閉鎖されたホテルでの恐怖を描いた映画『シャイニング』。
幽霊よりも恐ろしいジャック・ニコルソンの演技と、残された謎を考察するのがめちゃくちゃ面白い何度観ても楽しめる名作ホラー映画です!
どちらかといえば心霊ホラーよりもサイコホラーがお好きな方、残された謎を自分なりに考察して楽しみたい方におすすめ!
映画『シャイニング』の作品情報
あらすじ
冬の間、閉鎖されるホテルの管理人をすることになったジャック。
そのホテルでは閉ざされた空間での孤独に負け、気が触れてしまった前の管理人が家族を手にかけ自らも命を断ったという恐ろしい曰く付きでした。
しかし作家志望のジャックは「静かな方が執筆活動が捗る」と気にする様子もなく、妻子を連れて閉鎖されるホテルの管理人として働くことを決めます。
そのことを喜ぶ妻・ウェンディとは裏腹に、ホテルに行くことを嫌がる息子・ダニー。
ダニーには『シャイニング』という超能力があり、ホテルに染みついた過去の出来事を見たり、未来を予知したりできる子供でした。
しかし両親に本当のことを言うことはなく、ホテルに移住してからも普通の子供と変わらない楽しい生活を送るのでしたが…。
予告動画
4K ULTRA HD【予告】『シャイニング』10.30リリース
動画リンク
映画『シャイニング』の感想
【面白ポイント】
- ジャック・ニコルソンが怖い
- 謎多きホラー映画
ジャック・ニコルソンが怖い
今作はホラー映画でありながら幽霊はそんなに怖くなく、ただひたすらに主演ジャック・ニコルソンが怖い映画になっています!
何かを見ているようで何も見ていないような独特な目元。
クイッと眉山の上がった眉。
ニカッと笑う口元。
振り乱した髪。
何というか…本能的に「ヤバい」「近付いてはいけない」と思わせるような狂気染みた恐怖感を纏ったキャラクターが、彼の顔立ちにピタリとハマっていましたね。
個人的にはバーカウンターで、疲れた顔から笑顔になるシーンが一番怖かったです。
笑顔になる直前の『何か』と目が合っている表情、顔に置いた手を下した瞬間に上がった口角が見える演出…そして不思議そうな顔でしゃべったと思ったら、突然の大爆笑。
1つ1つが写真みたいに切り抜かれているように見えるけどしっかり繋がっているというか、絶妙な演技・演出で個人的には怖かったけど大好きなワンシーンでしたね。
演出やカメラアングルが良かったなどももちろんありますが、それ以上にジャック・ニコルソンの顔立ち・演技があってこその恐怖だったと思います。
なので今作はジャック・ニコルソンがお好きな方、幽霊以上に怖い人間の狂気が詰まったサイコホラー映画がお好きな方にイチオシな映画です!
謎多きホラー映画
今作は幽霊によるホラー映画なのか、人間の狂気によるサイコホラー映画なのか…観る人によって印象が変わるような謎多きホラー映画になっています。
というか同じ人であっても「ここは実はこうだったんじゃないか?」「こういう考え方もできる」と、観返す度に新たな気付きによって印象が変わるような映画です。
なので何度観ても新鮮な気持ちで楽しめるし、何度観ても考察する楽しみがある映画になっています。
ただ…残された謎が多いので、人によっては「結局なんだったの?」と何も分からないまま映画が終わったと感じる方もいるかもしれません。
個人的には考察する楽しみがあって面白かったですし、自分とは違った解釈・考察を読んで楽しめる映画で良かったと思うのですが…。
自分なりの解釈ではなく、映画にハッキリとした正解を求める方には不向きなのかもしれませんね。
なので今作はどちらかといえば考察がお好きな方、謎多き映画を自分なりの解釈で楽しみたい方、たくさんの人の解釈を読むのがお好きな方におすすめな映画です!
映画『シャイニング』の考察
【考察ポイント】
- ラストの写真の意味&結末
- エレベーター前の大量の血液
- 凶器が斧な理由
- 双子が現れる意味
- 鏡の意味
- ダニーに取り憑く存在・トニー
- 237号室の過去
- ウェンディが見た着ぐるみ犬&男
ラストの写真の意味&結末
ラストの古い写真に写っていたのはジャックではなく、ジャックに顔がよく似たホテルの初代管理人(支配人)だったのではないかなと思います。
前管理人・グレーディーが「あなたはずっとここの管理人」とジャックに言っていましたし、ジャックは初代管理人の生まれ変わりだったのではないかな。
初代管理人がなぜ亡くなったかは定かではないけれども…亡くなった後にジャックとして生まれ変わり、またこのホテルの管理人として働くことになったのでしょう。
そしてグレーディーは「自分は管理人ではない」と言いつつも「私もずっとここにいる」と言っていたことを思うと、グレーディーはホテル従業員の生まれ変わり。
おそらくホテルの初代関係者は生まれ変わるとホテルに導かれ、狂って家族に手をかけ、自らも命を断ってホテルの一部になるようになっているのでしょう。
つまりジャックは初代管理人の生まれ変わりだからホテルに魅入られ、この生まれ変わりを集める連鎖はホテル関係者が全員集まるまでずっと続くのだと思います。
エレベーター前の大量の血液
エレベーター前から大量の血液が溢れ出していたのは、人間を喰らって手に入れた温かな血で体内(ホテル内)を満たしていたからではないかなと思います。
おそらくインディアンの魂が眠る場所に建てられたホテルは、人間のような意志・感情を持つ存在になっていて、冬の寒さや空腹・孤独に苦しんでいたのでしょう。
だから過酷な冬を生き残るために、ドナー隊のように人肉を喰らっていたのではないかな。
そして喰らって手に入れた血は溜め込んでおいて、定期的にホテル内に流すことでホテル全体を温めようとしていたのだと思います。
その血を流すときの出発地点がエレベーター前。
ダニーやウェンディは、その血を流してホテルを温めようとしているシーンをたまたま見かけたのだと思います。
そして温かな血肉で体内を温めて、自分に近しい人間の魂をホテル内に集めて毎夜パーティーを開くことで孤独を癒していたのでしょう。
元々ホテルが建てられた地が墓地だったことを思えば、ここに魂が集められるのは自然なことですしね。
なのでエレベーター前の大量の血液は、冬の寒さから自分を守るためにホテルが人間を喰らって手に入れた血液をホテル内に流して内側から温めていたのだと思います。
凶器が斧な理由
グレーディーやジャックが家族を襲う時に斧を凶器として選んでいるのは、手にかけた後、食べやすい大きさにカットしやすいからだと思います。
おそらくホテルは関係者の魂はパーティーに招くために求めているけど、それ以外の人間には興味がなく肉の塊・食べ物くらいにしか見ていないのでしょう。
だから管理人に斧で家族を襲わせた後は、血肉が温かい内に食べやすい大きさにカットさせるために斧を持たせていたのではないかな。
ジャックとグレーディーが話している時に、「妻と娘を手にかけた上、切り刻んだ」と言っていましたしね。
グレーディーは西側の部屋に家族の遺体を隠したと言われていましたが、おそらくそれは隠しているのではなく、ホテルが食べやすい位置に遺体を運んでいただけでしょう。
なのでグレーディーやジャックが家族を襲う凶器として斧を選んでいたのは、お腹を空かせたホテルのために食べやすい大きさにカットするためだったのだと思います。
双子が現れる意味
ダニーの前に現れていた双子はグレーディーの娘の姿を模した釣り針というか…ダニーをホテルに縛り付けるために用意されたホテル側の刺客だったのだと思います。
ダニーは友達ができないことに悩んでいましたから、ホテルに同じ年頃の子供が現れれば喜んで一緒に遊ぶと思ったのかもしれませんね。
しかしダニーにはシャイニングの能力があったから、双子の本来の姿というか…凄惨な過去の姿が見えたために拒絶されて失敗に終わったのだと思います。
おそらく237号室に現れた女性も、意味合い的にはほぼ一緒でしょう。
何かとだらしないジャックが好みそうな若い女性を用意して、ホテルに縛りつけようとしたのですが…鏡に本当の姿が映ってしまったために失敗に終わったのではないかな。
つまり双子が度々現れていたのは、友達を欲しがっているダニーに同年代の友達を与えてホテルに縛り付けるために用意されたホテル側の操り人形だったのだと思います。
鏡の意味
鏡はおそらくホテルにとっての口のようなものだと思います。
そこから血肉を取り込んだり、ホテル関係者を釣るための餌となる物を現実世界に出したりしているのですが…鏡の中を見られるとその人間の魂が見えてしまうのでしょう。
だから237号室にいた美しかった女性が、鏡には水膨れした老婆という亡くなった時の姿を現してしまったのだと思います。
ただ…ジャックがグレーディーとトイレで話している時、ジャックはグレーディーの姿を鏡で確認していますが、驚いたり恐怖したりしている姿はありませんでしたよね。
それにはおそらく、ホテルにとって大切な人物か否かが関係しているのだと思います。
ホテルから見るとホテル関係者(グレーディーやジャック)は大切な人物ですが、それ以外の人間はただの食べ物…言ってしまえばどうでも良い人間なんですよね。
だからホテル関係者の魂はキレイに保管しているから鏡の中でもキレイなままだけど、それ以外の人間の魂は管理が適当だから鏡を見られると本性がバレてしまう。
現実世界に出す時には一応相手が好むような見た目に整えているけど、鏡を見られると整えた見た目がハゲて本当の姿が出てしまうのでしょう。
なので鏡はおそらくホテルにとっての口であり、そこから人間を食べたり食べた人間の魂を出して利用したりしていたのだと思います。
ダニーに取り憑く存在・トニー
ダニーに優しく声を掛けたり警告したり、時には未来を見せてくるトニーはおそらくホテルの関係者であり、ダニーの前世にあたる人物なのではないかなと思います。
ホテルに行くことを「ダメ」ではなく「イヤだ」と表現していること、扉の「レッドラム」というメッセージに誤字があることを思うと、まだ幼い子供なのでしょう。
おそらくダニーの前世も、ジャックやグレーディーのようなホテル関係者…さらに子供であることを考えると、初代管理人の子供かもしれませんね。
ただ従業員ではなく初代管理人の子供であるトニーはホテルにとって大切な人物ではなかったために、ジャックはダニーにも襲い掛かっていたのだと思います。
大切な人の大切な人は邪魔者…というところですかね。
ちなみにジャックに息子と妻を切り刻む夢を見せたのは、ジャックの前世である初代管理人だと思います。
ダニーとトニーのように直接会話することはできなくとも、夢として未来の映像を見せることで、これから起こる惨劇を避けてくれと警告していたのでしょう。
つまりトニーはホテルの関係者でありダニーの前世の人間で、前世の人間は大体が「ホテルに取り込まれたくない」という想いなのだと思います。
237号室の過去
ダニーのシャイニングに気付いたホテルの料理主任・ハロランが237号室を怖がっていたのは、そこで祖母が命を落とすという過去があったからではないかなと思います。
おそらくダニーとシャイニングの話、ホテルでの悪いことを思い出している内にダニーにテレパシーで「237号室」の恐怖が伝わってしまったのではないかな。
そしてそれを言い当てられた瞬間、ハロランから穏やかな口調・表情がスッと消えたことを思うと…237号室にはハロランに関する何かがあったのでしょう。
237号室にいたのが風呂場で溺れた老婆であったことを思うと…あれはハロランの祖母だったのではないかな。
ハロランが「子供の頃、おばあちゃんと私は口を使わずに会話できた」と言っていることを思うと、彼の祖母は口を使ってしゃべれない状況だったとも考えられます。
おそらくハロランが幼い頃から、声が出なくなるような病気を患っていたのでしょう。
そしてそんな祖母が237号室に宿泊した際、ハロランの家族が風呂で溺れたように見せかけて、祖母を手にかけてしまったのではないかな。
祖母は助けを求めることができないから、風呂場での事故ということでハロランにも警察にもバレずに処理できるだろう家族は思ったのでしょう。
ただハロランと祖母はシャイニングで会話ができるから…祖母が亡くなる瞬間を目撃していなくとも、ハロランは全てを知っていたのではないかな。
しかし真相を知っていながら、家族のために真実をずっと心に秘めて…237号室の恐ろしい過去には目を背けていたのだと思います。
そんな秘密が詰まった237号室にシャイニングのダニーが入ったら、もしかしたら祖母が命を落とした時の状況を知られてしまうかもしれない…。
そう考えたハロランは祖母が命を落とした状況を隠すため、そして家族を守るために、237号室に近付くなとダニーに警告していたのではないかなと思います。
ウェンディが見た着ぐるみ犬&男
おそらくウェンディを足止めするためにホテル側が出した魂だけど、母にはシャイニングとしての才能があったために魂の本質・本来の姿が見えてしまったのでしょう。
息子のダニーがシャイニングなのであれば、両親のどちらかにも隠された才能があってもおかしくないですからね。
その隠された才能がジャックに襲われて命を落としかけている状況で、一気に開花したのだと思います。
おそらくあの謎の犬と男は、ホテルに囚われている魂たちで…パーティーを抜け出してイチャついているところだったのではないかな。
本来は2人とも人間なのだけれど、発情期の動物のように興奮している姿が本質として、犬の着ぐるみという形で出てきてしまっていたのでしょう。
ダニーの前に双子が現れた時と同じ…ホテル側は形を整えて出したんだけれども、ウェンディのシャイニングが本質・本当の姿を見抜いてしまったのだと思います。
映画『シャイニング』の関連作品
小説と映画ではかなり印象が違うので、興味のある方はぜひ!
まとめ
観るのはこれで2度目なのですが…1度目とは違った考察を楽しむことができて、2度目の視聴とは思えないくらいの新鮮さ・満足感がある映画でした!
ただ謎が多いストーリーなので考察がお好きではない方、はっきりとした答え・エンディングを求めている方には不向きかもしれません。
どちらかといえば自分なりの解釈・考察で映画を楽しむのがお好きな方、狂気染みた演技が魅力的なジャック・ニコルソンがお好きな方におすすめな映画でした!