探し始めました。
しかしそんな彼女たちの足取りを追って伊豆の貸別荘に行きついた玲子でしたが、そこで彼女自身も呪いのビデオを観てしまいます。
呪いのビデオを観てしまった玲子が助けを求めたのは元夫・高山竜司。
竜司の協力のもと呪いを解く手がかりを調べていくのでしたが、2人の息子・陽一も導かれるように呪いのビデオを観てしまいます。
陽一を守るために何とか呪いを解こうと2人がさらに呪いのビデオについて調べていくと、呪いのビデオと関わりのある『とある女性』の存在に行きつき…。
動画リンク
映画『リング』の感想
【面白ポイント】
- 7日間の猶予が怖い
- ホラー演出は控えめ
- 人間が怖いラスト
7日間の猶予が怖い
改めて考えてみると、観た直後ではなく観た7日後に呪いを受けるという命のタイムリミットが用意されているのが、何とも残酷で怖い設定だなと思いました。
自分の寿命が分かっている状態で待つことしかできないというのはとても怖いですよね。
今となってはあの恐怖の着メロで有名なホラー映画『着信アリ』など、様々なホラー映画でこういった設定がありますが、当時は斬新な設定だったのではないでしょうか。
今となっては当たり前となってしまったこの設定ですが、昔の映画で観ることで改めて怖い設定だよなと実感することができました。
ホラー映画好きな方には、ぜひとも『リング』で命のタイムリミット設定の怖さを実感してみていただきたいです!
怖さはあまりなかった
貞子があまり登場せずホラー演出がほとんどないためか、正直ホラー映画としての怖さはあまり感じませんでしたね。
ジャンルとしては一応心霊・ホラーになるのですが、どちらかと言えばミステリー要素の方が強かったです。
なので考察を楽しみながらストーリーにのめり込めるような、ホラー要素のあるミステリー映画という印象の方が強かったですね。
ホラー映画と言えば『リング』か映画『呪怨』というイメージがあるのですが…。
呪怨が恐怖演出メインのホラー映画だとするのであれば、リングはストーリーメインのホラー映画なのかなと感じました。
そういった意味では、以前記事にした映画『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』とストーリー展開や印象が似ているかもしれませんね。
あちらも恐怖演出少なめでホラー要素のあるミステリー映画という印象だったので、似ている部分はあるかなと思います。
なのでホラー要素のあるミステリー映画がお好きな方、残穢がお好きだった方であれば、リングは気に入る方の多い映画なのではないでしょうか。
人間が怖いラスト
私の大好きなイヤミス感でラストは締められていて良かったですね!
息子のために祖父、自分にとっての実父をためらわず犠牲にする母。
息子が生き残るためには致し方ない選択とはいえ、実の父親を即差し出す母としての強い姿は、人間の怖さがにじみ出ているように感じられて良かったです。
結局怖いのは人間というラストがお好きな方、イヤミス感のあるラストがお好きな方にはぜひともリングのラストはチェックしてみていただきたいですね。
ちなみに祖父に呪いのビデオを押し付けた後の展開については、続編の映画『らせん』で語られています。
らせんについても記事を書いておりますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!
映画『リング』の考察
【考察ポイント】
- 呪いのビデオの内容と意味
- 呪いのビデオから助かる方法
呪いのビデオの内容と意味
呪いのビデオは貞子の怨念そのものということだったので、個人的にはあの映像には貞子の人生、関係者についてが映し出されていたのではないでしょうか。
呪いのビデオの内容を振り返りつつ、1つ1つの意味を貞子の人生と照らし合わせて考察していきたいと思います!
丸い穴から見える人影…犯人
井戸に落とされた貞子が最後に見た映像。
井戸の中から見上げたときの光景だと思われるので、写っている人影は貞子の命を奪った犯人・伊熊博士でしょう。
貞子が井戸に落とされた後に上を見上げていたことを思うと、このときに貞子はまだ生存していたのだと思います。
そして伊熊博士は覗き込んで貞子がまだ生きていることを知りながら、井戸に蓋をしたのではないでしょうか。
鏡の前で髪をとかす女…母親
貞子の母親・山村静子と幼い頃の貞子の映像。
静子は気が触れたために三原山に自ら身を投げたのですが、身を投げた理由には貞子が関わっているのではないでしょうか。
生前、静子はマスコミ公開のもと行われた実験中に、静子をインチキだ!と非難した記者が貞子の呪いを受けて命を落としているのを目の当たりにしていました。
静子はその時まで知らなかった様ですが、貞子には念で人の命を奪う能力があります。
そんな恐怖の能力を目の当たりにした静子は、貞子の最も身近にいる人物として「貞子に呪われたら命が危ない」という恐怖心と毎日闘うことになったのではないかな。
そしてもし心を読まれたら…もし嫌われたら…と怯えて過ごすことになってしまい、そのせいで気が触れて自ら命を絶ってしまったのではないでしょうか。
ここは考察というよりもほとんど個人的な妄想に近いですが、もし身近にそんな超能力者がいることを想像したら、ない話ではないのかなと思っています。
文字が浮かぶ新聞記事…生前のこと
三原山の噴火についての新聞記事の映像。
これで呪いのきっかけとなる実験の年代について、自分たちが生きた場所について、噴火を予知した超能力についてが分かるようになっています。
這いずる人々…上と同義
おそらくですが噴火に巻き込まれた人々が、噴火の熱や火山灰から逃れるために水辺・海へ行こうとしている映像なのかなと思います。
意味的にはほぼ新聞記事の方と同義ですが、もしかしたらこれが静子・貞子が予知した光景なのかもしれませんね。
白頭巾の指差し男…父親
大島の方言で「水遊びばかりしていると化け物がくるぞ」と呟きながら、どこかを指差している白頭巾の人物の映像。
静子は海で1人ぶつぶつとおかしな言葉で話していた、伊熊博士は貞子の実の父親ではなかったのかも、貞子の父は人間ではないかもという話がありました。
そのこととこのセリフの意味を合わせて考えてみると、海で遊んでいた静子の元に化け物が現れ、その化け物との間にできた子供が貞子。
つまり貞子の父親は化け物ということなのではないでしょうか。
幽霊となった竜司が白頭巾を被っていたことを考慮すると、この化け物というのは霊魂・怨霊のこと。
白頭巾はおそらくご遺体に掛ける白い布を表しているのだと思われます。
そして呪いのビデオのあの指を指している白頭巾男のワンシーンは、貞子が生前に予知していた映像。
どこかを指差していたことと呟いていた言葉を考慮して考えると、「化け物(父親)に会いたければ水辺においで」という意味で指差していたのではないかなと思います。
つまり化け物たちは貞子が命を落とすように仕向けていたのではないでしょうか。
そんなことをする理由は不明ですが父親として娘に側にいてほしいと思っていたのか、もしくは能力のある貞子を仲間に引き入れたかったのかもしれませんね。
だから貞子は水と関係する井戸を覗き込んでおり、そこを背後からやってきた伊熊博士に襲われたのだと考えられます。
『貞』と映る瞳…自分
『貞』という文字が映し出された瞳の映像。
これは貞子の貞という意味だけでなく、貞子の出生についても表しているのではないでしょうか。
貞という字には節操を堅く守る・貞節という意味があります。
つまり貞子は静子と伊熊博士の不義の末にできた子供ではなく、静子は化け物だけという誓いを立てていた、化け物以外とは関係を持たなかった。
貞子は間違いなく化け物と静子の子供であることを表していたのではないかなと思います。
だとすれば伊熊博士は貞子が自分の子供でないことは最初から知っていたはずだと思うのですが、なぜ貞子を引き取ったのでしょうか?
もしかしたら伊熊博士は静子に心底惚れていたのですが、自分以外の人を愛し続けていることに嫉妬。
そんな嫉妬のはけ口・八つ当たりのために、最初から貞子の命を奪うつもりで引き取ったのかもしれませんね。
井戸…貞子のいる場所
貞子が這い上がってこようとしている井戸の映像。
これは貞子が井戸に落とされてしたこと、まだここにいるということ、落ちたあとに井戸から這い上がろうとしていたことを表しているのかもしれません。
呪いのビデオから助かる方法
呪いのビデオを一週間以内にダビングして、他の人に観せれば自分にかかった呪いを解くことができます。
呪いのビデオを観たらダビングして、他の人に観せてその人もダビングして他の人に観せる…この呪いはそんなイタチごっこが永遠に続くようになっています。
そう考えると、7日間の猶予が設けられていることにも納得ですよね。
7日間の猶予は呪いのビデオをダビングして他の人にビデオを渡すために用意された時間。
貞子は1人1人を確実に呪うよりもより、多くの人に呪いを拡散されようとしているのだと考えられます。
どこで聞いたかは忘れましたが、呪い・妖怪・幽霊といった存在は認知度・知名度が上がることでその力が増すという話を聞いたことがあるので…。
貞子の狙いもそのあたりにあり、あえて呪いのビデオから助かる方法というのを設けているのかもしれませんね。
映画『リング』の関連作品
文章からリングの世界観を楽しみたいという方におすすめです。
少し古めな絵柄ですが味があるので、興味のある方はぜひ。
まとめ
リングと言えば貞子によるホラー演出というイメージが強かったのですが、思ったよりも貞子が主張せずにミステリーっぽいストーリーがメインになっていて驚きました。
なのでホラー映画を求めている方には不向きな作品かもしれませんね。
ただ逆にホラー映画がちょっと苦手という方、ホラー要素のあるミステリー作品がお好きな方、考察好きな方にはおすすめしたい作品になっています!