スマホから始まる恐怖を描いた映画『スマホを落としただけなのに』。
正直1作品としてはあまり好みではない映画でした。
ただ自分なりの考察をすることで面白さを見出せるような、考察をすることで面白さが広がるような映画だったなと思います!
なので考察がお好きな方、考察で自分なりの楽しみ方をしたい方におすすめな映画ですね。
映画『スマホを落としただけなのに』の作品情報
あらすじ
彼氏・富田が落としたスマホを受け取りに行ったOL・麻美。
親切な人が拾ってくれたスマホを受け取りに行き、富田本人にスマホを返すことができたことで一安心…すぐにいつもと変わらない日常へと戻りました。
しかしそんな日常の裏で麻美に迫る影が…。
そして麻美と富田の周りで、不可解な出来事が起こるようになります。
時を同じくして、人里離れた山中から次々と若い女性の遺体が見つかるという事件も発生します。
若い刑事・加賀谷は独自の視点から犯人を探っていくことになるのですが…。
予告動画
動画リンク
映画『スマホを落としただけなのに』の感想
【面白ポイント】
- 主人公たちの脇を固めるキャスト陣
- 自分なりの考察をすると面白い!
主人公たちの脇を固めるキャスト陣
今作は3人の主人公の側に親しみやすいキャスト陣を配置することによって主人公たちの独特さを抑えて、全体のバランスが取れるようになっていて良かったですね。
富田くんの側にはバカリズムさん、麻美の側には高橋メアリージュンさん、加賀谷刑事の側には原田泰造さん。
自然な空気感を持つ演技派の方々が独特な主人公たちの側にいることで、親しみやすさと共感しやすさが生まれていました。
原田泰造さんは映画『ボクの妻と結婚してください。』に出演されていた時から演技がスゴイ自然だな…と思っていたので、何とも言えない安心感と安定感がありましたね。
高橋メアリージュンさんが映画に出演されているのは初めて拝見しましたが、テンション高めなSNS系女子!って感じがとても自然でしっくりきました。
また画面映えする存在感がある方なので、すごく良かったです!
ただキャスト陣でバランスを取っているといっても主人公が独特であることに変わりはないので、独特な主人公が苦手という方には不向きな映画かもしれませんね…。
自分なりの考察をすると面白い!
映画への感想に関しては以前視聴した時と同じく、個人的にはあまり好きじゃないかな…という感じでしたが、視聴後の考察は楽しかったです!
考察をすることで犯人について、主人公についての印象が変わっていき、考え方次第ではイヤミスっぽいエンディングと捉えることもできるので…。
自分なりの考え方で映画を楽しみたい方や、考察好きな方にとっては嬉しいゆとりというか、キッチリし過ぎていない要素が多くて良かったと思います。
考察次第で自分なりのエンディングを楽しめる感じは、以前記事にした映画『らせん』と似ていました。
自分好みの映画ではなかったけれども、考察することで自分好みの映画に変えていくというか、自分だけの楽しみ方をできるのはやはり考察の面白いところですよね。
今作はまさにそんな楽しみ方がピッタリな映画だったと思います。
なので今作は考察がお好きな方、『らせん』のように自分なりの考察で映画を楽しみたい方におすすめの映画です!
映画『スマホを落としただけなのに』の考察
【考察ポイント】
- 犯人が被害者の黒髪を切る理由
- ラストで犯人が刑事に言っていたセリフの意味
- 美奈代が麻美に整形して成り代わった理由
- 犯人が遊園地にいた理由
犯人が被害者の黒髪を切る理由
長い黒髪に対して母親のイメージを持っている犯人は、母親に見立てた被害者の黒髪を切ることによって『母親の欠片』を集めていたのだと思います。
そしてそんな母親のかけらを集めて、カツラをつくって被ることによって、自分自身が母親になろうとしていたのではないでしょうか。
どんなに酷い扱いを受けていようとも世界に1人だけしかいない自分を産んでくれた母親だからこそ…。
母親の気持ちを理解しようとしたのか、自分を愛してくれる母親をつくろうとしていたのかもしれませんね。
ちなみに被害者の腹を執拗に刺していたのもそのためだと思います。
正確には腹ではなく子宮ですね。
母親・女性の象徴である子宮の一部も実は集めていて、子宮を取り出すために被害者の腹を重点的に狙っていたのだと思います。
コレクションしているのか食べているのかは分かりませんが…。
ただどんなに母親の欠片を集めようとも母親になれるわけでも、母親の気持ちを理解できるわけでもありません。
しかし諦めきれずに犯行を繰り返していく内に、犯人自身もなぜ犯行を行っているのか目的が不明瞭になっていったのではないかな。
そして目的を忘れた後に、「長い黒髪を切る」「腹を刺す」「白い服を着せる」という形式のようなものだけが残ってしまったのではないかなと思います。
ラストで犯人が刑事に言ったセリフの意味
ラストで犯人が加賀谷刑事に言った「同じ種類の人間」というセリフには、「きっと加賀谷刑事も自分と同じ行動を起こす」という意味が込められていたのではないかな。
母親から「産まなきゃよかった」と言われた経験がある者同士だからこそ。
加賀谷刑事は犯人が遊園地にいることも分かったし、犯人が1番言われたくないセリフも言い当てることができました。
だからこそ…犯人の気持ちが分かってしまう加賀谷刑事も犯人側に回る可能性がある。
自分と同じ想いから似たような犯行に及ぶ可能性があるという意味を含めて、自分と同じ種類の人間だと言ったのではないかなと思います。
美奈代が麻美に整形して成り代わった理由
美奈代の人生には武井との交際・別れ、子供のこと、麻美のつくった多額の借金が付いて回るから、自分の人生を捨てたいと思っていたためだと思います。
麻美(本物)は美奈代に成り代わって自らの命を絶つことによって、自分の人生をプレゼントしようとしました。
突然のことに驚きながらも、自分の人生に嫌気がさしていた美奈代はそのプレゼントを受け入れ、整形して麻美(偽物)として生きていくことにしたのだと思います。
しかし美奈代名義で多額の借金をつくるほど切羽詰まっていたのであれば、麻美名義の借金もかなりの額があると思うのですが…。
そこは闇金からの借金に返済義務はないとか言って警察に助けを求めて処理してもらったのでしょうか?
もしくは借金があろうとも新しい人生を歩めれば借金のことはどうでも良いと思い、麻美名義の借金は被ったのかな?
もし借金がまだあるのだとすれば、彼女は整形して麻美に成りすましていること以外に借金のことも富田に内緒にしているのかもしれませんね。
麻美(偽物)がそのことを結婚前に打ち明けるのか、整形の時のように窮地に立たされるまで隠すつもりなのかは分かりませんが…。
そう考えると結婚というハッピーエンドにもイヤミス感が漂ってきて、個人的には良いなと思います!
犯人が遊園地にいた理由
犯人は母親に虐げられていた子供時代のまま大人になっているからだと思います。
子供に冷たい母親でも機嫌の良い時には子供を遊園地に連れていっていたとか、幼い頃には母親らしいことをしていたという場合もあると思うので。
その頃の思い出から、遊園地という子供が大好きな場所に大人になった今でも執着していたのではないでしょうか。
もしくはそういったところにも一切連れていってもらえなかったから、子供の頃から憧れていた場所にアジトをつくったのかもしれませんね。
ただ子供時代の思い出から遊園地にいたのは間違いないと思います。
同じ境遇で育った加賀谷刑事が遊園地にいることを言い当てていますから、おそらく同じ境遇の子供時代を送っていた者にだけ分かる、共通するものがあったのでしょうね。
映画『スマホを落としただけなのに』の関連作品
Web小説のようなテイストで読みやすいので、小説が苦手な方にもおすすめ。
性別・年齢を問わずに読みやすいので、興味のある方はぜひ!
まとめ
最初に視聴した時にはあまり好みではないな…と思っていたのですが、考察をしたことで映画に対する印象や感想が変わりました!
完全に好きとなったわけではありませんが、最初の感想よりかは間違いなく良い印象に変わったなと思います。
なので好みにもよるとは思いますが、考察好きな方・苦手な映画でも考察次第で楽しめるという方におすすめな映画ですね!