サイレントヒルの続編映画『サイレントヒル:リベレーション』。
映画『サイレントヒル』のその後を描きつつ、サイレントヒル特有の恐怖・モンスターが続々と襲い掛かってくる映画で面白かったです!
どちらかといえばサイレントヒルのモンスター・恐怖演出がお好きな方や前作のその後が気になる方、そして考察がお好きな方におすすめ!
映画『サイレントヒル:リベレーション』の作品情報
あらすじ
恐ろしい悪夢に悩まされる17歳の少女・ヘザー。
妻・ローズから娘のことを託されたヘザーの父・クリスはハリーと名を変え、娘の名もシャロンからヘザーへと変えさせ、安全な地を求めて各地を転々としていました。
ローズがやっとの想いで外の世界に抜け出させた娘を守るために…サイレントヒルでの出来事を忘れているヘザーに、できる限り平穏な日々を送ってもらうために。
しかし両親の願いも空しく、サイレントヒルの悪夢は夢の中だけではなくヘザーのすぐそばまでやってきていました。
そして悪夢はヘザーだけではなく、ハリーにも襲い掛かり…。
予告動画
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映画『サイレントヒル:リベレーション』の感想
【面白ポイント】
- 前作と繋がった切ないストーリー
- サイレントヒル特有の恐怖
- 三角頭様がカッコいい!
前作と繋がった切ないストーリー
娘への愛を感じるローズの決断、そしてローズへの愛を感じるラストのハリーの決断…2人の愛が何とも切なくて、心にジーンと来るものがありましたね。
私は「愛する者のために」と行動を起こすキャラクターに感情移入しやすいので、この両親の切なさと愛を感じる決断は大好きでした。
そして2人がヘザーのためにと頑張ってもサイレントヒルの悪夢がずっと付きまとい、あんなに純粋だったヘザーがどんどん擦れていく…切ないですね。
何というかヘザーには普通に学校生活を楽しんで、ローズとハリーには穏やかな夫婦生活を送って欲しいと願いたくなるような切ないストーリーでした。
映画『サイレントヒル』では切なさというよりもイヤミス感の方が強かったのですが、リベレーションでは切なさの方が強かったですね。
個人的には切ないストーリーも大好きなので問題ありませんでしたが、前作のようなイヤミス感を求めていた方には物足りないかもしれません。
なのでどちらかといえばサイレントヒルのその後が気になるという方、親子愛・夫婦愛を感じる切ないストーリーがお好きな方におすすめしたい映画です!
サイレントヒル特有の恐怖
突然現れる正体不明のモンスター、繰り返される静寂と恐怖といったサイレントヒル特有の恐怖が、今作にも要所要所で盛り込まれていてとても良かったです!
特にモンスターが良かったですね!
ゾンビや幽霊とは違った「これぞモンスター!」という姿・動き、怖いけどカッコいい絶妙さ、ちゃんとテーマというか個性がある感じが個人的ツボに刺さりました。
サイレントヒルで登場していたモンスターがバージョンアップしていたのも良かったですし、今作から登場したマネキンモンスターとかも個人的には好きでしたね。
そしてサイレンとともに突然現れる闇。
荒廃していく街並みの映像的な恐怖、静寂と恐怖を繰り返す心理的な恐怖…どちらからも楽しめる感じがして良かったと思います。
ただこれはあくまでおまけというか…今作のメインはあくまでも正体不明なモンスターにあると思うので、闇による恐怖は少し弱めかもしれませんね。
なので今作はどちらかといえばサイレントヒルらしいモンスター、人間がモンスターになったような個性的なモンスターがお好きな方におすすめしたい映画でした!
三角頭様がカッコいい!
1作目の時から「怖いけどカッコいい!」と思っていた三角頭様が、今作ではもう完全にヒーローポジションにいらっしゃって…めちゃくちゃカッコ良かったです!
シャロンのピンチにどこからともなく現れ、シャロンに仇名す者を排除する三角頭様とか…最高にカッコいい!
ラストシーンで敵の攻撃を防いだところなんてもう胸キュンものですよ。
特に三角頭の行動自体は前作と変わっていないのに、リベレーションで主人公の立ち位置が変わったことで、三角頭の印象が変わるのが個人的にはすごく好きでした。
立場1つで恐怖の象徴がヒーローになるという変化が、キャラの魅力を2倍にしているように感じられて良かったと思います。
なので今作はサイレントヒルで三角頭がお好きだった方、恐怖の象徴がヒーローに変わる系の映画がお好きな方にイチオシの映画です!
映画『サイレントヒル:リベレーション』の考察
【考察ポイント】
- ラストのパトカーと護送車の意味
- 三角頭の正体
- アレッサの父親
- メタトロンの封印
ラストのパトカーと護送車の意味
冒頭で「サイレントヒルは刑務所だった」という話があったので、おそらくはサイレントヒルを刑務所として再開させるために囚人を護送していたのだと思います。
サイレントヒルを街として再開させるのはまだ難しくとも、土地がもったいないから刑務所として再利用したいという声があがっているのかもしれませんね。
そこでとりあえず試験的に囚人を送り込んでみよう…と、囚人をサイレントヒルに護送していたのではないかなと思います。
しかしラストで灰が降り出していたことからも分かるように、アレッサがいなくなってもサイレントヒルにある地獄はなくなっていません。
なので今度はサイレントヒルにやってきた囚人・看守たちが、恐ろしいサイレントヒルの悪夢に巻き込まれることになるという意味を含んだラストだったのだと思います。
もしくは原作ゲームのシリーズに囚人が主人公の作品があるらしいので、もしかしたらそれを暗示したファンサービス的なラストシーンだったのかもしれませんね。
三角頭の正体
三角頭はアレッサが生み出した処刑人というだけではなく、もしかしたらアレッサの父親だったのではないかなと思います。
今作は親子の話が結構登場したので…。
ハリーが娘のヘザーを守ろうとしていたように、三角頭も娘・アレッサの分身であるヘザーを父親として守ろうとしていたのではないかなと思います。
おそらくですが三角頭も元は普通の人間。
ただ『アレッサを守るための力が欲しいという願い』と『アレッサの憎しみ』がぶつかった時に、封印の力が作用してモンスターになってしまったのだと思います。
つまりサイレントヒルで初めて生まれたモンスターですね。
そう考えるとヘザーに危険が迫った時にすぐ駆け付けることも、前作でアレッサの復讐に協力していたこと、アレッサの母・ダリアに危害を加えないことにも納得です。
三角頭はモンスターになっても愛した女性のため、娘・アレッサのために動いていたのかもしれませんね。
三角頭なのは…神の象徴かな。
封印に三角形の文様があったので、おそらくはモンスターになった時にその文様が反映されたのだと思います。
そう考えると、教団の言う「神」とは三角頭のような存在のことを指しているのかもしれないですね。
つまり三角頭は教団の言う神のような存在になったけれども、その実は娘・アレッサの父親として子を守ろうとしていただけなのではないかなと思います。
アレッサの父親
三角頭がアレッサの父親、封印を持っていたからモンスターになったのだとすると…アレッサの父親はおそらく教団のトップに立つような人物だったのだと思います。
もしくは教団のトップの配偶者ですね。
教団の元トップがレナード、前作で教団のトップに立っていたのがダリアの姉・クリスタベラ、現トップがクリスタベラの妹・クローディアであることを考えると…。
おそらくは当時の教団トップ・クリスタベラの夫が、アレッサの父親なのだと思います。
つまりアレッサの母・ダリアは、姉の夫と関係を持っていたということでしょう。
クリスタベラの夫とダリアの間にできた子だと考えると、クリスタベラが姪であるアレッサに冷たく当たっていたことにも納得がいきます。
妻として姉として、そして教団のトップに立つ人間として妹と夫の不義理が許せず、その怒りがその2人の子供に向いてしまったのでしょうね。
なのでアレッサの父親はクリスタベラの夫であり、教団のトップに立つ人間だったのではないかなと思います。
メタトロンの封印
メタトロンの封印とは人間の本質を表面上に出させるというか、本性・願いに合わせて肉体を変化させるような能力を持った物なのだと思います。
ローズが封印を手に入れた経緯
そもそもローズはヘザーをサイレントヒルの外に出すために、ヴィンセントの祖父・レナードから封印を奪ったのだと思います。
レナードが「あの女が娘を助けるために使った」と言ったので、この「あの女」というのはローズのことを言っているのでしょう。
もしくはアレッサの母・ダリアが協力していたのかもしれませんね。
よそ者であるローズが封印のことを知っていたとは考えにくいので、ダリアが入れ知恵したか…もしかしたらヘザーのためにダリアが封印をローズに渡したのかも。
ヘザーはアレッサの分身ですからダリアはヘザーのために協力し、最終的にはローズが封印を手に入れたのだと思います。
へザーが現実世界にいる理由
おそらくは人間の願いや本性によって肉体に変化を与える封印の能力を使って、サイレントヒルから外の世界に出られるようにヘザーの身体を変化させたのだと思います。
サイレントヒルが命なき者だけが入れる世界であったことを考えると、ヘザーが現実世界にいることは蘇生に近いかもしれませんね。
封印が2つそろっていればローズも外の世界に出られたのかもしれませんが、半分しかなかったのでローズは鏡越しに姿を見せることしかできなかったようです。
鏡はこの世ならざる者を映すものというイメージが強いですから…あの時のローズは幽霊に近い存在だったのかもしれません。
ただヘザーだけは…と封印の力を使ったことで、ヘザーだけは肉体を手に入れて外の世界に出ることができたのだと思います。
人間がモンスターになる理由
人間がモンスターに変身していたのはヘザーのせいでも本来の姿になったわけでもなく、封印の力によって願い・本性が肉体に変化を与えた結果だと思います。
簡単にいうと封印の力によって自分の望む姿を手に入れたという感じですね。
例えばレナードは封印の力によって視力が回復、どんな攻撃を受けても立ち上がるような老いを知らぬ屈強な肉体を。
ヴィンセントの母・クローディアは封印の力によって、戦いに特化した肉体を手に入れていました。
おそらくはその変身した姿が、彼らの望んだものだったのでしょう。
まぁ…願いが完全に肥大化して望んだもの以上のモンスターボディになってしまっていますが、一応自分の望む身体は手に入れているのだと思います。
ヘザーが封印を手にしていてもモンスターにならないのは、望みが自分に対するものではないからかな。
ヘザーがサイレントヒルにいる時の望みは「父親を助けたい」「ヴィンセントに無事でいてほしい」など他人を思いやる心だったのでしょう。
だからヘザーがモンスターになることはなく、「こうなりたい」と望んだ人間は封印の力によってモンスターに変身していたのだと思います。
街にいるモンスター
サイレントヒルにいるナース・マネキンモンスター・三角頭などのモンスターたちも、おそらくは封印の力でモンスターになってしまった元人間だと思います。
教団の人間が言っていた「神を呼び出す」というのは、おそらくはこの封印の力で超人を生み出そうということだったのでしょう。
だからこそレナードは肉体に封印を埋め込み、神になる儀式というか実験のために病院の一室にこもっていたのだと思います。
マネキンモンスターたちはその神化の失敗作でしょうね。
己の欲望のみが表面化されたモンスターになってしまい、本能や願いのために人間を襲うようになっていたのだと思います。
マネキンモンスターの場合は、たぶん「人形のようにキレイになりたい」という願いだったんじゃないかな。
その願いが封印の力によって歪んだ状態で叶えられ、「他人をマネキンに変えて自分の身体の一部にする」というモンスターになってしまったのでしょう。
教団の望む「神」を作り出すためには、おそらくはアレッサの父のような「誰かのために」という想いが必要なのに、教団の人間は自分の望みばかり願うから…。
どんなに実験を繰り返しても失敗作のモンスターだけが生まれてしまい、サイレントヒルはモンスターばかりの街になってしまったのだと思います。
映画『サイレントヒル:リベレーション』の関連作品
怖い・カッコ良い・面白いが詰まった言わずとしれた名作です!
まとめ
前作に比べると低評価の多い映画らしいのですが、個人的には大好きなモンスター・切ないストーリーだけではなく考察まで楽しめて…すごく満足のいく映画でした。
ただ考察をしないと「ん?」という状態のまま終わっている部分が多いので、どちらかといえば考察好きな方に向いている映画かもしれませんね。
そしてホラー映画をお求めの方よりもサイレントヒルらしいモンスターがお好きな方、サイレントヒルのその後が気になる方におすすめしたい映画でした!