白黒映画から飛び出したお姫様と青年の恋を描いた映画『今夜、ロマンス劇場で』。
よくあるドタバタラブコメ系映画かと思いきや、予想以上に王道展開・切なさ・少女マンガ要素が盛り込まれた映画で、恋愛映画としてめちゃくちゃ面白かったです。
なのでどちらかといえば少女マンガ的な恋愛映画がお好きな方、切ない恋愛映画がお好きな方におすすめ!
映画『今夜、ロマンス劇場で』の作品情報
あらすじ
映画監督を夢見る青年/牧野健司。
彼は通い詰める映画館/ロマンス劇場の映写室で見つけた、今は誰も観なくなった古い白黒映画のヒロイン/美雪に恋をします。
演じている女優さんはすでにこの世におらず、決して叶うことのない恋だと知りながらも…健司は毎日のようにその映画を通して美雪を見詰めていました。
しかしその映画フィルムが売却されることになり、もう映画を観られるのもこれで最後と思った時、映画を見詰める健司の前に美雪が現れます。
突然の出来事に戸惑う健司をよそに、白黒の世界しか知らない美雪はカラフルな現実世界に興味津々。
健司はそんな美雪を自宅に連れ帰り、彼女のワガママに振り回されながらも行動を共にすることにしたのですが…。
予告動画
映画『今夜、ロマンス劇場で』予告編【HD】2018年2月10日(土)公開
動画リンク
映画『今夜、ロマンス劇場で』の感想
【面白ポイント】
- 王道×斬新なキャラ設定
- 恋愛映画として普通に面白い
- キャスト陣が良い
王道×斬新なキャラ設定
映画のキャラクターが現実世界に飛び出してくるだけではなく、キャラクター自身が映画の中の存在であることを自覚しているというのが斬新で面白かったです。
自分を映画の中の住人だと理解しているからこそ、色を知らなかったり触れ合ってはいけないことを知っていたり、人に楽しんでもらえないことに悲しんでいたりと…。
何というか自分をキャラクターだと理解している設定が、その後の展開・心理描写に活かされていたのがめちゃくちゃ良かったです。
特に楽しんでもらうために生まれてきたのに、楽しんでもらえなくなったのが悲しいというキャラクター目線での切なさは、心にグッとくるものがあって好きでしたね。
この設定・展開・心理描写は映画好きな方だけではなく、アニメ・マンガ・キャラクター好きな方まで共感しやすいものだったのではないかなと思います。
なのでどちらかといえば何か好きな創作物がある方、夢と現実が入り混じる切ない映画がお好きな方におすすめしたい映画でしたね。
恋愛映画として普通に面白い
スクリーンを通じて出会う2人、近付くことが出来ない恋模様…恋愛映画として普通に面白かったです。
ファンタジー色が強い映画ではあるのですが、最後までちゃんとそのファンタジー設定を貫き通していたので違和感を感じることはありませんでしたし…。
2人の恋の結末・ラストの展開も良くて、ラストは泣けましたね。
何というか2人の関係性・設定・ストーリー展開・切ない恋模様がすごく少女マンガっぽくて、少女マンガ好きとしてはめちゃくちゃ親しみやすくて面白かったです!
印象としては、少女マンガ『花と悪魔』に似ていましたね。
好き同士なのに思うように近付くことができない2人、触れられないという制約、叶う事のない恋模様に悩むというストーリーがよく似ていました。
なのでこういった切ない少女マンガがお好きな方、好き同士なのにくっつかない恋模様がお好きな方に向いている映画だったかなと思います。
キャスト陣が良い
メインキャラクターのキャストも良かったのですが、個人的にはメインキャラクターの脇を固めるサブキャラクターのキャスト陣がめちゃくちゃ好きでした。
当て馬・ライバルキャラが最終的に健司にアドバイスをくれたり、ちょい役だったキャラが健司の最大の理解者になったり…。
なんというか前半・後半でキャラの印象がガラッと変わりながらも違和感がないというか、どちらのキャラにもしっくりとくるキャスト陣でめちゃくちゃ良かったです。
個人的には特にハンサムガイ/後藤龍之介が好きでしたね。
最初は残念なイケメン感が強いギャグキャラでしたが、映画後半ではイケメンであることに誇りを持っているからこその自信がカッコいい男性に見えて…。
美雪のことを純粋に心配してたり、健司に「男が簡単に下を向くな」「下を向いてたら今しか見えないぜ」ってアドバイスしたり…普通にカッコいいキャラでしたね。
そんな残念なイケメンだけどカッコいいキャラが、北村一輝さんにピッタリ。
龍之介だけではなく社長令嬢/塔子、映画館の支配人/本多も最終的にはみんないい人で…キャストのイメージとも合っていてすごく良かったです。
なのでメインキャラクターだけでなくサブキャラクター、そしてサブキャラのキャスト陣にも注目して映画を楽しむという方にもおすすめしたい映画でした。
映画『今夜、ロマンス劇場で』の考察
【考察ポイント】
- ラストの意味
- ラストの健司
ラストの意味
ラストで健司は自分のつくった映画の中に入って、美雪に彩り・刺激・ぬくもりを届けに行ったのではないかなと思います。
現実世界や彼女がいた映画の中では叶えられなかったものを、健司は自分のつくる映画の中に生み出すことで彼女にプレゼントしていたのではないかな。
あくまでも健司がつくった映画のワンシーンではあるのですが、この映画の中には美雪・健司本人の魂が宿っていたと個人的には思います。
そもそも映画のキャラである美雪が現実世界に飛び出してきていた時点で、その逆に現実世界の人間が映画の世界に入っても何ら不思議はないですし…。
おそらくラストで健司に触れたことで消えてしまった美雪は、元いた『お転婆姫と三獣士』という映画の中ではなく、健司のつくった映画の中に入り込んだのだと思います。
制約を破って『お転婆娘と三獣士』のキャラとしては消えてしまったけど、健司のつくった映画に新たな居場所が生まれて入り込めたから消滅は免れたのでしょう。
そして健司は彼女の消滅を防いだだけではなく、その映画の中に自分も入るという展開を入れることで、今度は自分から彼女に会いに行けるようにしたのだと思います。
健司に触れたいと願い、退屈を嫌っていた美雪に…触れ合える自分と面白おかしい仲間たち、そして彩りを届けるために。
なので美雪の望みが全て揃った健司の映画の中で、2人はずっと楽しく暮らしていく…というハッピーエンドだったのではないかなと思います。
ラストの健司
病室で眠っているだけのようにも見えましたが、おそらくは美雪が消えた時点で亡くなっていたのだと思います。
看護師がノックもせずに病室に入り、声も掛けずに無断で脚本を読んでいましたから…亡くなっていると考える方が自然です。
ただ亡くなった後、健司が映画の中に入り込んでいたと考えると…。
現実世界では亡くなっているかもしれませんが、魂は健司がつくった映画の中で美雪と共に生き続けているのではないかなと思います。
映画『今夜、ロマンス劇場で』の関連作品
比較的読みやすい作品なので、小説が苦手な方にもおすすめです。
まとめ
タイトルは前から知っていたものの、何となく観ていなかった映画でしたが…予想外にめちゃくちゃ面白くて観て良かったなと思います。
純粋にストーリー・展開も面白かったですし、切ない少女マンガのような恋模様が個人的には大好きでした。
なのでどちらかといえば少女マンガのような恋愛映画がお好きな方、切ない恋模様がお好きな方におすすめしたい映画です。