学生による選挙バトルを描いた映画『帝一の國』。
人気マンガの実写化映画、何とも言えないパッケージ画像から怪しげな空気感が漂ってきて観るのが不安だったのですが…腹立たしいくらいに面白くて驚きました。
ストーリーが面白いというだけではなく、映画としての観やすさまでしっかりと配慮されている映画で…まだ観ていない方にはとにかく激推ししたい映画です!
どちらかと言えば学生による青春映画・選挙映画が苦手という方、実写化映画に苦手意識を持っている方にこそおすすめしたい映画でしたね。
映画『帝一の國』の作品情報
あらすじ
総理大臣になって自分の国をつくろうと志す高校1年生・赤場帝一。
日本一の名門・海帝高校に主席入学し、将来の内閣入りが約束されている生徒会長の役職を目指して、高校生活をスタートさせました。
まずはクラスのルーム長になり、1歩ずつ生徒会長を目指し始めるのでしたが親友・榊原光明の協力の元、ライバルとなりえる他クラスのルーム長を調査していくと…。
腐れ縁のいじめっ子・東郷菊馬と、母親と幼い兄弟を支えながら難関と言われる海帝高校に入学した、気さくで人望厚い男・大鷹弾の存在に目が留まります。
そんな2人をライバルとして敵視しながら帝一は2年後の生徒会選挙を見据え、次代の生徒会長と言われている2年生・氷室ローランドに取り入ろうと画策するのでしたが…。
予告動画
動画リンク
映画『帝一の國』の感想
【面白ポイント】
- キャストとキャラが合ってる
- すごく観やすい
- 腹立たしいくらい面白い
キャストとキャラが合ってる
全体的にキャラクターとキャストがちゃんとマッチしていて、実写化特有の違和感を感じることなく、独特なキャラでもすごく自然で良かったです!
演技が自然な豪華キャストだからこそ、真面目にコメディな演出・ストーリー・キャラクターでも違和感を感じることがなかったというのもありますが…。
それぞれのキャストの顔・声質・動きが、キャラクターにしっかりとマッチしているように感じたんですよね。
そのおかげでキャラの独特さや非現実的な状況を気にすることなく、世界観にどっぷり入り込んで楽しむことができました!
印象としては三谷幸喜監督の映画に近いです。
豪華なキャスト・真面目にコメディな演出・ストーリー・キャラクター、それでいて自然な感じがすごくよく似ていました。
なので三谷幸喜監督の映画がお好きだった方であれば、気に入る映画なのではないかなと思います。
特に笑いの雰囲気は映画『ステキな金縛り』に、選挙をテーマにしていることを考えると映画『清須会議』に似ていましたね。
どちらも記事を書いているので、映画『帝一の國』が好きだったという方はぜひこちらもチェックしてみていただきたいです。
すごく観やすい
キャストやストーリーが良いだけではなく、今作は曲・カメラワーク・セリフも全体的に良くて…1つの映画としてとても観やすかったです!
要所要所で入る曲はシーンや演出に合っていたし、ストーリーを邪魔することなくしっかりと盛り上げてくれていてテンションが上がりました!
帝一の國で流れる曲は個人的に好きな曲ばかりで…ノリもいいし面白いし、すごく良かったです!
そしてマンガのようなテンポの良さがありながらも、安定した位置からの撮影はめちゃくちゃ観やすくて…安心して観ることができましたね!
そして聞き取りやすいセリフ。
コメディシーンの絶叫セリフだけではなく、全体的に声のボリュームが大きくハキハキと話すような映画になっているので、すごく聞き取りやすかったです。
私は画面酔いしやすいし、耳も遠いので地味に音声・映像によって観やすい映画か観にくい映画かが別れるのですが…今作は間違いなく観やすい映画でした!
なのでストーリーは人によって好みが別れるかもしれませんが、映画としてはどなたでも観やすいような映画になっていたのではないかなと思います!
私のように画面酔いしやすい…セリフがよく聞こえない…と映画に観にくさを感じたことがある方には、ぜひともチェックしてみていただきたい映画です!
腹立たしいくらい面白い
コメディ映画として面白いだけではなく、青春映画としても、学生たちによる選挙バトル映画としてもとても面白かったですね。
最初から最後までストーリーも演出も腹立たしいくらい面白くて、映画を観終わった後、フッと現実世界に引き戻されることに寂しさすら感じるような映画でした。
ただ声を出して笑うような面白さとは違いましたね。
どちらかといえばコメディ映画らしい分かりやすい笑いをニヤニヤ・ニコニコ観られるような、ずっと笑顔で観続けられる映画だったと思います。
それでいて青春映画・選挙映画の魅力までしっかりと詰まっていて、大人向けなのに少年マンガ的で、邪道なのに王道を感じさせる空気感もめちゃくちゃ良かったです!
なので青春映画・選挙映画が苦手という方、実写化映画が苦手という方にも…むしろそういう方にこそおすすめしたくなるような映画でした。
映画『帝一の國』の考察
【考察ポイント】
- ラストの選挙結果
- 光明が帝一をサポートする理由
- ラストの「君たちのことだよ」の意味
ラストの選挙結果
帝一は生徒会長になることはできませんでしたが、選挙に負けたのではなく勝ちを譲ったことで生徒たちの信頼・副会長のポジション・将来のための美談を手に入れました。
もし帝一が弾に自分の票を入れていなければ、帝一に嫌がらせをしようと動いていた東郷の策略にハマって、僅差で選挙に負けていましたから…。
それを阻止するために帝一はあえて弾に投票し、「負けたのではなく友達のために票を入れた」「勝ちを譲った」という美談を作り上げました。
咄嗟の機転でピンチをチャンスに変えたわけですね。
そしてこれには生徒たちの印象を操作するためだけではなく、実は政治家・総理大臣になったときのことをも見据えた行動だったのではないかなと思います。
ただ生徒会長選に負けた男というよりも生徒会長選で友を生徒会長した男、自分の私欲よりも正しい人選・友情を優先した男という方がイメージがいいですから…。
政治家になった時にこのエピソードが語り継がれれば、人気や信頼が集まって総理大臣になるための後押しになる可能性があると思ったのではないでしょうか。
なのであえて生徒会長の席を弾に譲ったのは生徒の信頼を集めるためだけではなく、総理大臣になるための未来を見据えた行動だったのではないかなと思いました。
光明が帝一をサポートする理由
光明が帝一を献身的にサポートするのは、友情なのか恋愛感情なのかは定かではありませんが…帝一のことが好きだからだと思います。
光明は明るくて人懐っこい、発明品をつくるような天才的な頭脳を持つ男ではありますが、猫グッズを持ち歩いたり話し方が独特だったりする不思議っ子キャラ。
時代的にいじめられていてもおかしくないようなキャラなので、もしかしたら過去に光明がいじめられていたところを、帝一が助けたりしていたのではないでしょうか。
氷室ローランド・駒と似たような出会いですね。
まぁ、帝一が純粋に友を救うために行動していたのか、光明を利用するために助けたのかは不明ですが…光明にとっては、助けてくれたのが嬉しかったのではないかな。
だからこそ光明は「帝一を友達として支えたい」と献身的なサポートをしたり、発明品を提供したりするようになったのではないでしょうか。
もしくはそのことがきっかけで、公明は帝一に恋心を抱くようになったのかもしれませんね。
帝一が「美美子と上手くいっていない」と落ち込んでいる時に、光明が嬉しそうにしているシーンがあったので、もしかしたら友達以上の感情を持っていたのかも…?
ただどちらにしろ、光明が帝一という人間を好きだから献身的にサポートしていることに違いはないと思います。
ラストの「君たちのことだよ」の意味
ラストで帝一が演奏していた曲は『マリオネット(操り人形)』…つまり「生徒全員、ぼくの操り人形だ」という意味を込めたセリフだったのだと思います。
生徒たちは自分の意思で行動しているつもりかもしれないが、全てはぼくが操っているんだ…操ってやるという想いが込められていたのでしょう。
そしてそれは生徒会長になった弾、帝一に尊敬の眼差しを向ける生徒たちだけではなく…光明のことも含まれていたのではないかなと思います。
光明は帝一の計画を理解している協力者として「帝一の一番好きな曲…マリオネットだよ」と意味ありげな笑みを浮かべていましたが…。
その直後に帝一が「君たちのことだよ」と言っていたことを思うと、光明のことも含めて操り人形だと言っていたのではないかなと感じました。
なのでラストの「君たちのことだよ」というセリフには、光明を含めた生徒全員が自分の操り人形だという意味が込められていたのではないかなと思います。
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まとめ
正直、そこまで期待せずに観た映画だったのですが…予想外にめちゃくちゃ面白くて、視聴後はなんか悔しくなりました。
ストーリーが面白いのはもちろんのこと、キャストとキャラクターがしっかりとマッチしていたし、映画としての観やすさもあってすごく良かったですね。
実写化映画ですが原作を知らなくても楽しめる映画なので、実写化映画に苦手意識を持っている方にもぜひともチェックしてみていただきたい映画ですし…。
青春映画・選挙映画が苦手という方にもおすすめしたくなる、むしろそういう方にこそおすすめしたい映画でした!