閉ざされた島の謎を明らかにしていく映画『シャッター アイランド』。
少し難解な部分はあれども印象的な世界観やストーリーを楽しみつつ、最後にはちゃんと答え合わせでスッキリできる謎解きゲームのような映画で面白かったです!
なので考察好きな方、ミステリー・サスペンス映画がお好きな方にはもちろんのこと、ミステリー映画に苦手意識を持っている方にもおすすめ!
映画『シャッター アイランド』の作品情報
あらすじ
精神病を患った犯罪者だけを収容した閉ざされた島/シャッター アイランド。
四方八方を海に囲まれ、島に上陸する手段は外部からの船のみ…島には武装した警備員が目を光らせている脱出不可能な島から、1人の女性患者が消える事件が発生します。
その事件の調査にやってきた連邦保安官/テディ・ダニエルズ。
相棒のチャック・オールと共に、院長や医者・看護師をはじめ患者たちからも話を聞きながら、消えた女性患者/レイチェル・ソランドーの捜索を始めました。
しかし島の人間は何かを隠している様子で、捜索は難航。
思うように進まない捜索にイラつくテディが眠りにつくと、そこには以前住んでいたアパートと亡くなったはずの愛すべき妻の姿が…。
予告動画
動画リンク
映画『シャッター アイランド』の感想
【面白ポイント】
- 謎解きゲームのような世界観
- ラストはスッキリする!
謎解きゲームのような世界観
閉ざされた島・トラウマを抱えた主人公・何かを隠している島民たち・不可解な事件と…まるで謎解きゲームのような世界観の映画でしたね!
島民の話を聞きながら少しずつ調査を進め、真実に迫るごとに危険が増してく感じなんか、特に謎解きゲームっぽさがあって面白かったです。
また謎に迫るだけではなく、そこにちゃんと切なさがあったのもまた良くて…少しずつシャッター アイランドという世界に入り込むように楽しむことが出来ました。
印象としては映画『メメント』や『ビューティフル・マインド』に近かったですね。
とある謎に迫る主人公、謎多き周りの人々、少しずつ謎を明らかにしていく謎解きゲームのような世界観までよく似ていたと思います。
なのでこの2作がお好きな方、少しずつ秘密を探っていくような謎解きゲーム感覚で楽しめる映画がお好きな方におすすめな映画でした!
ラストはスッキリする!
閉ざされた島に散りばめられた謎、主人公の過去、隠された真実に困惑する部分もありましたが…ラストではちゃんと答え合わせができるのでスッキリしました!
人によってラストの感じ方・捉え方が違う部分はあれども、答え合わせがされていることで結局なんだったの?とモヤモヤしたまま終わることがなくて良かったです。
それに映画の世界観が謎解きゲームのようなだったこともあり、考察しながら観ているとラストではゲームをクリアしたときのような満足感・達成感がありました。
推理が外れていたとしても「そっちか!」「なるほど!」とどんでん返しを楽しむことができますし…どう転んでも面白いお得感があるラストで良かったですね。
なので今作はミステリーや考察がお好きな方だけではなく、ミステリー映画に苦手意識を持っている方にもおすすめしたい映画でした!
映画『シャッター アイランド』の考察
【考察ポイント】
- ラストのセリフの意味
- レイチェルとは
- 「RUN」の意味
- コップや水が消えてる理由
- 警備隊長のセリフの意味
- C棟のジョージ・ノイス
- テディの妻・ドローレスの最期
ラストのセリフの意味
テディは正気だったけどわざと正気ではないフリをしてロボトミー手術を受け、全てを忘れた穏やかな人間として生きる道を選択したのだと思います。
ラストでテディは「怪物として生きるのと、良い人間として消えるのとどっちがマシか」と言っていましたが…。
怪物というのは、妻を自らの手で葬ってしまった犯罪者としての自分のこと。
良い人間というのはロボトミー手術を受けて今までのことを忘れ、穏やかな人間として生きていく自分のことを指していたのだと思います。
院長たちの懸命な治療によって、正気を取り戻すことができたテディでしたが…。
おそらく子供を妻に奪われ、愛する妻を自分で手にかけてしまった悲しみや重荷に耐えられなくて…全てを忘れたかったのでしょう。
だからわざと正気ではないというか妄想癖を繰り返しているフリをして、自らロボトミー手術を受けようとしていたのだと思います。
もしくは連邦保安官として院長と話している時、テディは「犯罪者に安らぎは与えられるべきではない」とも言っていたので…。
罪を犯した自分が病院でぬくぬくと生きていくべきではない、ロボトミー手術を受けて今の自分を消すことが報いだと考えたのかもしれませんね。
レイチェルとは
レイチェルとはテディの妻と娘をモデルにつくりあげられた、実在しないテディの妄想上の人物だと思います。
島の秘密を知ってしまったがために患者として収容されていた女医。
島から一時的に姿を消していた、自分の子供を手にかけて収容された女性患者。
この2人はテディが島にいる理由付け、陰謀論を証明するために必要な人物として、テディの妄想上の世界で重要な役割を担っています。
そんな重要キャラクターに自分の妻・娘と関連性のある設定や名前を付けたのは、自分の過去や真実を否定するためだったのではないかな。
妻のような過去を持っている女性患者は存在しない・作り話と否定することで、妻/ドローレスが子供たちの命を奪ったという過去も否定していたのでしょう。
そして娘の名を持つ女医が生きていることで、娘/レイチェルは生きているという…娘がもうこの世にいない事実を否定していたのではないかな。
全ては自分の過去・事実を否定するために、娘・妻をモデルにしたレイチェルという人物を作り上げていたのだと思います。
「RUN」の意味
女性患者の1人がテディの手帳に書いた「RUN(逃げろ)」に深い意味はなく、テディをおちょくるというか…面白そうだったから悪戯したのではないかなと思います。
同じ患者仲間としてテディのためを思って助言した可能性もあるけど…別のシーンで女性患者がテディを笑っているようなシーンがあったので、それは違うかなと。
どちらかといえば担当医がいなくなった隙に、陰謀論に取り込まれているテディにそれらしいことを言って、彼がもっと暴れ回るようにしていたのでしょう。
閉鎖空間でのちょっとした娯楽というか、面白そうなショーに演出を加える感覚で書いただけで、あのRUNにそこまで深い意味はなかったと思います。
コップや水が消えてる理由
女性患者が飲んでいるはずのコップや水が消えていたのは、テディには過去のトラウマが原因で水が見えていないからだと思います。
女性患者が飲んでいた水。
ベッド上の雨漏り。
嵐で吹き荒れる風雨。
これらはテディには見えておらず、雨漏りは寝ている間の寝汗、風雨は風の強い日・竜巻程度に感じていたのだと思います。
だからこそインクが流れていくことも気にせず、嵐の中で手帳を出してチャックに見せていたのでしょう。
ただ…おそらくテディには海は見えています。
冒頭でも海を見て気分を悪くしているシーンがあったり、映画後半ではチャックのために海に飛び込むシーンがあったりしたので…苦手なものの見えてはいるのでしょう。
おそらくは海水だから…湖の水・真水とは別ということで、海だけは見えているのではないかな。
つまりテディは過去のトラウマから海以外の水が見えなくなっているために、テディ視点からだとコップや水が消えているように見えたのだ思います。
警備隊長のセリフの意味
車で乗り合わせた時に、警備隊長がテディの危険性について話しながら応援するようなことを言っていたのは、テディにロボトミー手術を受けさせたいからだと思います。
警備隊長は院長やシアン医師とは違い、ロボトミー手術に賛成している側の人間だったのでしょう。
だからテディの危険性・凶暴性を聞き出して喜んでいたり、妄想癖が治らなくても良いという意味を込めて、応援するようなことを言っていたのだと思います。
C棟のジョージ・ノイス
C棟にいたジョージ・ノイスは実在の患者で、元々はテディと同じA棟にいたけど彼に真実を言ったために暴行を受け、罰としてC棟に入れられていたのだと思います。
ただジョージがテディに「嘘をつきやがって」「真実のためにまた嘘をつくのか」と言っていたことを思うと…。
おそらくテディに「誰にも言わないから真実を教えろ」みたいなことを言われた時に、彼が患者であること・本名のこと・家族の最期などを善意で言ったのでしょうね。
しかし真実を受け入れられないテディは暴走…ジョージに暴行を加え、医者に原因を問われてジョージが言ったことを話したのだと思います。
ジョージとしては真実を教えろというから教えてやったのに、医者にチクられるはC棟送りにされるは…もう踏んだり蹴ったりだったでしょうね。
ただテディの身体能力の高さ・危険性・凶暴性を考慮して、病院側は患者に「彼に本当のことを言ってはいけない」という警告を出していたはずです。
悪いのはその警告を無視し、テディに真実を告げたジョージなのでしょうが…。
ジョージが最後の方で「あの女のことは忘れた方が良い」とテディに助言していたことを思うと、ジョージは友人としてテディを助けたかったのかもしれませんね。
でもテディがそれを拒み、妄想の世界で生き続けることを望んだから…テディに話を合わせて、灯台に向かうように言っていたのではないかな。
なのでジョージはテディに真実を言ったからC棟送りにされたけど、友人としてテディのためにも真実を知ってほしいと願っている1人だったのではないかなと思います。
テディの妻/ドローレスの最期
ドローレスが撃たれる前にテディの身体をモゾモゾと触っていたのは、ドローレスにとってはベッドの上にいるような感覚だったからだと思います。
湖のほとりにいることも子供たちを手にかけたことも理解しておらず、ベッドで愛する人とイチャイチャしながら明日の予定を話しているような感覚だったのでしょう。
精神を病んでいるから…テディのように思い込み・妄想の世界に片足を突っ込んでいたのでしょうね。
そして時折、正気に戻っては絶望と悲しみに打ちひしがれる…そんな状態。
なのでドローレスがテディの身体を触っていたのは武器を奪おうとしていたとか自ら命を絶つためではなく、普通にイチャイチャしてるつもりだったからだと思います。
最初のおばあさんがドローレス説
個人的にはドローレスは撃たれたけど、実は生きているんじゃないかなと思います。
子供たちの遺体写真は登場したけどドローレスの写真はなかった点、テディ以外の人物が「奥さんは亡くなっている」と言ったことがない点を考えると…。
生きている可能性は十分にあると思います。
またもし生きているのであれば、子供を手にかけるほど精神を病んだ犯罪者としてシャッターアイランドに収容されていても不思議はないはずです。
そう考えると、テディが病院にやってきたときに「しーっ」というアクションをしていた謎の女性…彼女がドローレスだったのではないでしょうか。
あの「しーっ」というアクションには「今はお仕事中だから」というような意味が込められていたと思います。
奥さんはテディのことを夫と認識しているけど、今はお仕事中だから声をかけずにいましょう…という意味が込められていたのではないかな。
ドローレスはおそらく自分のいる場所を正確に認識していないというか、病院にいるつもりはなく普通に自宅にいるつもりだったのだと思います。
自宅で庭いじりをしているときに偶然、夫が仕事の途中で通りかかった…くらいの感覚だったのでしょう。
そう考えると、女性患者・レイチェルが病院を認識していない&自宅にいるつもりという設定は、ドローレスを基に病院側が付け加えた設定だったのかもしれませんね。
個人的にはこう考えると謎の女性に納得がいくのでドローレスは実は生きていて、テディと同じようにシャッターアイランドに収容されているのではないかなと思います。
映画『シャッターアイランド』の関連作品
とある謎に迫る主人公×ゲームのようなストーリー展開がお好きな方におすすめ。
どちらかといえば実話をもとにした映画がお好きなという方におすすめです。
まとめ
謎解きゲームをプレイしている感覚で楽しめる映画で、ラストのスッキリ感・達成感もあって…すごく面白かったです!
また人によって病院の陰謀が実在する説、全てはテディの妄想説とラストの印象・捉え方が変わるのも、誰かと考察をシェアする楽しみがあって良かったと思います。
考察好きな方・ミステリー映画がお好きな方にはもちろんのこと、ミステリー映画に苦手意識を持っている方にもおすすめしたい映画でした!