タイムリープした落ちこぼれが、根性で学生時代をやり直す映画『東京リベンジャーズ』。
名前は知っているものの原作を全く知らない状態で観たのですが、思っていたよりも意外性・キャラクター性・ストーリー性のある映画で、熱いし面白かったです。
どちらかといえばキャラクター性とストーリー性の良い映画をお探しの方、根性・友情・青春といった熱いものがある映画がお好きな方におすすめ!
映画『東京リベンジャーズ』の作品情報
あらすじ
裏社会で半グレ集団/東京卍會が勢力を強めている世界で、そんなことと無関係に貧しく・孤独に・不満に塗れて暮らしていたフリーター/花垣武道(タケミチ)。
そんなある日、高校時代の元恋人/橘日向(ヒナ)が、弟/橘直人(ナオト)と共に東京卍會の抗争に巻き込まれて亡くなったというニュースを耳にします。
ショックを受けながら駅のホームに立っていると、誰かに押されて線路に落ちたら…イケイケな学生時代に戻っていて、友人/千葉敦(アッくん)たちと一緒にいました。
懐かしみながら仲間とケンカに向うと、現れたのは東京卍會に所属する格上の相手/清水将貴(キヨマサ)で、落ちこぼれ人生のスタートを再び体験。
けれど悪いことばかりではなく、10年ぶりに会ったヒナは優しく10年後も一緒にいようと言ってくれて、偶然ナオトとも会えたので未来のことを警告することもできました。
あとは頼んだとナオトと握手すると10年後に戻っていて…ナオトが生きていて自分を救ってくれる未来に変わっていましたが、ヒナが亡くなることだけは変わりません。
東京卍會のトップ/佐野万次郎(マイキー)、東京卍會の最重要人物/稀咲鉄太(キサキ)…ナオトは、もう一度タイムリープして二人の出会いを止めてほしいと依頼。
最初はやる気のなかったタケミチですが、ヒナが生きている世界を求めて…運命を変えるために、タケミチはもう一度タイムリープします。
予告動画
動画リンク
映画『東京リベンジャーズ』の感想
【面白ポイント】
- 想像と違う面白さ
- マイキーのキャラが良い
- ストーリー性があって面白い
想像と違う面白さ
さすがに話題作なので名前だけは知っていましたが、原作は全く知らない状態で視聴したのですが…想像と全く違うストーリー・主人公像で驚きました。
なんというか少年マンガ原作の主人公が『弱い』というのがすごく意外というか、新鮮味があって心惹かれるものがありました。
根性だけで運命を変えるという潔いまでの肉体的弱さ、でも人を惹きつける芯の強さがあって…良い主人公像でしたね。
あとタイムリープ系の作品でありながら、過去と現在を何度も行ったり来たりするというのも物珍しさがあって良かったです。
それでいてキャラの心情・ストーリー展開・場面・過去と現在が入り乱れるテンポ感がとにかく良くて、すごく観やすい映画でした。
要所要所にコントのようなギャグも入れ込まれていて、ちょっと寒いけどそれが良いみたいなところがあって面白かったですね。
原作を知らないので、原作とどう違うのかなどは分かりかねますが…一つの映画として新鮮味・面白さがあって、個人的には好きでした。
思っていたストーリー展開・キャラクター像と違うし、コメディ要素もシリアスな要素もあって…どんどん続きが気になる、惹き込まれるもののある映画だったと思います。
個人的にヤンキー系の作品は苦手というか、興味がなくてあまり観ないのですが…今作はそんな私でも、飽きることなく楽しむことができました。
マイキーのキャラが良い
元恋人の命を奪う敵、未来の大悪党、諸悪の根源…のはずなのに、マイキーに憧れるタケミチの気持ちが分かってしまうくらい、良いキャラしてましたね。
チーム総長としての誇りがあるし、根性のある主人公を見込んで友達になろうと言う幼さ・明るさがあって、ビンタされても笑える器のデカさがあって…。
カッケェ…ってなるキャラクターでしたね。
戦うときに楽しそうに笑っている狂人っぷりも、ゲーム『龍が如く』の真島さんが好きな者としては、惹かれるものがありました。
悪なんだけど根本的に悪い人ではなくて、ゆるいけど芯があって…これは人気が出るのも理解できるなと思えるキャラクターでしたね。
実写版でこんなにカッコ良いのだから、原作だともっとカッコ良いんだろうなと…原作版にも興味が出てくるほどでした。
東京リベンジャーズを全く知らない私でも知っているくらい有名な「日和ってる奴いるかぁ?いねぇよなぁ!」のセリフも、めっちゃ良かったです。
ドラケンが助かったと聞いたときに、スッとその場を離れて一人で泣いていたのも…分かっていたけど、人間味があって良かったなぁと感じました。
主人公も良いキャラしていましたが、マイキーも負けず劣らずの良いキャラクターで個人的には好きでしたね。
ストーリー性があって面白い
ヤンキー作品ってケンカ・成り上がりが全てみたいな偏見があったのですが、思っていた以上にストーリー性がしっかりとあって良かったです。
アッくんが生きてはいたけれど、苦悩ばかりの人生で…屋上から飛び降りたシーンとか、心に来るものがありましたね。
あとはドラケンの『周りの人間に迷惑を掛けてはいけない』という信念とか、その影響を受けて人として成長していくマイキーとか。
半グレ集団同士の抗争に、メンバーの親友だからという理由で巻き込まれてしまった男性・その恋人・恋人の両親。
キャラクターそれぞれに背景・目的・苦悩・信念があって、ストーリーにも明るさと闇があって、カッコよさとカッコ悪さがあって…すごく良かったです。
もちろん暴力やケンカもあるのですが、それに至るまでの過程がちゃんとあるというか…そこに至るまでのストーリーがしっかりあったのが個人的には好きでした。
あとタケミチがラストの方で言っていた「俺の人生のリベンジ」というのも、個人的には好きでしたね。
やり直しじゃなくて、リベンジ。
男らしくて熱い…実に良いセリフと展開でしたね。
それに対して未来を変えて、現代で生きているヒナと再会するという結末は少し弱い気もしますが…まぁ、当初の目的はそこだったから良いのかなと思いはします。
残されている謎もまだまだありますが、そこは続編映画がすでに出ることが決まっているので…そこで語られることに期待、もしくは原作を読むということで。
1本の映画として面白さがあったのはもちろんのこと、もっと深掘りしたくなるくらいのストーリー性がある映画で面白かったです。
映画『東京リベンジャーズ』の考察
【考察ポイント】
- 最初に電車に轢かれたタケミチ
- タイムリープする方法
- ナオトが過去改変を認識できる理由
- パーちんの親友が襲われた理由
- 冒頭で車に轢かれるヤクザは誰?
- アッくんがタケミチを押した理由
最初に電車に轢かれたタケミチ
線路に落ちたタケミチは、現在を変えてナオトによって救われたわけですが…最初のタケミチは、電車にそのまま轢かれて命を落としていたのではないかなと思います。
最初のタケミチというのはタイムリープする前、現在を変える前のタケミチのことですね。
タケミチがタイムリープする前、最初の世界ではナオトは東京卍會の抗争に巻き込まれてヒナと一緒に亡くなっているので、タケミチを救うことはできません。
かと言って、他人が命をかけてタケミチを救ってくれるとも考えにくいので…個人的には最初のタケミチは電車に轢かれて、命を落としていたのではないかなと思います。
もっと細かく言うと、電車に轢かれる寸前、タイムリープして魂だけが過去へと戻ったタケミチの魂は無事だけど、魂を失って眠っている肉体が轢かれたイメージかな。
魂は肉体に依存せず、過去の身体に入っていたから無事だった…そして過去を変えたことによって現代が変わったから、無事に戻ることもできたのでしょう。
ただしこの世界だとパラレルワールドは存在せず、過去も未来も一直線の状態になっている世界のようなので、タケミチが電車に轢かれた現代は消滅しているはずです。
なのでタケミチが轢かれた現代は確かにあったけれど、過去を改変したことによってその現代は消滅して、別の現代に上書きされたイメージなのでしょうね。
つまり最初のタケミチは電車に轢かれて亡くなっているけれど、タイムリープして過去を変えた時点で、その現代は消滅して別の現代に上書きされているのだと思います。
タイムリープする方法
タケミチとナオトはお互いの握手がタイムリープのきっかけだと言っていましたが、実際にはタケミチの「戻りたい」という意思がきっかけなのではないかなと思います。
だってタケミチとナオトの握手がタイムリープのきっかけならば、タケミチ亡き世界で初めてタイムリープしたことの説明が付きませんからね。
あの時、タケミチは「昔は良かった」と過去に想いを馳せながら線路に落とされたので、電車に轢かれる直前に「昔に戻りたい」と思っていたのではないかな。
その結果、タイムリープが起きた。
現代に戻るときも、ナオトと握手する直前にタケミチは「じゃあ俺は次の走馬灯に行くよ」とこの場を離れるようなことを言っていたので…。
次の走馬灯に行く=時間を先に進める=現代に戻ると解釈されて、現代に戻れたのではないかなと思います。
つまり全てはタケミチの意思次第なのでしょう。
しかしナオトは握手した瞬間にタケミチがタイムリープしたことから、自分との握手がタイムリープのきっかけになると思ってしまったのではないかな。
そしてタケミチもそう言われたことで、そういうものなのかと納得…握手をしたらタイムリープすると思い込んだために、それがトリガーになったのでしょう。
つまりタイムリープするにはタケミチの意思が重要だけど、ナオトとの握手で起こることに納得したために、それがトリガーになったのだと思います。
タイムリープできる理由
そもそもなぜタイムリープが起きるのか、映画内では説明されていませんが…個人的にはタイムリープできる人間同士の接触が関係しているのではないかなと思います。
タケミチはずっと不満たらたらで、過去の思い出を大事にしていたようですが…タイムリープしたのは電車に轢かれそうになった時が初めてでした。
もしずっとタイムリープの能力を持っていたのであれば、ケンカでボロボロになった時や落ちこぼれ人生に絶望したときに起こっているはず。
だからあの瞬間、もしくはあの直前にタイムリープの能力を手に入れたのだと思います。
タイムリープが起きる直前、タケミチに起きたことはアッくんに線路に突き落とされたことでした。
つまり実はアッくんもタイムリープの能力を持っている存在で、タケミチを突き落とそうと接触したときにその能力が伝染したのではないかなと思います。
キサキとアッくんのタイムリープ
個人的にはキサキもタイムリープできる人間だと感じました。
アッくんを奴隷のようにしているキサキの「10年前から何も成長してねぇな」というセリフ…10年前は小物だったアッくんのことを知っていたようなセリフ。
このことから実はキサキもタイムリープしていて、ドラケンを排除してマイキーの右腕になって、東京卍會をでかくしようとしている人間だったのではないかなと思います。
メビウスではなく東京卍會に乗り換えたのは、マイキーのカリスマ性を見込んでのことでしょう。
『東京リベンジャーズ』というタイトル的にも、タイムリープしている人物がタケミチ以外にいてもおかしくないですしね。
そしてそのキサキはアッくんを奴隷のように扱っていて、キヨマサ時代のことを思うと暴力的なことをすることもあったのではないかな。
その結果、タイムリープの能力がアッくんにも伝染。
そしてそのアッくんが線路に突き落とすためにタケミチに触れたことにより、タイムリープの能力がタケミチにも伝染していたのではないかなと思います。
だからアッくんはタイムリープの存在に気付いていたけれど、運命を変えることができずにいた結果…自ら命を断つ道しか選べなかったのではないかな。
その能力がどこから来たのか、なぜ伝染するのかは不明ですが…個人的にはタイムリープの能力が接触によって伝染していると考えると、納得がいくなと思いました。
ナオトが過去改変を認識できる理由
タイムリープの能力が伝染している可能性を考えると、ナオトが現代にいながら過去改変を認識できるのもタイムリープの能力を持っているからではないかなと思います。
ずっと調べていた東京卍會の情報が変化していること、マイキーの入れ墨が消えていく瞬間もナオトは目の当たりにしていて…過去改変をしっかりと認識できていました。
ナオトはタケミチから未来の出来事について警告され、タイムリープの瞬間も目の当たりにしていたから、タケミチのタイムリープについて信じています。
そして10年前にタイムリープしているタケミチと握手したことをきっかけに、ナオトにもタイムリープの能力は伝染しているのではないかな。
ただ姉を守るために刑事になるほど真面目なナオトは、常識があるためか自分にもタイムリープができるとは思わないのでしょう。
けれどタイムリープの能力を持っている影響で、タケミチが行う過去改変を現代にいながらにして認識できるのではないかなと思います。
パーちんの親友が襲われた理由
東京卍會のメンバー/パーちんの親友とその彼女が、敵対組織/メビウスに襲われたのは抗争を起こすきっかけづくりだったのではないかなと思います。
固有名詞ではなく、パーちんの親友と呼ばれていたことを思うと、東京卍會とは無関係な人間であることは間違いないでしょう。
なのにメビウスに襲われ、それに対して東京卍會が抗争を起こそうとしていたことを思うと…パーちんの親友は抗争のきっかけづくりにされたのではないかなと思います。
メビウスとしては東京卍會は目障り、けれど自分からケンカを吹っ掛けるだけでは小物っぽいというか…打ち負かした・返り討ちにしたという評価がほしかったのでしょう。
そのためにパーちんの親友を襲って、相手から抗争を仕掛けてくるように仕向けたのではないかなと思います。
マイキーは女性には手を上げない、ドラケンは無関係な人は巻き込まないというスタンスでしたが、メビウスにそんな信念はなかったということでしょう。
冒頭で車に轢かれるヤクザは誰?
冒頭で車に轢かれる裸入れ墨の彼は東京卍會と抗争中の組織の人間で、彼が東京卍會に負けたことがヒナとナオトが亡くなるきっかけになったのではないかなと思います。
そもそもヒナとナオトが亡くなる原因になったのは東京卍會と裏社会の人間による抗争に巻き込まれたということだったので、彼はその組織側の一人だったのでしょう。
「今日からこの辺りのシマは東京卍會が仕切る」とキサキが彼に言っていたことを思うと、彼が『この辺り』を仕切っていた組のトップなのではないかな。
裸だったのは武器を隠し持っていないかチェックするために脱がされたか、プライベート中に突然襲撃されたからだと思います。
で、その組を傘下にしている組織がケンカを売られたと判断して、敵討ちじゃないけれども…抗争に発展→ヒナとナオトが巻き込まれることなったのでしょう。
つまりはあの冒頭で車に轢かれた裸入れ墨の男こそ、抗争のきっかけであり、ナオト・ヒナが命を落とすきっかけになっていたのではないかなと思います。
アッくんがタケミチを押した理由
アッくんがタケミチを線路に突き落としたのは、マイキーの右腕になったキサキが命令したからでした。
最初はキサキがタイムリープしていて、過去改変している存在がもう一人いると気付いてのことだったのかなと思ったのですが…。
あの時のタケミチはタイムリープする前、過去改変も何もしていない状態だから…狙う理由がないはず。
過去改変後の世界でタケミチを排除しようとするのであれば、マイキーのダチだからという理由がありますが…タイムリープ前のタケミチはただの落ちこぼれでした。
とても大組織となった東京卍會の、重要人物であるキサキが狙うような人間とは思えません。
なので個人的にはタケミチを排除することよりも、アッくんにタケミチを排除させることが重要だったのではないかなと思います。
過去改変前のアッくんはキヨマサを刺した罪で逮捕されていて東京卍會には入っていなかったけれど、おそらくはゴロツキにはなっていたのでしょう。
キサキの下っ端の下っ端というか、東京卍會に入ってこそいないものの、東京卍會に入りたがってキサキにくっついている小物だったのではないかな。
そして東京卍會に入りたければ友達を消せと言われたか、そんな小物人生を終わらせたいとキサキに告げたら舐めるなと、見せしめだと友人排除を命じられたのでしょう。
ちなみにキサキが命じたのは友人の排除であって、電車から突き落とせという命令ではなかったと個人的には思います。
線路に突き落とすという接触を最小限にする方法を選択したのは、アッくんの独断というか…罪悪感ゆえの行動だったのではないかな。
映画『東京リベンジャーズ』の関連作品
年齢・時代・主人公設定が多少違うものの、読みやすい絵柄で良かったです。
話はマンガ寄り、それでいて可愛らしい絵柄なので、より女性におすすめです。
出会い・思い出…過去にある大切な何か、そして現在が詰まった名曲ですね。
まとめ
名前は知っているものの一度も原作に触れることなく映画視聴に至りましたが、想像していたものとはだいぶ違ったけれど、だからこそ面白い映画でした。
人気キャラであるマイキーくんが人気な理由もよく分かったし、人気な理由がよく分かるストーリー性・熱さ・青春が詰まった映画で良かったです。
なのでどちらかといえばキャラクター性とストーリー性の良い映画をお探しの方、根性・友情・青春といった熱いものがある映画がお好きな方におすすめな映画でした。