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映画『哭声/コクソン』のネタバレ感想・考察 日本人や女の正体&事件の真犯人&ラストの意味

哭声/コクソン(吹替版)

 

とある田舎町での恐ろしい事件を描いた映画『哭声/コクソン』。

 

ホラーとしてはあまり好みではない映画でしたが…サイコホラーとして観ると印象がガラッと変わり、考察のしがいも生まれて面白かったです!

 

どちらかといえばサイコホラー映画がお好きな方、考察次第で印象が変わるような映画がお好きな方におすすめ!

 

 

映画『哭声/コクソン』の作品情報

 

あらすじ

平和な町で暮らす警察官・ジョング。

 

妻と義理の母、おませな娘・ヒョジンと一緒に穏やかに暮らしていたのですが…町では様子のおかしい犯人が、無惨な遺体と共に発見される不可思議な事件が発生します。

 

犯人からは幻覚性キノコの成分が大量に検出され、自宅からも大量のきのこが発見…事件は変なきのこのせいだと思われました。

 

しかし同僚は町にほど近い山に日本人が住み着いてから多くの人が亡くなっている、妙な噂も多いと…日本人のことを疑っている様子。

 

そんなある日、また様子のおかしい人たちと共に無惨な遺体が発見される事件が発生しました。

 

友人は事件の関係者が日本人に襲われて以来、様子がおかしくなっていた…日本人が怪しいと話します。

 

事件の関連性も真相も分からないまま調査をしていると、ジョングの前に事件の目撃者と思われる謎の女・ムミョンが現れ…。

 

動画リンク

哭声/コクソン(吹替版)

 

映画『哭声/コクソン』の感想

 

【面白ポイント】

  • 親しみのある田舎町
  • アクの強いキャラ
  • 考察次第で印象が変わる

 

親しみのある田舎町

日本とは違う文化・雰囲気があって戸惑うことはあるものの、日本と同じような田舎特有の空気感みたいなものは感じられて親しみやすさがあって安心しました。

 

イマイチ緊張感のない警察官・あやふやな捜査・親との同居・病院よりも祈祷師など、田舎特有のものを感じましたね。

 

大きな事件や凶暴な犯人に全く慣れていない警察官たちは、のどかな田舎のお巡りさんらしさが出ていて親しみやすかったです。

 

何というか今回の事件さえなければのどかで平和な町なんだろうな…というのが節々から感じられて、だからこそ事件の猟奇性が強まっていて良かったですね。

 

私は韓国作品をあまり観ないので、文化とか雰囲気とかちゃんと掴めるかな…と不安もあったのですが、想像以上に親しみやすさが感じられて安心しました。

 

なのでどちらかといえば田舎町での猟奇事件というギャップがお好きな方、韓国映画をあまり観たことがないから不安という方にもおすすめな映画です!

 

ただ…部外者を嫌悪し排除しようとする田舎特有の嫌な部分もギュギュッと詰まっていたので、苦手な方は注意したほうが良いかもしれませんね。

 

アクの強いキャラ

ヘタレだけど弱い人には強気な主人公・怒鳴り散らす上司・おませが過ぎる娘・謎が多すぎる目撃者の女など…全体的にアクが強いキャラが多かったですね。

 

個人的には特に男キャラに、the・嫌なヤツというキャラが多かったように思います。

 

主人公は旦那にしたくない男だし、主人公の上司はまさに上司にしたくない男で…面倒臭さと嫌なところを煮詰めたようなキャラをしていてすごく印象的でした。

 

私の大好きな映画『ナイトミュージアム』の館長のような、愛され嫌なヤツではなく…。

 

本当に「…ん?」と疑問と嫌悪感すら感じかねないイヤな性格をしているキャラで、人によって好みは分かれそうに感じました。

 

個人的に動物に暴力を振るうキャラがすごく嫌いなので…そのせいで余計にそう感じるのかもしれませんね。

 

なのでどちらかといえばアクが強い独特なキャラがお好きな方、人によっては嫌悪感を抱くほどイヤなキャラがお好きという方におすすめな映画でした。

 

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考察次第で印象が変わる

今作は受け取り方次第というか、考察次第で映画の印象がガラッと変わって面白かったです!

 

正直、初視聴時にホラー映画として観たら…あまり面白さを感じることができませんでした。

 

怖いというよりも空気感に付いていくことができず、全員が情緒不安定な行動ばかりとっているように感じられて面白さを感じるのは難しかったです。

 

なので今回はあえて悪魔・呪詛などは関係なし、精神錯乱によって追い込まれた人間の凶行と思いながら観てみました。

 

そうすると全ては人間らしい行動だと納得ができるし、人間がそれぞれに狂っていたと考えるとゾクッとくるものがあって面白かったです!

 

またオカルト系のホラーではなくサイコホラーと捉えることで、考察の余地も多く生まれるので…視聴後まで楽しみが広がって良かったですね。

 

印象としては映画『シャイニング』に似ていたかもしれません。

 

人によってホラー・サイコホラーと捉え方を変えられるようなストーリーと、考察で印象がガラッと変わるような感じとかよく似ていたかなと思います。

 

なのでどちらかといえば考察好きな方、ホラー・サイコホラーのどちらとも捉えられるような映画がお好きな方におすすめな映画でした!

 

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映画『哭声/コクソン』の考察

 

【考察ポイント】

  • 事件の真犯人&真相
  • 日本人の正体
  • 謎の女・ムミョンの正体
  • 祈祷師・イルグァンの正体
  • ラストの写真の意味

 

事件の真犯人&真相

事件の真犯人は山に生えている毒キノコで、犯人たちはキノコが原因で幻覚・湿疹・身体の異常・精神錯乱を起こし凶行に走っていたのだと思います。

 

そもそも映画冒頭で主人公と同僚が「犯人から幻覚性キノコの成分が検出された」と話していましたし…。

 

映画中盤では「健康会社が毒キノコでサプリメントを製造・販売」「キノコは幻覚をもたらす成分を多量に含む」「被害者は精神錯乱状態」とニュースがありました。

 

つまり今回の事件は本当に幻覚性の毒キノコが原因だったのに、町の人間が信じなかったために繰り返された事件だったのだと思います。

 

おそらく毒キノコは新種のもので、摂取の仕方によって症状の違いはあるものの精神・肉体の両方に多大な影響を与えるほど毒性の強いものだったのでしょう。

 

湿疹が出ていた人は、直に毒キノコを食べたことで強く影響を受けてしまい精神錯乱状態に陥っているタイプ。

 

こちらは末期になると近くにいる人間を手にかけてしまったり、最悪の場合は命を落とすことになるのでしょう。

 

嘔吐・吐血をしていた人は、おそらくは毒キノコを食べた鶏・豚などを食べたタイプ。

 

二次的に毒キノコを摂取したために湿疹は出ず、直に食べた人よりかは影響が軽いものの幻覚・体調不良を起こしていたのでしょう。

 

しかし毒キノコのせいとは誰も思っておらず…そうこうしている内に事件や、亡くなる人が増え続けていたのではないかな。

 

つまり人が亡くなったり凶行に走ったりしていたのは毒キノコのせい、もっといえば新しい情報がなかなか伝わらない田舎町ゆえの悲劇だったのではないかなと思います。

 

日本人の正体

日本人は悪魔や祈祷師ではなく、韓国で蔓延する毒キノコの噂を聞きつけてやってきた研究者だったのではないかなと思います。

 

山奥にこもっていたのは問題の毒キノコが山に生えているから、亡くなった人の写真や持ち物を持っていたのは経過を見るため・研究資料のためだったのでしょう。

 

あとは村が閉鎖的で外部の人間を受け入れないため、1人で山にこもって研究するしかなかったのだと思います。

 

ラストで悪魔になっていたのは主人公の同僚の甥っ子・イサムが見た幻覚。

 

直前のシーンまでは頭を包帯でぐるぐるに巻かれていた彼が、日本人と対面するシーンでは包帯がなくなっていたので…幻覚か悪夢だったのだと思います。

 

その他の鹿食った・人間の血を啜った・女を襲ったなども、毒キノコに侵された人々が見た幻覚だったのでしょう。

 

日本人が祈祷師に対抗して呪詛をしているようなシーンは、謎の女が見た幻覚だと思います。

 

血まみれになっていたのは鶏を食用にするために捌いていたからか…もしくは鶏を介して毒キノコの影響を受けて吐血したためでしょう。

 

おそらくは町の人々は日本人のことをよく思っていないため、悪いイメージが膨らんだ時に毒キノコの作用で彼の幻覚を見てしまっていたのだと思います。

 

ちなみにイサムに怪我を負わせた人が車で倒れている時、ろうそくを置いていたのは研究のための明かり用だったのでしょう。

 

山にこもっているとなかなか毒キノコの症状が出ている人の研究ができないため、病院に連れて行かずにじっくり研究しようとしていたのではないかな。

 

つまり日本人は悪魔や祈祷師などではなく、韓国で蔓延する毒キノコの調査のためにやってきたキノコ関係の研究者だったのだと思います。

 

謎の女・ムミョンの正体

主人公すら知らなかった謎の女・ムミョンはおそらく最近コクソンにやってきた声の出せない娘であり、毒キノコに苦しむ者が見る幻覚だったのではないかなと思います。

 

警察官であり、コクソンを縄張りというほど長く暮らしている主人公すら知らなかったことを思うと…謎の女が現れるようになったのは最近のことだったのでしょう。

 

田舎町であることを考えれば、住人なら『見知らぬ人=○○に越してきた人』とすぐに分かるだろうから…おそらくは家を持たない流れ者だったのかなと思います。

 

そしてずっと声を出さず石を投げ続けていたり、日本人に追いかけられた時に悲鳴を上げたりしなかったことを思うと…声が出せなかったのではないかな。

 

不自然なくらい声を出さないシーンがあったので、個人的にはしゃべらないというよりも声を出せない状態だったのだと思います。

 

最初に石を投げ続けていたのは…焼け落ちた家から役立ちそうな物を持ち去りたいのに、主人公たちが邪魔だったからなのかもしれませんね。

 

つまり本物の彼女は声を出していない状態のときだけで、喋っている彼女は偽物というか…毒キノコの毒に侵されている人が見ている幻覚だったのだと思います。

 

真相を知りたがっている主人公の前にフラフラと現れたかと思ったら消え、欲しい情報を話してくれるかと思えば肝心なところはぼかして…不安を煽るだけ。

 

謎の女はあまりにも存在が不安定すぎるので…個人的には現実に存在する人ではないと思います。

 

つまり彼女が話していることは、彼女を見ている人が作り出した妄想・幻聴だったのでしょう。

 

事件関係者のカーディガンを着ていたのも、彼女は敵・危険と考え始めた主人公が見た妄想だったのだと思います。

 

おそらくはコクソンの人々は悪いことが起きた時、周りが知り合いばかりなために『よく知らない人物のせいなんじゃないか』という思考に繋がりやすかったのでしょう。

 

だから日本人や謎の女を中心に悪い妄想が広がり、それが毒キノコの作用で幻覚・幻聴として現れるようになっていたのではないかな。

 

つまり謎の女の正体は最近コクソンにやってきた声の出せない流れ者であり、しゃべっていた彼女は毒キノコに苦しむ人が見ている幻覚だったのだと思います。

 

祈祷師・イルグァンの正体

主人公と一緒に恐怖と立ち向かっていた祈祷師・イルグァンは、霊能力など持っていないただの金に汚い詐欺師だったのではないかなと思います。

 

何人にも祈祷しているような話がありましたが、良くなったという評価は一切ありませんでしたし…主人公の娘・ヒョジンも結局良くなってはいませんでした。

 

その割に大きな祈祷をするからと、大金を要求しているようなシーンがあったので…霊能力など持っていない、ただの詐欺師だったのだと思います。

 

主人公の同行を察知しているような素振りがあったのは、金づるになりそうな人物には部下を偵察のために尾行させていたからでしょう。

 

初登場シーンで醤油ツボの中にカラスが入っていることを予知したのも、事前に部下に仕込ませていたから。

 

ただ映画終盤で吐血・嘔吐し、しゃべる謎の女を見ていたことを思うと…祈祷師も鶏・豚経由で毒キノコの影響を受け始めていたのだと思います。

 

ソウルに逃げようとしていた時に、大量の虫がアタックしてきたのも幻覚。

 

つまり祈祷師は基本的には霊能力など持っていない金に汚い詐欺師なのですが、ラストでは毒キノコの影響で吐血・嘔吐・幻覚を見ていたのだと思います。

 

ラストの写真の意味

ラストで日本人が持っていた被害者たちの写真を祈祷師が持っていたり、主人公の写真を撮っていたりしたのは自分自身のためだったのだと思います。

 

おそらく怪しいからという理由で日本人にも部下を付けていた祈祷師は、日本人が毒キノコの調査をしていること・毒キノコの存在を事前に知っていたのでしょう。

 

ただあくまでも頭のおかしい男が変なことをしている程度の認識で、最初は信じてはいなかったと思います。

 

しかし車にタックルしてきたはずの大量の虫が存在すらしていない…幻覚と気付いたことで、あの毒キノコが原因ではないかと思い至ったのでしょう。

 

だからわざわざコクソンにUターンして、日本人がどこかに隠していた写真などの資料を取りに行っていたのだと思います。

 

そしてそんな祈祷師がわざわざ主人公に電話をしていたのは、自分以外の毒キノコ患者も共に連れて行くことで自分の完治率をあげようとしていたのでしょう。

 

よくわからない毒キノコで幻覚を見ていますと病院に行っても、精神病患者扱いされる可能性もありますからね…同じ病状の患者が欲しかったのだと思います。

 

特に主人公の娘は一度は回復の兆しを見せていたから、連れていけば自身の完治に繋がる情報が得られるかもしれないと考えたのではないかな。

 

電話で主人公に毒キノコのことを伝えなかったのは、錯乱状態の人間に真実をいったところで信じてもらえないからでしょう。

 

特にコクソンの人間は毒キノコの存在に懐疑的でしたから…すでに信じられている話ベースで続けたほうが、話し合いもスムーズになりますからね。

 

そして主人公の家にやってきたのですが…実は娘が治っていなかったことを知り、祈祷師にとって彼らの存在価値がなくなりました。

 

むしろ連れて行こうとすると自分の身も危なくなるので、話しかけることなく冷静に写真だけ撮って立ち去っていたのだと思います。

 

写真を撮っていたのは、毒キノコ患者の写真は撮っておけば自分の治療の時の資料になる可能性があるからでしょう。

 

もしくは毒キノコによって壊れた田舎町の写真とか…雑誌社で高値で売れるかもしれないという目論見から、写真を撮っていた可能性もありますね。

 

つまりラストで祈祷師が大量の写真を持っていたのは自分のために日本人の家から持ち出したから、主人公たちの写真を撮っていたのも自分のためだったのだと思います。

 

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考察次第で映画全体の印象が変わるような映画がお好きな方におすすめです。

 

まとめ

 

最初観た時は正直うーん…と思っていましたが、サイコホラーとして観ることでストーリーの幅も考察の幅も広がって面白かったです!

 

ただ主人公が動物に暴力を振るうタイプの嫌なヤツだし、儀式の関係で動物が犠牲になるシーンが多かったので…もう1度観るかと言われると、観ることはないかな。

 

どちらかといえば考察次第で印象がガラッと変わるような映画がお好きな方、アクの強いイヤなキャラクターがお好きな方におすすめな映画でした!

 

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